報告書 第5章 チャレンジドの雇用・就労を支援する組織等の紹介

チャレンジドの雇用・就労を支援する組織には、国営の組織から地域の民間組織まで、内外にさまざまな団体が存在する。特に北欧や欧米では、法制度の下に全国規模の組織が積極的な支援活動を展開し、我が国にとって参考となる点も多いと思われる。

海外の障害者雇用・就労を支援する組織

スウェーデン王国サムハル社会福祉事業団

世界の障害者雇用組織の中でもそのシステムの先進性とユニークさ及び規模では最大級を誇るのがサムハルである。

サムハル設立の背景と歴史

スウェーデンは社会福祉先進国として日本でも知られているが、チャレンジドに対する完全雇用と個人の生活の質を高めるために官民そして労働組合などが一致協力をして設立されたのがサムハルである。スウェーデンは最近ノーベル賞の日本人受賞などで知名度か上がっているが、その社会のシステムなどは詳しく知る人は少ないであろう。

スウェーデンは欧州の北のはずれスカンジナビア半島に属し、約880万人の人口と日本の約1.2倍の面積を持つ国である。20世紀より産業革命の波に乗り、小国ながら多くのグローバルな会社をもち経済的には第二次世界大戦後、個人所得では常に上位にランクされ、高い生活水準を維持してきている。政治的には社会民主主義国家であり永世中立国でもある。

その社会背景の中から70年代より社会福祉の充実は北欧の社会システムとして、世界にも注目をされるシステムを築き上げた。サムハルは福祉のシステムがかなり充実をした1980年に設立をされた。

設立の背景としては政府の政策として働く意欲のあるものには完全雇用を約束し、それが障害の程度ではなく本人の意志さえあればそれを受け入れる組織を全国レベルで行う事を決めサムハルを設立した。当初は政府直轄の財団法人であったが、90年代に入り株式会社に改組されている。株は全株政府の所有であり、日本の特殊法人のような位置づけである。

サムハルの概要

サムハルの設立前は日本の現在と同じように地方自治体が中心となり、授産場的な施設を運営し障害のある本人の意志のことよりもアリバイのようにその施設を運用していたようである。元厚生省事務次官のゲハルド・ラーソン氏らが中心となり政管民そして労働組合の協力を得て、既存の授産施設を国有化し全国的なプログラムとして運営を始めた。

現在のサムハルの規模は以下の通りである。

表5−1−1 サムハルの規模
従業員数 27,000人(全従業員数の93%が何らかの障害を持っている)
自主事業所 300箇所
オンサイト事業所 400箇所弱
売上 14億ドル 日本円120円換算で

サムハルの雇用施策で特徴的なものはなんと言っても複数の障害や重度の障害及び知的障害など日本においてはほとんど就労の機会が少ないチャレンジドが優先的に雇用をされる事である。就労希望のあるチャレンジドは日本同様の職業安定所に行き、サムハルを紹介される。そこで特徴的なのは、サムハルとして今必要なまたは空いている仕事を当てはめるのではなく、出来るだけ本人の希望に沿うような仕事を発掘しようとすることある。日本の障害者雇用の基本的なアプローチと余りの違いがある。

ここでサムハルの企業理念とその目標を紹介しよう。

表5−1−2 企業理念
スウェーデンにおける最も成功した企業体を目指す。
経営結果としても人間の価値を創造する面を両立させる。
我々の試みが社員・顧客・社会に対して利益を生むものでなければならない。
表5−1−3 企業目標
(1) 障害者雇用数の増大(実質稼働時間重視)
(2) 雇用優先傷害カテゴリーの採用者全体に占める比率増
(3) サムハルグループ外企業への転職者数の増大
(4) 企業利益の拡大

この理念を見ていただくと判るように、公共サービスでありながら自らの理念は民間企業と変わらないものである。企業目標は通常の民間とは違う目標が設定されており、利益の追求だけでなくチャレンジドの雇用数やサムハルの経験から他の一般企業に転職する数などを目標としている。

情報化による高度化

サムハル全社員の27,000人が家庭にパソコン及びインターネットの接続を行っている。これは貸与ではなく会社全体で共同購入を行いコストを下げ、給与より天引きを実施している。このネットワークにより組織全体としての情報密度を向上させている。
スウェーデン全体のインターネットの利用民度は常に世界でトップクラスでありサムハルもそのような環境を組織として進めている。

日本が学べる事

なんと言っても日本ではほとんど働く事が難しい、知的障害あるいは重度障害などがサムハルにおいては優先雇用対象になっている事である。そして、その社員もサムハル入社後は情報機器を活用し生活の民度を向上させている。わが国においてもチャレンジドに等級をつけている現状から、重度ほど優先的に情報機器の共同購入などでコストを下げ積極的な活用が出来うる環境の整備を行うべきである。

また、就労環境においても積極的なパソコンなどの教育や活用推進を行い、そのハンデを少しでも前向きな能力の開発にするように取り組んでいる。情報機器のチャレンジドに対するインパクトを肌で感じる施策が行われている。

最近はスウェーデン・ハンディキャップ・インシチュートが政府により設立されICTをどのように障害のある国民に活用できるかの先進的な研究と機器の開発が専門機関として行われている。日本も高齢社会が進む中、単にチャレンジドの問題として捉えるだけでなく、広義のハンディキャップ社会に向けてスウェーデンのような専門機関が設立される事が望まれる。

CAP( 米国防総省コンピュータ・電子調整プログラム )

CAP:Department of Defense Computer/Electronic Accommodations Program は、米国防総省の障害を持つ職員のための支援部署であり、その取り組みには広範かつ真摯、またきめこまやかな配慮がある。このプログラムは、1990年に米国防総省の健康管理活動の一環として、向こう5年で1,070万ドルの予算で開設されたもの。

その任務、目的は、

  • 連邦法に従い、国防省内の障害を持つ就労者に対して、公平にアクセスできる情報環境と機会を保障するための支援技術や調整(適応化)サービスを提供すること
  • 国防省並びに連邦関係省庁での障害者雇用とその維持をサポートすること
  • 公共のアクセシビリティ向上のための各種国防省プログラムとその活動を支援すること

などである。

※1ダイナー・コーエン(Dinah F.B. Cohen)氏を責任者とし、開設以来、省内の28,000人以上のサービス要求に応えてきた。1996年、「政府エグゼクティブマガジン」主催の「連邦技術リーダーシップ賞」を獲得。1999年には、ゴア副大統領から、現状を打破する取り組みに与えられる「ハンマー賞」を授受された。これらを経て、2000 年 10 月に連邦議会は、CAPの利用対象者と予算を増やし (年間260万ドルから460万ドルへ増額)、他の連邦機関にもサービスを拡大することを承認した。

ペンタゴン内には、CAP技術評価センターが設けられている。ここでは、支援技術のデモンストレーションをはじめとした情報提供が行われている。小さな工夫からハイテク機器までいろいろなチャレンジド支援機器がある。ハイテク機器があるのは、「国防のために開発した最新鋭の技術を、最重度のチャレンジドが働けるようにするために活用している」とのことである。たとえば、最新鋭の戦闘機は、見えない、聞こえない、身体の自由が利かないといった苛酷な条件下でもパイロットが支障なく操作できるように開発される。そうなら、その技術は普段この地上で同じような障害を持っているチャレンジドのためにも使うべきだ、という発想による。

図 5−1−3−1

脳波を使った入力装置 机もキーボード台もレバー(机の右端)一つで高さ調整。車椅子の人も無理のない姿勢で使用。

特筆すべきは、なぜこのような部署が国防総省の中に設けられているかということ。「すべての国民が誇りを持って生きられるようにすることが、国防の第一歩」との考えである。チャレンジドの就労と国防という一見何の関係もないテーマの背景に、人間の誇りの問題という背骨が一本ビシッと通っている。国防という観点から、人が誇りを持って生きることの大切さを指摘している。チャレンジドの就業促進を行う、日本のプロップ・ステーションがスローガンとしてあげている「チャレンジドを納税者にできる日本」に合い通じるところがある。言い換えると「チャレンジドが誇りを持って生きられる日本」であり、「すべての人が誇りを持って生きられる日本」だからである。

※1 ダイナー・コーエン
公認リハビリテーション・カウンセラーの資格を持ち、連邦政府では国際開発局、雇用機会均等委員会、海軍調査研究所などを経てCAP理事長に就任。現在は、米国国際リハビリテーション会の副議長も務める。
CAPでの運営手腕やリーダーシップによって、1998年に「国防総省特別市民サービス賞」を受賞。91年には、国防長官から「特別推進プログラム賞」を受賞している。その他、多数の受賞歴がある。

GLADNET( グラドネット )

ILO(国際労働機関)の「障害と雇用プログラム」会議から始まった国際レベルのNPOである。各国の研究者、雇用者、労働組合、障害者、専門家が協力して、障害者雇用に関する知識を収集し普及させ、雇用や職業教育を促進することを目的として、1997年に設立された。本部はカナダのアルバータ州、カルガリーにある。

GLADNETとは、Global Applied Disability Research and Information Network on Trainingを略したものである。インターネットを介して世界中の関係者が知識や情報を共有し、共通の課題に連携して取り組んでいる。バーチャルな情報のライブラリに蓄積された情報や研究の成果は、インターネットを通じて配信されるシステムとなっている。

具体的には次のような活動を行っている。

  • チャレンジドの雇用についての研究を推進すること
  • 既知の知識と、未知の知識とを明確化し電子化すること
  • 実践者に対して情報を提供・普及させ活用してもらうこと

GLADNETが設立されたことにより、バーチャルライブラリの構想を取り入れた、チャレンジドのための電子情報センターが各国で作られるようになった。日本では財団法人日本障害者リハビリテーション協会のDINF( 障害保健福祉研究情報システム )があるが、GLADNETが各国のシステムをリンクさせて国際的な協力体制を構築できるよう働きかけている。

GLADNETの2001年の年次総会が、日本(京都)で開催された。各国・諸機関から参加した代表者の講演内容は、下記で公開されている。
GLADNET年次総会(DINFサイトへ)

ショウ・トラスト( Shaw Trust )

ショウ・トラストとは

チャレンジドの雇用促進のために活動している英国のNGOである。1982年、働く意欲と能力を持った重度障害者のグループによって設立され、20年の活動を経て、チャレンジドの雇用問題に取り組むNGOとして国際的に認知された組織となっている。

「障害者にとって働く場や職業訓練の機会がなければ、不利な立場に置かれたまま社会から排除されてしまう。雇用は収入のためだけでなく、自立して、社会の一員として誇りを持って生きるためのチャンスとなる。」ことをポリシーとして活動している。

リハビリテーション、技能の評価、職業教育、就業準備プログラムなどを提供し、雇用に結びつく技能の開発のために、ICTや経営管理など、100件を超えるプロジェクトを実施している。また、数千もの企業と協力して、就労中のチャレンジドを支援する活動も行っている。

ショウ・トラストの活動

ショウ・トラスト独自の活動に加えて、政府の雇用政策の実施機関としての役割も担っている。雇用サービス庁の委託を受け、英国政府の援助付き雇用プログラム「ワークステップ計画」を英国全土で推進している。ショウ・トラストは、「ワークステップ計画」を実施するNGOの中で最大規模のプロバイダ(支援組織)である。

「ワークステップ計画」の概要

「ワークステップ計画」とは、重度の障害があるため働く機会を見つけることが困難な人たちに、仕事を通じて社会に貢献できるよう支援することを目的とした政府の雇用プログラムである。また、適性はありながら障害のために職を失うおそれがある人に、その仕事を続けてゆくために必要な支援を行う場合もある。このプログラムは、重度の障害を持つ何千人もの人々に就労の機会を与え、一般労働市場への参加を手助けすることに成功している。

具体的な支援メカニズムとしては、各個人ごとに作成した自己開発計画書(Development Planning)に基づいて、定期的に見直しをしながら、職務上の目標を実現するための知識や技能、経験を向上させるように支援し、一般雇用への実現を図る。チャレンジド自身に自己啓発のための努力を求め、雇用者にはチャレンジドの努力を奨励し支援することを要請する。このような支援を受けながら職場のほかの従業員と遜色なく自立して仕事ができるようになった段階で、支援活動は停止され通常の雇用関係に移行する。

「ワークステップ計画」の支援を受ける人たちの労働環境は、一般の場合と同じでなければならない。すなわち、職務の対価として受け取る賃金および執務環境は、他の人たちと同じ条件でなければならないとされている。

さらに、2001年4月以降、本計画で支援を受ける人たちの1週間あたりの就業時間は最低16時間とされ、16時間を越えて就業する場合、21時間まではパートタイム労働者とみなされるようになった。長時間働くことが困難なチャレンジドにとって、パートタイム労働者としてこのプログラムの就労支援サービスを受けるための条件が緩和されたことになる。

国内の障害者雇用・就労を推進する情報を提供する組織とサイト

日本障害者雇用促進協会(現 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構)

チャレンジドの雇用の促進等に関する法律に基づき、1977年3月に厚生労働大臣の認可を受けて設立され、チャレンジドの雇用の促進と職業の安定に貢献するため、広く事業主一般、チャレンジド、その他の方々を対象として、さまざまな業務を行っている。障害者雇用納付金制度による雇用促進事業や職業リハビリテーションサービスの推進、障害者雇用に関する事業主への支援、かかる啓発などである。インターネットを活用してチャレンジドの在宅雇用・就労を支援することを目的としたまった新しいタイプのサイト「チャレンジ・エージェント(日本障害者雇用促進協会サイトへ) 」の運用も行っている。全国ネットで登録されたチャレンジドの求人・求職情報、また慶應大学金子研究室が主宰するVCOMとリンクしているので、VCOM内の「ジョブマッチング情報広場」を見ることができる。このサイトの大きな特徴は、「チャレンジエージェントクライアント」としてアクセスすると、個人ごとに異なったページ内容が表示され、あらかじめ登録したWeb情報が自動配信されるなど、個人属性に応じた情報配信がなされることである。

視覚障害者情報文化センター

このセンターは、石川県視覚障害者協会が県内3,600余名の視覚障害者の生活福祉と、文化の向上を図るために設置した視覚障害者のための総合センターである。県内の視覚障害者を対象とする図書館サービス(点字・録音図書の製作・貸し出しや点訳・音訳、ボランティア養成など)やデイサービス・サークル活動(点字・墨字教室など)や用具販売、出版・広報、ボランティア活動、社会生活適応訓練、厚生相談、ガイドヘルパー派遣、通所施設の運営と関係する様々な活動が行われている。サイトの「あいりぶネット」では、点字・録音図書の検索と貸し出しをする「インターネット図書館」や視覚障害者用具の情報の紹介と購入申込みができる「視覚障害者用具紹介」などを運用している。

社会福祉法人 聴力障害者情報文化センター

聴覚に障害を持つ方々に対して、字幕付ビデオ・カセットテープの制作、字幕付映画フィルムの制作、文字放送の字幕制作、手話通訳者及び要約筆記者の派遣、更生相談、各種講習会の開催等の各種事業活動を通して、聴力障害者の人権を守り、生活・文化の向上と福祉の増進に関する啓発、普及に寄与することを目的に設立。サイト上で、「聴覚障害者情報提供システム」を運用している。医療・福祉・生活支援、手話通訳・要約筆記などのコミュニケーション人材支援・養成、ビデオライブラリ・日本語字幕つき映画の上映などの文化支援、就労支援、掲示板開設によるネットワーク支援など、聴覚障害者が必要とする情報を提供するための総合サイトを目指している。

日本職業リハビリテーション学会

チャレンジドの職業リハビリテーションに深い関心を持つ者が研究を行い、情報を交換し、実践することによって、わが国におけるチャレンジドの職業リハビリテーションの進歩・発展に寄与することを目的とした、この分野では唯一の全国規模の学会である。 職業リハビリテーションとは、障害をもっているが故に職業に就くことが困難になっていたり、維持していくことが難しくなっている人にも、職業を通じた社会参加と自己実現、経済的自立の機会を作り出していく取り組みである。毎年開催される「学会大会」や学会誌、学会通信の発行で情報交換・発信を行っている。

福祉メディアステーション

福祉メディアステーションは、病気や事故あるいは加齢などによる身体的ハンデを有するチャレンジドの自立と社会参加を果たすために、マルチメディアを有効に活用できるように研修したり、 情報を得たり出来る拠点として、1996年6月に開設された施設であり、それを運営する岐阜県に所在する組織である。福祉メディア実習室では、パソコン研修が無料で利用出来る。バーチャルメディア工房では、パソコンを活用して就労を希望する在宅のチャレンジドを対象に、発注者との間に立って受注・作成・納品といった営業活動の指導・調整を行うことによって就労能力を有する人々の自立活動を支援している。

NPO法人 チャレンジド・カシオペア

就労する意欲があっても就労の困難なチャレンジドをNPO社員として在宅就労してもらい、グラフィックDTP等の仕事をネットワーを介して行い、チャレンジドに収益と納税と自立を可能にすることを目指して活動している岩手県のNPO法人である。「ITは、障害者の職能を高め、就労への道を開くツール」とし、グラフィック・ホームページ作成・財務会計操作・グラフィック応用のステンドグラス製作等の講座を開催している。グラフィックデザインを含む印刷物やホームページの作成や財務会計など在宅でできる仕事を受注したり、チャレンジドと企業との橋渡し役となって雇用を創出することをめざしている。

NPO法人 札幌チャレンジド

自立を目指すチャレンジドのために、パソコンの技術習得や社会参加を支援しているNPO法人である。パソコンに関する各種セミナーの開催や、会報「札チャレ通信」・ホームページによる情報の提供、パソコンによる就業支援、高齢者・チャレンジドに関係する調査研究などに取り組んでいる。また、シンポジウムや講演会、研修会などの開催も活発に行っている。協力会員やボランティアを中心に活動し、講習会では大学・専門学校・企業・行政など幅広い協力を得ている。ユニークな取り組みとして地域通貨「チャレ」を発行しており、地域に根ざした活動を大切にされているようだ。

ふぁっとえばー

パソコンの活用に、チャレンジドの社会参加の可能性を見いだし、ケアの必要なときには適切なケアを、働く意欲のあるときには就労のチャンスが得られるという柔軟な社会システムを生み出すことを目指して活動している、千葉県に所在する組織である。「障害者も納税できる環境作り チャレンジドの能力----その可能性を求めて」をキャッチフレーズに、雇用労働の確保が難しいのであれば、仕事の場を協同で創りだそうと、仕事として自宅で名刺に点字を入れるチャレンジドを募集したり、会報誌の発行を行ったりしている。

中途視覚障害者の復職を考える会 (タートルの会)

中途視覚障害者が「見えなくても普通に生活し職業的に自立したい」という共通の願いを持ち、様々な情報交換をしたり経験談を共に分かち合いながら、継続雇用や復職・再就職の支援を行っている会である。相談業務や交流会の開催、機関誌の発行、調査研究などの活動を行っている。とりわけ、調査研究では、「どのような職場でどのような人がどんな機器やソフトを使ってどんな仕事をしているか、そして職場介助者はどのようにしているか」を調査し、詳細な事例の記録をしている。ビデオ等も含めた事業主向けの分かりやすい事例集を、会員以外にも広げて数多くの事例を資料として蓄積していく取り組みをしている。

ノーマネット

障害者情報ネットワーク「ノーマネット」は、財団法人日本障害者リハビリテーション協会が提供するサイトである。1996年9月に始まり、パソコン通信を活用した草分けである。そのサイトやメーリングリストなど通じて、幅広い情報を収集提供するとともに、障害をもつ利用者同士が情報交換必要な情報交換をするためのネットワークである。ノーマネットのサイトには、分野別のリンク集や、日本の法令が五十音別にまとめられている。その法令は本文がテキストデータ化されており、DAISY音声の再生にも対応している。また、障害者関係情報を提供する障害者関係団体及び施設の方へ、ホームページの公開スペースやメーリングリストを無料で提供している。

ないーぶネット

「ないーぶネット」は視覚障害者のための情報ネットワークである。点字や音声その他の情報を視覚障害者に提供している施設や団体の集まりである「全国視覚障害者情報提供施設協会(略称:全視情協)」によって管理運営され、全国の点字・録音図書の目録28万冊のオンライン検索や、保有する32,000タイトルに及ぶ点字データが利用できる日本最大の視覚障害者用情報システムとなっている。前身の「てんやく広場」を1998年に「ないーぶネット」と改称し、2001年02月にはインターネットに対応した情報システムの本格運用を開始し現在に至る。

夢の扉

社団法人 日本筋ジストロフィー協会 が、インターネット上で会員相互の交流を図るため展開している事業である。ホームページで登録制のメーリングリスト・会議室・チャットが運用されている。前身は、1992年に開設された「全国福祉ネット 夢の扉」である。このネットは、パソコン通信を活用し、進行性筋ジストロフィーをはじめとする難病や身体障害、視覚障害、聴覚障害、内部障害などを持つ人々の医療、福祉、教育、就労などについて、社会への啓蒙をはかるとともに、障害を持つもの同士あるいは健常者との相互の情報交換により、広く障害を持つ人たちの社会参加の促進とその生活の向上をめざした。ICTを活用した先駆的な取り組みである。その後、1999年にマイクロソフト・NTT東日本・プロシードの支援を受けてパソコン通信からインターネット上でのサイトを作成した。その結果医師や患者などの情報交換が進み、電話やFaxの対応とは違う迅速な質の高い情報交換が進み、介護の高度化がこの情報共有から起こっている。

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