メール de ナミねぇ 【第128号】 by Prop Station

2011年1月19日

◇◆◇            (平成23年1月19日発行)◆◇◇
◇◆◇  メール de ナミねぇ 【第128号】     ◇◆◇
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■□◇◆ 第128号 目次 ◆◇□■

【1】NHK会長選任を終えて(NHK経営委員として)思うこと

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■□◇◆NHK会長選任を終えて
            (NHK経営委員として)思うこと◆◇□■

昨年6月、衆参両院全会一致の同意をいただいてNHK経営委員に就任
してからはや半年が過ぎ、この度、経営委員の最も重要な役割の一つで
ある「NHK会長の選任」という仕事に携わらせていただきました。

「経営委員会は、いったい何やってんねん!」という視聴者からの抗議
が多数NHKに寄せられるという、一見「ゴタゴタが起きてる」としか
見えない状況を乗り超え「東海旅客鉄道株式会社代表取締役副会長 松
本正之氏」を、全会一致で新会長に選任することができ、私だけでなく
すべての委員がホッとしているところです。

NHK会長を自分自身が選ぶ立場になる、などということは半年前には
全く想像もしておらず、また会長がどのように選ばれているのかも、全
く知らない一視聴者であった自分が、今回会長選任に携わりその役割を
終えた今、感じたこと、考えたことを、生々しい記憶がある間に記して
おきたいなぁ、という思いからしたためることにしました。

視聴者から抗議のあった「ゴタゴタ」というのは

・慶應義塾前塾長の安西祐一郎氏に、経営委員会がいったん会長就任を
 要請した
・にもかかわらず(会長就任にあたって安西氏が)いわゆる3条件をつ
 けたという「風評」が出たため、会長に選任することを取りやめた。
・そこで1月11日、安西氏がNHK記者クラブで「条件などつけてい
 ない。問い合わせただけ。経営委に対する不信が頂点に達した。憤っ
 ている」と涙ながらに会見
・安西氏がその場で会長就任を拒絶したので、会長選任手続きが白紙に
 戻った

と、すべての報道機関が大きなニュースとして取り上げた出来事です。

この報道内容には、いくつか見逃されている視点があります。
まずその一つは「昨年12月21日に開催された、初めての指名委員会
・経営委員会において、安西氏が第一候補者として推挙されたことから、
安西氏に対して(就任要請ではなく)候補者として挙がっていることを
承諾されるか、という打診を行った」という点です。
これに対し安西氏は「満場一致で議決されたらお受けする」と、打診に
行った小丸委員長に答えられたそうです。

また報道では「経営委員会が風評に踊らされて安西氏を否定」という書
きぶりが多かったんやけど、実は風評に踊らされた委員は一人もいませ
ん。
安西氏自身が会見で話されたように(要求ではなく)「自身の処遇につ
いてNHKに問い合わせがあった」ことを知った経営委員たちの一部に
「公共放送として、厳しく経営を問われるNHKの状況を鑑みるとき、
自身の処遇についてまず問い合わせをされる方を選任して、視聴者の納
得が得られるだろうか」という「不安」が広がり、議決をとっても満場
一致で安西氏という状況でなくなったのでそれをお伝えしたところ、怒
りの会見を安西氏が開かれた、という経緯です。

ぶっちゃけて言うとNHK会長は、予算審議の行われる国会において、
政官の肉食系(失礼!)の方々と切った張ったや丁々発止をせねばなら
ない立場にあり、また局内で不祥事が起きれば自身が率先してまず給与
削減などを行い、国民すべてに公の場で詫びなアカンという公共放送の
トップやから、いわば「名誉以外に美味しいところの殆どない過酷な仕
事」なんですね。

そのうえ私は、安西氏が記者会見で涙ぐまれたのを見て「草食系(これ
また失礼!)」って感じを受けてしまいました。
他の分野で輝かしい業績を上げておられたとしても、NHK会長は、残
念ながら草食系では勤まらん仕事やというのが、私の率直な気持ちです。

現会長である福地茂雄氏は、わずか半年のお付き合いではあったけれど、
私心を捨てた素晴らしい決断を続けてこられ、対外的にもまたNHK職
員からの人望においても、ずば抜けた評価を受けておられるのを目の当
たりにし、この方がもう一期続けて下さればベストやのになぁと、何度
思ったかしれません。
同様の思いは経営委員全員にあり、福地氏続投をギリギリまでお願いし
たのですが、一期で退任というご意志が固く、新たな会長の選任作業に
入らねばなりませんでした。

この度、新たに会長として就任される松本正之氏は、JR東海の完全民
営化、新幹線N700系の導入やリニアを世界に向けて発信、人事・総
務畑の経験も深く、労使問題にリーダーシップを発揮し続けて来られた
方であること、お若いこと(福地会長より10歳年下)など、分野は違
っても公共を担う組織の会長にふさわしい方であると私は感じています。

松本氏は現役のJR東海副会長であることから、NHK会長に就任され
ると、おそらく報酬は激減されること間違いないと思うけど、「公共の
ために」と受諾下さったことを心から嬉しく思います。
またこのような方を、満場一致で議決し、その日の内に発表することが
できて、経営委員会の面々には久しぶりに笑顔が浮かんだのでした。

もう一つ報道から見逃されている視点があります。
安西氏の「(会長就任)拒絶会見」の後、経営委員会に福地会長をお招
きし「会長の仕事における心構えとはどのようなものか」ということを
聴かせていただいたんやけど、直後に「NHK会長は内部からか!?」
といった報道がなされはじめました。
NHK理事の固有名詞も飛び交う状況になり「困ったなぁ」と思ってい
たら「NHK職員の一人」を名乗る人物からの「(固有名詞の出た)N
氏に対する怪文書」が、1月14日、経営委員の一人に届きました。

その怪文書騒動で私は「(怪文書は一顧だにするものやないけど)内部
昇格は、NHK職員の内紛に繋がるのではないか」という危惧を抱きま
した。
会長選任の結果が内紛では、こんなに情けないことはありません。
そして15日の(臨時)経営委員会も一気に「やはり、強力なリーダー
シップのとれる外部の方を会長に選ぶという本来の姿勢を崩すべきでは
ない」という決意に満ちあふれたのです。

会長選任経緯で、最後まで「不明なこと」が一つあります。
安西氏が「怒りの記者会見」でプレス発表された文章に「12月19日、
はじめての会長就任要請を受け、固辞した」という文言があったんです
が、はじめての指名委員会が開催されたのは12月21日で、その場で
はじめて「候補として安西氏の名前が挙がった」のですから、19日に
「就任要請を受けた」というのは解せません。
経営委員たちが小丸委員長に質したところ「お会いしたいと(安西氏に)
電話しただけ」との返答でしたが、もし経営委員たちのあずかり知らな
いところで「打診ではなく就任要請」が行われていたとしたら、安西氏
が怒るのはもっともであり、大変申し訳ないことです。
いずれ明らかにせねばならないことでしょう。

この1ヶ月あまり、NHK会長選任に関わって「夜討ち朝駆け取材」と
いうのを、生まれて初めて経験しました。
歯の治療に行ったら、歯科医院の前に記者が居てはったり、会合に出席
したら会議室の前に居てはったり・・・飛び上がりそうになることが何
度もありました。
そしてどの記者も、ついさっき終わったばかりの経営委員会の様子(勿
論、箝口令が敷かれた!)などを、まるでそこに居たかのように詳しく
喋りはじめはるのには、ホンマに驚きでした。

新聞、TV、週刊誌などなど、あらゆるメディアの記者たちが取材合戦
してる状態でした。
NHK会長というのは(視聴者は殆ど関心が無いけど)メディアにとっ
てそれだけ大きな、他社に遅れをとるわけにいかない人事なんや!と、
改めて実感させられました。
記者の皆さんも、きっと年末年始のお休み返上で疲労困憊されたことで
しょう、ご苦労さんというしかありません。

第20代NHK会長選任は終わりました。
会長選任経緯を、一万人を超えるNHK職員の皆さんは、はらはらドキ
ドキしながら眺めておられたと思いますが、決まった以上は、より良い
公共放送を国民に届けるため、松本新会長のもと、一丸となって職務を
遂行して下さることを心から願います。

私も経営委員の一人として、また放送のユニバーサル化を切望する視聴
者の一人として、今後も微力ながら頑張りたいと思います。

阪神淡路大震災から16年目の日に、神戸にて

竹中ナミ(ナミねぇ)

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☆メール de ナミねぇ!【第128号】
                    平成23年1月19日発行
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