メール de ナミねぇ 【第95号】 by Prop Station

2010年3月5日

◇◆◇             (平成22年3月5日発行)◆◇◇
◇◆◇  メール de ナミねぇ 【第95号】      ◇◆◇
◆◆◆                          ◆◇◆
◇◆◇           プロップ・ステーション理事長 ◇◆◇
◇◆◇               竹中ナミ(ナミねぇ) ◆◇◆
◇◆◇                          ◇◆◇
◆◇◇           by Prop Station◇◇◆
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『メール de ナミねぇ!』はMSゴシックなどの等幅フォントでご覧下
さいね!

■□◇◆ 第95号 目次 ◆◇□■

【1】村木厚子さんの完全な名誉回復を願う
   第10回公判 平成22年3月3日 速報!!
   「厚子さん、第10回公判傍聴記」 by ナミねぇ
【2】上村勉証人の被疑者ノートの内容が公開されましたので、
                    ポイントをご紹介します。
【3】厚子さん公判に関する最新報道一覧

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■□◇◆村木厚子さんの完全な名誉回復を願う◆◇□■

第10回公判 平成22年3月3日 速報!!

■ 「厚子さん、第10回公判傍聴記」 by ナミねぇ

3月3日、お雛祭りの今朝は、数日間の暖かさが去り、コートを羽織っ
て自宅を出る。ゆとりを持って出かけたのに、JRが事故で(?)30分
も遅れ、大阪地裁201号法廷に10時5分過ぎに駆け込む。でもなぜ
か上村氏の入廷が少し遅れ、10時10分開廷となったので、冒頭から
傍聴できることに。 ホッ。

検事から、被疑者ノートを中心とした尋問が続く。検事が確認し続けた
のは「取調べ検事の作文だとあなたは証言してきたが、あなたはノート
の各所で(調書に)同意してるだけでなく、取調べに不満が無い、とい
う欄にもチェックを書き入れているではないか」「後日、書き加えたり
書き直したりしたのではないか」の2点。

それに対して上村氏は「法廷で証拠として公開されることは全く知らな
かったが、自分が後で(取調室で何があったか)読み返す必要を感じて
いたので、書き直しはしていない。」「不満がない、にチェックした時
は、何を言っても無駄と感じて、もうどうでも良いやと投げやりになっ
ていたから」と証言。

「村木課長は本当のことを言って欲しい、という記述もあるが?」と検
事。「塩田さんが村木さんに指示したとか、誰かが郵政の森さんに電話
したとか、検事から色々聞かされて、もしかしたら自分が単独で偽造し
た以外に、もう1枚証明書は偽造されたのでは?と思ってしまうほどだ
った。」

「だんだん僕は頭が混乱し、村木さんが何か知ってるなら話して欲しい
と思った時もあったが、検事から偽造証明書は1枚だと聞いて、村木さ
んは絶対関与してないと確信できた。でもそれを何度言っても調書に書
いてもらえなかった。」

検事「村木課長の関与を自分から言ったことは?」。上村「全くありま
せん!」。検事「でも被疑者ノートに<村木関与を認めた>と書いてま
すよね」。上村「違います。認めさせられたという事です」。検事「自
供したんじゃないんですか?」ここで弁護側より「異議あり!」の声。
裁判長が異議を認める。

「でもあなたは・・・」検事が問いかけ方を変える。「村木さんの関与
を積極的に否定してませんよね」。上村氏「はい」。検事「この段階
(起訴前日)で、それをほのめかしでもしておかなければいけなかった
のでは?裁判官からも最後のチャンスと声をかけられたのでしょう?」。

上村氏「怖くて・・・迷いに迷って、ああいうあいまいな書き方になっ
てしまった。申し訳なかった。勇気がなかった。本当はしっかり書きた
かった!」聞き取れないほどの声で証言を続ける上村氏の声が高まって
来る。検事「村木さんが関与を否定してることは、知っていましたよね」。
上村氏「はい。でも追いつめられて、与えられる様々な情報に混乱して
・・・」上村氏の声に嗚咽が混じり、ついに泣きながら叫ぶ。「今は、
はっきり村木さんの無実を確認しています。村木さんは無実です!!」

検事側尋問が終わり、弁護側と交代となる。弘中惇一郎弁護士が立ち上
がり、穏やかに話し始める。弘中弁護士「厚労省と、あなたが河野氏に
証明書を手渡しに行った弁護士会館の図面を確認してもらえますか。」
図面が法廷のプロジェクタに映し出される。弘中氏「厚労省〜地下道〜
エスカレータ〜階段・・・ここで一瞬空が見えたというのは、こういう
感じですね」次々写真が投影される、うなずく上村氏。

次に、弁護士会館地下の「喫茶メトロ」の写真と図面を弘中弁護士が提
示し、それが法廷内のプロジェクタに映し出される。「この喫茶で間違
いないですか? この写真にあなたと河野氏が座った席が写ってますか?
写ってたら、図面に印をつけて下さい。」「はい、写っています。ここ
です。」と答えて上村氏はしっかりと記しをつける。

弘中氏とバトンタッチした信岡弁護士からは「改めて聞きますが、被疑
者ノートの<不満が無い>にチェックしたことと、供述調書の修正を完
全にあきらめた、ということの関連を教えて下さい」。上村氏「何度言
ってもダメなんだから、もうどんな欄でも関係ないや、と投げやりにな
ってしまっていました。」
最後に裁判長はじめ3人の裁判官から、証言全体を俯瞰した質問がいく
つかなされ、上村氏の証言がすべて終わった。

「あんたの証明書偽造せいで、厚子さんは罪に陥れられたんやで!」
上村氏の証言を初めて聞いた日、私は怒っていた。傍聴席で怒りに震え
ながら上村氏の証言を聞いていた。厚子さんがそんな彼を慈母のような
瞳で見つめていることにも「厚子さんも、もっと腹を立ててもえぇんち
ゃうん!」と感じながら傍聴記を書いた。でも3日間にわたる上村氏の
証言を聞き、彼が取調べ室で、実は最初から一貫して「僕一人でやった
ことです。」と言い続けていたことが心底信じられた今、やはり厚子さ
ん冤罪事件(と、はっきり言おう)を生み出したのは、上村氏ではない
ことを確信する。

おそらく彼には「障害者団体に、書類審査のスピードを上げることくら
い、してあげても良いんじゃないか。ちょっとだけ便宜を図って、彼ら
の活動を少し応援することくらい、いいじゃないか・・・」という、親
切心や同情心も有ったのではないか、と思う。そんなふうに思えるほど、
上村氏の証言の正直さと涙は、私の胸に切なく残った。

でもその心情を巨額の利益に利用した詐欺師たちがおり、その詐欺事件
の構図を「政治家と省ぐるみの巨悪の構図」に書き換え、厚子さんを大
犯罪者に仕立て上げた輩が居る。今日から先の公判は、その輩が断罪さ
れる公判であるべきだ。

               ◇

午後の公判は、上村氏の上司であった企画課課長補佐、北村氏の出廷。
ここでもまた、今まで出廷した証言者のすべてが語ったように「検察の
誘導尋問」が明らかになった。北村氏は、厚労省を訪れた倉沢被告を、
村木厚子企画課長や社会参加推進室の室長らに引き合わせ、上村氏の証
明書偽造を直接指示したとされている。

彼も取調べで一貫して「そもそも、倉沢氏に会った記憶がない」と言い
続けてきたが、検事から「倉沢があなたの名刺を持っている。これは政
治案件であり、石井議員、村木課長、そして社会参加推進室という流れ
は分かってるんだ。」と、東京地検に呼び出された最初の日に言われた
そうだ。

「倉沢氏が名刺を持っているというだけではなく、誰それがこう言って、
誰それもこう証言している、と言われ続け、自分も記憶力に自信がある
わけではないので、いつしか、そういうこともあり得るのか・・・と揺
らいでしまった。」

しかも最初から「被疑者」としての尋問で、恐ろしさから逃れたい気持
ちでいっぱいだった。「知らない」「記憶に無い」と言うと「一泊でも
二泊でもして行くか!?」とか「検察をなめるなよ」とか大声で言われ、
調書に署名してしまった。と語る北村氏。
その後、度重なる取調べと何通も作成された調書をとりまとめる日もあ
ったが、訂正や修正を言い出せなかった。村木さんを陥れるつもりなど、
全く無かったし、こういう結果になったことを大変申し訳なく思ってい
る。

しかし・・・と、ここで声をあらためた北村氏の証言に、法廷内の皆が
驚愕することに。「倉沢が私の名刺を持っている、ということが実は嘘
だったんです! 私はやはり倉沢と会ってなかったんです。」「いつそ
れを知りましたか?」と弘中弁護士。「つい先日。公判のために検事と
打合せをしている時です。」

前回の傍聴記で私は「検察の取調べノウハウ」を書いたが、後一つ「嘘
の証拠をでっちあげて、ストーリー通りの証言を引き出す」を、加えな
くてはならない。塩田元部長の証言を引き出した「石井議員への報告電
話の通信記録がある」もそうだったが、こうなると本当に「嘘の証拠の
提示」が取調べにおいて「常態化している」と言わざるを得ないだろう。

ジャーナリスト江川紹子さんが、上村氏の公判傍聴後、自身のブログに
書かれた『地検「特捜部」は本当に必要か』を今、全国民が真剣に考え
ねばならない時かもしれない。

江川紹子さんのブログ
http://www.egawashoko.com/c006/000319.html

ところで、かくも深刻かつ馬鹿げた状況に陥った公判であるが、裁判長
の最後の一言が、法廷を沸かせたことを記しておこう。今日の証人であ
る北村氏へ投げかけたその一言は・・・「取調べ検事の、一泊でも二泊
でもして行くか?というのは、東京の自宅(我が家?)にお泊まりなさ
い、という意味ではないですよね」という、お茶目なもの。思わず私は
「裁判長に座布団3枚!」と声をかけてしまいそうになりましたよ、
ははは。

そして特筆すべきは、厚子さんが今日はとてもファッショナブルなスー
ツを着ておられたこと。毎回私が傍聴記で「地味!」などと書くので、
意識されたのだろうか。今日は濃いグレーのスーツなんやけど、襟とポ
ケットとボタンに濃い緑のベルベットがあしらわれ、中に着ているブラ
ウスも同色でシルクのタートルネック。しかも、髪を後ろでひとまとめ
に括る髪飾りはスーツと同色という、トータルコーディネイト!
う〜む、今日はキャリア官僚っぽくてしかも上品だ。公判の行方がだん
だん明確になってきて、気持ちが落ち着いて来られたのかなぁ、と嬉し
く思う。

え、私のファッション? そらいつも通り、ジーンズに「ケバい」メッ
シュ頭でございますよ。毎回、大阪地裁の警備員に、胡散臭そうな目で
見られながら、法廷に通っておりますのよ。
さぁ、この出で立ちで、明日の石井議員出廷も見届けるわよ〜!!!

<文責:ナミねぇ>

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■□◇◆村勉証人の被疑者ノートの内容が公開されましたので、
                ポイントをご紹介します。◆◇□■

ナミねぇです。上村元係長の、被疑者ノートのポイントを公開します。
読み進むうちに、胸が痛くなる思いです。このようなことが、今の日本
で現実に起きている、ということを、一人でも多くの方に知って戴きた
いと思います。なお、この文章の文責は『TOM 氏』です。

<by ナミねぇ>

■上村勉証人の被疑者ノート

2月25日午後の公判では、上村証人に対する検事の取り調べ状況につ
いて、弁護側から被疑者ノートに基づき尋問が行われました。
結論から述べると、上村さんが一貫して単独犯行を供述していたこと、
検察官が村木課長指示の供述を執拗に押しつけ再逮捕などの脅かしや早
期保釈などの利益誘導を続けていたこと、そして一度指示を認めた調書
にサインすると後はいくら訂正を求めても検察官は全く聞く耳を持たな
いためついにあきらめの心境に至ってしまったことなどの経緯が明らか
になりました。
被疑者ノートとは、逮捕・拘留されている被疑者が毎日の取り調べの状
況や健康状態を記したノートです。その日のうち(あるいは翌朝)に書
くため検事とのやりとりや感想が生々しくつづられています。公判では
弁護人がこのノートの主要部分を1日分ずつ読んだ上で上村証人に質問
する、というやりとりを繰り返しました。

読み上げられた被疑者ノートの内容と上村証人の証言を出来る限り忠実
にご紹介します。(『 』は被疑者ノート、◎は証言)

<文責:TOM>

5月26日(上村証人逮捕)

5月28日
『「証明書は倉沢が村木から直接もらったことになっている。私の記述
は浮いている」と言われた。どうしても私と村木をつなげたいらしい。』
◎何でこういう展開になっているのかわからなかった。

『だんだん外堀から埋められる感じ。私の供述さえ得られれば検察のパ
ズルは完成か。いつまでも違った方向を見ていると拘留期間が長期化し
そうで怖い。しかし、現時点で村木の関与は思い出せない。』

5月29日
『下に責任を押しつける厚労省の体質を改めるべき。このままいくと上
村さんがうそをついていると思われてしまう。』
◎それは検事が言った言葉。「厚労省の膿を出す」と言うのが検事の口
癖。
◎「うそをついていると思われてしまう」というのは自分の独断でやっ
たという主張を貫くとぼくがうそをついていると思われるということ。

『証明書を渡したのは私、というのと、関係者の話では村木から倉沢に
わたっている、がどうしてもつながらない。
◎自分の記憶と検事の話がどうしてもつながらなかった。

『偽証罪に問われるのか心配だ。』
◎法廷で村木さんが関わっていないのに関わっていると供述すると偽証
罪になるのではないか、ということ。

5月30日
『これだけ固められると逃れられない。記憶はないけど私が村木に証明
書を渡したことを認めた。凛の会側のメモや手帳という記録には記憶は
勝てない。』
◎検事の話と新聞報道でそう思った。検察側の意向を認めないと拘留が
長期化するという気持ち。

『弁護士さんの指示に従えなくて申し訳ない。』
◎自分の記憶に残っていることだけ話せ、というアドバイスをもらった
のに検察に負けてしまった、ということ。

5月31日
『私が証明書を渡したことを「うそ」ということにされてしまった。私
の記憶にないことを作文されている。こういう作文こそ偽造ではないか。』
『いかにも厚労省のため私のためとか言っているが信用できない。』
『冤罪はこうして始まるのかな。』
◎最初からぼくの供述なんてどうでもよくて、村木さんの関与を認めれ
ばそれでいいという感じだった。検事の口から「村木さんの指示」とい
うのがパアァと出てきてそれを事務官がパソコンに打ち込んで署名させ
られる。検事のいいとこ取りで作文された。

『(訂正されなかったのは)私が村木に証明書をわたしたこと、村木か
ら私に証明書を作るように指示があったこと、キャリアがノンキャリア
を踏み台にしていること。』
『今日のことは弁護人には言うな。』
◎違いますと言ったのに訂正してくれなかった。

『自分でリークしているのに、マスコミは面白おかしく書くと言ってい
る。』
◎自分と検事しか知らない話が翌日新聞に載っているので、検事が自分
でリークしていると思った。

6月1日
『村木のデスクに呼ばれたところを近くの人が見ている。』
◎検事にそう言われた。

『(訂正されなかったのは)村木に指示されたこと、村木に証明書を渡
したこと。(書いてもらえなかったのは)凛の会の関係者に(自分で)
証明書をわたしたこと。』
◎弁護士には本当のことを話せといわれるが、一人になると負けてしま
った。検察官と1個人ではとても真実を通しきれない。

6月2日
『当時の室長補佐の供述調書読みきかせ。』
◎自分の単独犯行なのに、3月以前に上司とか企画課の人がこういう動
きをしていたことを知って驚愕の気持ち。そのころは検察官の言うこと
は本当と思っていた。後々疑いも持つようになった。

6月3日
『(訂正されなかったのは)村木からの指示、村木から渡したという点。』
◎そういう前提でいつも始まる。言い分を全く聞いてくれない。聞くだ
け聞いて検察官が話し始めると村木さんの関与のことばかり。

6月5日
『(取調事項)1回目は塩田と村木を中心に国会議員とのつきあい。2
回目は当時の政治的背景』
◎調書では政治的背景、裏事情を私が語ったことにされたがそんな話は
していない。一般論として話すとうまいことつないで犯行動機に結びつ
くよう作文する。

『(大きな字で)もうあきらめた。何も言わない。』
◎もう好きにしてくれという意味。抵抗する気力を無くした。

6月6日
『(取調官の言葉)全然覚えていないから他人の力を借りるより仕方が
ない。偽証罪にはかからない。』
◎検察官に言われた。他人の力とは倉沢、河野、塩田の供述のこと。

『密室での調べでは検察に勝てない。』
『調書の修正は完全にあきらめた。』

6月7日
『村木が倉沢の目の前で郵政公社に電話した。郵政公社の支社長と村木
の夫が知り合い。』
◎こういう風につながっているからやっぱり村木はつながっていると検
事に言われた。信じられない思い。検事に自分一人でやったのは違うと
説得され、記憶が揺らいで抵抗をあきらめる思い。

6月8日
『面倒なことは先送り。責任回避の性格。相談する相手がいなかったこ
とも原因ではと検事が言っていた。』
◎自分を分析するとこういう自覚症状。一人で抱え込んじゃったからこ
ういう話になっちゃったと言ったら、検事がこう言った。

6月9日
『村木、塩田の関与について取り調べ。厚生労働省の組織的犯罪にした
いようだ。
村木から後づけの決裁は必要ないと指示という調書になっている。作文
に近いが、検事の作文にのるという決断をした以上しかたがない。』
◎検事の作文にのる、というのは「あきらめた」と同じ意味。

6月10日
『余罪、大臣印3件の無断使用。』
◎いずれ取り調べすると検事に言われた。1回目の拘留満期に近い時期
だったが、余罪についても再逮捕があると思った。

6月14日(村木元局長逮捕、上村証人再逮捕)
◎村木さんの逮捕を知ったのはラジオのニュースかもしれない。検事が
検事総長まで了解している、と言っていた。自分の記憶と反しており、
自分が偽りの供述を維持したことがかなり影響したのかな、申し訳ない
と思った。

6月15日(裁判所の拘留質問で村木さんの関与は記憶があいまいと供
述)
『裁判官に話したことは訂正しないと言ったら、検事は少し涙目になっ
た。』
◎拘留質問の時に、村木と共謀していることは違います、と裁判官に言
って書いてもらった。9時頃に裁判所に出かけて夕方までかかった。夜
に取調べがあったが、検事がそれまでの取調の時は淡々としていたのに
涙目になり、鬼気迫る様子で怖かった。すぐさま、今日言ったことは違
います、と巻き返すような調書を取られた。もしかしたら偽の証明書が
2枚あるのではないか、私が言っていることも正しいけれど検事が言っ
ていることも正しいのかな、という気になった。

『余罪については実害が生じていないから穏便にすまそうと思っている。
利益誘導?』
◎利益誘導とは穏便にすますということ、それによって偽りの供述を維
持しようとしていると感じた。夜の取調で、巻き返しの調書を取られた
時に出た話。

6月16日
『捜査の構図は当初から決められていてこれに私の証言と倉沢の証言を
合わせる必要があるので、検事も上から言われて苦しんでいるのではな
いか、と聞いた。しかし、私は村木から指示され証明書を渡したことは
記憶にない。思い出せない。』
◎検事は本当は私の言うことを信じてくれていて、でも上の人の構図に
のらざるをえなくて苦しんでいるんじゃないですかと聞いた。捜査方針
に沿わないことを自分が言っていると検事も周りから責められているの
ではと見えた。検事の顔を立ててやろうとまでは思わなかったが、組織
の中で苦しんでいるように見えた。

6月17日
『(取調官の言葉)検事が司法修習生との懇談会に出た時、「どうして
も自白しないときはどうするか」と聞かれて、検事は「拷問する」と答
えて上層部から注意を受けた。
記憶にないといつまでも言っているといずれ強引な手段もあると聞こえ
プレッシャーを感じた。』
◎検事がそのとおりに言った。

6月18日
『取調べ時間が今週に入って急に長くなっている。最近は、思い出せる
ものならとっくに思い出している、という怒りにも似た感情がわいてく
る。』

6月19日
『眠い。けど眠れない。弁護士接見の時に少し寝かせてもらった。』
◎接見の時に寝かせてもらうのは何度かあった。健康状態は大変悪く、
食欲が無くて、40日間で6kgやせた。

6月21日
『村木の関与について全く聞く耳を持たない。毎回毎回バカバカしい。』
◎検事は私の主張を否定して、村木が関与と言い続けていた。

『検事はいつも「ここからは想像でしか無いんだけどね」と言って私に
聞いてきて、それをパソコンに打ち込み、それが調書になる。いつもこ
のパターンで架空のストーリーを作り上げる。「ちゃんと眠れている?」
とか「心配事があったら何でも相談して」とか言うが、調書作成の時に
なると私の言っていることには耳をかさない。この割り切りを見ている
とまるで機械のようだ。』
◎ここからは想像でしか無いんだけどね、というのは一つのパターン。
調書になるときもあればそのまま終わることもある。

『睡眠薬を出すようにするらしい。強引な取調がなければ薬なんかいら
ないのに。』
◎結局、睡眠薬は出なかった。

6月22日
『今でも単独でやったと思っているかと検事に聞かれて、私の記憶では
私が決断して河野に渡した。と答えると、否認するわけね。関係者全員
の証人尋問だ、と言われてプレッシャーを感じた。』
◎(村木さんの関与を認めろという)やりとりは1日1回はあった。こ
ういう風にストレートにプレッシャーをかけられたのはこの日だけ。

6月24日
『(取調の状況)トランプ遊び約2時間。この余裕は一体何?』
◎取調室に行ったら今日はトランプを持ってきたから一緒にやろうと大
貧民とかダウトをやった。嫌だというとどうなるかわからないから応じ
た。こんなことしている時間があるなら早く調べて早く出して欲しかっ
た。

6月25日
『村木からの指示は無く、村木が証明書を渡したのではなく弁護士会館
のB1のメトロで河野に渡したのが自分の記憶である、と供述したが、調
書はすでにできあがっていて署名捺印は拒める状況ではなかった。保釈
という甘いえさの誘惑に負けてしまった。』
◎検事が代わっていた。(これまでの担当検事をA検事、代わった検事を
B検事とする)調書はすでにできあがっているものを持ってきた。保釈
の日程などの話をした後に調書が出てくるので、やっぱり違うと言って
拒めば保釈も反対されると想像した。

6月26日
『保釈は検察庁としても反対しない。』
『留置管理係の上司が部屋を訪ねてきて、村木から指示されて証明書を
作り村木に渡したというのは記憶と違うことをありのままに話した。今
が一番苦しいが検察と闘わなければならない、と励ましてくれた。』
◎なぜ来てくれたかはわからない。私の記憶と違うことが調書になって
いると話したら、今が一番苦しいが闘わないといけないと諭された。弁
護人以外にも味方がいて嬉しかったが、このとおりできるはずがないな
と思った。

6月29日
『(再び検事が代わり)A検事がプレッシャーをかけてきた。前日のB
検事とトーンが違う。』

6月30日
『拘留中の調書について、精神的に不安定になって妄想を語った訳では
ない、と私が語ったことになっている。悔しく不本意。余罪の自白時期
について調書の訂正を申し出たかったが黙っていた。』
◎調書の明らかな間違いは直してくれるが、直したところ以外は正しい
とされるので気をつけろ、と弁護士に言われた。

7月1日
『凛の会について組織的犯罪ではないとするならば余罪についても考え
方を変えなくてはならない。再逮捕?』
◎A検事に言われた。この段階でもまだ抵抗を試みていたかは覚えてい
ない。

7月2日
『裁判における反省の言葉を書けと言われた。裁判で想定外のことを言
われたら困るから一筆書かせて洗脳しておけ、と言われているのかもし
れない。これ以上のことは出てから考える、今は冷静になれない、と言
ったら明らかに目の色が変わった。』
◎目の色が変わったのはA検事。取調が3回あったが、保釈の話と反省
文の話は同じ時。

7月3日
『調書がたくさん取ったのはよほど不安なんだな。こんなに調書を取る
とかえって裁判官に不審がられないだろうか。かえって逆効果のように
思える。』
◎A検事が作ってあった調書をB検事が持ってきて確認させられた。

7月4日(保釈決定)
『この期に及んでトランプとは。これで私を手の内に入れたつもりなの
だろうか。』
◎この日のゲームは覚えていない。2回取調べがあり、2回目はA検事
がトランプを持ってきた。

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■□◇◆厚子さん公判に関する最新報道一覧◆◇□■

障害者郵便割引不正:検察苦境「特捜」も証人 「共謀否定」証言相次
ぎ−−元局長公判  毎日新聞
http://mainichi.jp/kansai/news/20100303ddn041040016000c.html

弁護側「被疑者ノート」証拠請求 元厚労省局長公判  共同ニュース
http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010030301000334.html

【詳報】郵便不正 第9回公判  産経新聞
http://www.sankei-kansai.com/2010/02/26/20100226-020915.php

『冤罪こうして…』 被疑者ノートに 郵便不正裁判で公開 検察を痛
烈批判  東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010022602000051.html

元係長、取り調べ状況を記録、証言 郵便不正公判  朝日新聞
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201002260082.html

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☆メール de ナミねぇ!【第95号】
                     平成22年3月5日発行
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