中外日報 1994年2月19日より転載
視覚障害者向けに JR大阪駅周辺で
アクセスマップ充実
大阪のボランティアグループ「バンガード」
視覚障害者や晴眼者の若者らを中心とするボランティアたちが昨年10月、JR大阪駅など主要交通拠点の「視覚障害者用アクセスマップ」作りを計画し、調査作業を進めている。障害者の雇用開発を目指すボランティア市民団体「プロップ・ステーション」(竹中ナミ代表)に属する視覚障害部「バンガード」(亀山英昭代表)。
プロップ・ステーションのメンバーで、プログラマーでもある亀山さん(28)は昨年5月、コンビューターを媒体とした視覚障害者の就労や社会参加の促進を図ろうと「バンガード」設立した。
駅構内の点字表示をさらに充実させたい……
車いす向けに比べて少ない
その活動の中で、自身も視覚障害者である亀山さんは気づいた。車いす用の外出マップは各地で作られ、その掲載内容は細部にわたっているが、視覚障害者のためのガイドマップはこくわずかで、掲載地域も極めて限定され、一般に使われている点字ガイドマップも古くて、情報量も限られている、と。
亀山さんは「日本では、全盲者が単独で歩行する事実に対する認識は、残念ながら希薄です。しかし、外出や社会参加は視覚障害者に限らず、全ての人に必要不可欠なものだと考えます」と、視覚障害者の積極的な社会参加を強調する。
視覚障害者が自ら問いかけ
さらに「私たち視覚障害者自身が自分たちの手で、何が必要で、何が有効なのかを自ら問いかけた。そしてます手始めに主要交通拠点の外出マップ(アクセスマップ)の作成を計画しました。点字だと膨大な量になるが、様々な情報をコンピューターベースにすると音声装置や点字プリンターでの出力も可能です」と考えて、昨年10月、JR大阪駅で点字ブロックや点字表記のある場所を確認する予備調査を実施した。
計画では、JR大阪駅周辺の地下鉄や私鉄の駅、地下街なども調べる。この活動に当初から参加している佛教大字大学院生の冨田昌吾さんは「バンガードは全くの任意団体。活動を支えていくのはボランティアしかありません。調査作業や、コンピューターのデータベースをつくっていただける方の参加を希望します」と呼びかけている。
晴眼者と協力、綿密な現地調査
バンガードは、この11日に、視覚障害者とボランティアの人たち約20人がJR大阪駅構内の実態調査を実施した。
今後の予定としては20日も、午後1時からJR大阪駅での第一次調査を行ない、その結果を踏まえて26日午後6時から、大阪市北区同心1-5-27の大阪ボランティア協会4階でミーティングを開く予定。
なお、主な調査のポイントは、駅周辺では誘導ブロックや音声信号、点字による案内表示の有無。駅構内では、各改札口、自動券売機、定期券売り場、点字料金案内表、テナント(売店)、案内所、交番、公衆電話、自動販売機などの設置位置の確認。
また、駅周辺や駅構内の触指案内図と、遠距離切符販売所、トイレ、各ホームなどの目的別の点字表示、さらに経路、距離などを文書で解説した文章地図である。
パソコンのデータ化も
これらのデータは、現状の点字によるデータ提供ではなく、パソコン通信、フロッピーによる提供を考えている。パソコン・データ化で、限定少数のものではなく、多くの人が容易に情報を入手できる利点がある。
また、中心となる解説情報が文章データであることから、将来、携帯音声情報とすることも可能となる。
触指地図についても、立体コピー化すれば、今までの触指地図と異なり、データの共有が可能となるうえ、容易に更新することもできる。アメリカ、イギリスなどでは既に各機関で応用提供されているという。
亀山さんは「今まであまり例のない試みで全てが試行錯誤の繰り返しですが、それ故にこの活動の有意を感じています。多くの方々の協力お願いします」と広く参加を呼びかけている。
連絡及び問い合わせ先は、プロップ・ステーション事務局・大阪市北区同心1-5-27 大阪ボランティア協会内(電話・FAX=06-881-0041)か、亀山英昭さんの自宅・神戸市東灘区北青木2-2-1-103(電話・FAX=078-411-7178)へ。