厚子さん、第13回公判傍聴記 by ナミねぇ

2010年3月18日

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3月17日(水)東京で、例年より早く桜の開花が見られた、とのニュースが流れる。
朝から暖かい。
コートを着ることなく大阪地裁に向かう。

今日の証人は二人。公的証明書偽造事件があったとされる、平成16年当時、厚労省社会参加推進室補佐であった田村一氏と、室長であった江波戸一敏氏。

午前の証人田村氏は、倉沢被告に会ったこと、室長と一緒に厚子さんの席に倉沢を案内したこと、倉沢を交えて凛の会について話しあったこと、企画課長(厚子さん)から「大変な案件だけど(石井議員からの依頼なので)よろしく」と言われたこと、などなどなど・・・全てを「全く、覚えていないことだった」と言い、調書に書かれていることは、「(単独犯であると証言した上村元係長の前任者である)村松係長が、貴方がああした、こうしたと証言しているぞ」という検事の誘導的尋問の結果だ、と証言した。

田村氏は、そのような調書にサインした理由を「自分の記憶が欠落していたので、村松さんがそういってるなら、そうだったのだろうと思った」という。
「取調べ検察官に、覚えていないと言ったけれど聞いてもらえなかったし、記憶に無いということは、(逆に)そのような可能性もあるなぁ」と思ったので「可能性はある、と一般論として話した」と、淡々と語る田村氏。
「調書が重大なものとの認識もなかった」ともいう。

「あなたの供述調書が証拠として使われることや、その調書で罪に落ちる人が出るかもしれない、逮捕される人が出るかもしれないとは、考えなかったか?」という検事の(弁護士でなく検事の!)問いかけにも、平静な声で「はい、思い至りませんでした」と答える。

「よく覚えていない、と言うと、よく思い出しなさい! と取調官に言われ、サインした。」と答えつつ、恐怖にかられるような取調べではなかったとも言う。
「いったい、この人はどういう神経してんねん!」と思うほどの「いうなり証人」だ。
取調べ検事がほくそ笑む顔が目に浮かぶ。

それでも一度だけ取調官が「机をたたいて、大声を出した場面があった」という。
「覚えてないはずはない!」「こちらにも考えがある!」と言われたが、田村氏はその時「なぜそういう言い方をされるのか、分からなかった」とここでもまた、平静な声で語る。

田村氏の証言を聴き続けるうちに、なんだか少し背筋がゾッとするような感覚が湧いてくる。
あまりにも平静で、淡々としすぎている・・・もしかしたら、この人は、生まれて初めての「検察での取調べ」体験で、どこか壊れてしまったのかも・・・と。

尋問が検事から弁護士に変わったが、尋問を交代した信岡弁護士も戸惑った声で質問する。
「公判前に、お会いしたいとのお手紙を差し上げたが、(地裁への)到着時間の関係で無理とのことで、お電話を下さいましたね。その時、何分くらい話したか覚えておられますか?」「2−30分だったと思う。」と田村氏。「話の内容は覚えておられる?」「私の記憶に関することだったと思う。」とそっけなく答える田村氏。

そこで初めて、田村氏が「弁護側証人」ではなく「検事側証人」として出廷したのだということが分かった。
そうか「まるで感情というものを失ってしまったような、声と態度」の秘密は、もしかしてこれやったのか・・・と、思い至る。

それでも弁護士が示した「事件当時の企画課と社会参加推進室の見取り図」に関する質問への田村氏の答えで「両室は、窓際までロッカーで仕切られており(倉沢被告の証言のように)窓際の通路を通って、村木課長の席に行くことは不可能」ということが、証明された。

約1時間の昼休みの後も田村氏の尋問が続き、3時から弁護側証人として出廷した、江波戸元室長の尋問に移る。

江波戸氏も、田村氏同様「調書はすべて検察官の誘導で作成された」と語ったが、田村氏と違った点は、取調べにおいて上村元係長の「稟議書や公的証明書の偽造を、知っていたはずだ」と何度も言われたが「知らない」と答え続けたこと。
とはいえ調書に関しては「議員案件などという、私の使っていない言葉が書かれたので、直して欲しいと言ったが、検事は『まぁ、まぁ』と言って応じてくれなかった。」という経緯を辿り、最終的に「(事件が起きたことは事実だが)私は知らなかった」ということが調書に記載された、と語った。

明日から、いよいよ取調べ検事の出廷だが、記者会見での弘中弁護士の話によると「検察官は、平気でシラッと嘘をつく。塩田元部長に電話の交信記録が有ると言って証言を誘導したことや、北村元課長補佐に、倉沢被告があなたの名刺を持っていると言って、二人が会ったことがあると言わせたりしたことなど、すべて『そんなことは言っていない。被疑者の勘違いだ』などと証言するはず。」とのこと。

えっ、ホンマかいな!? と思うが、本当に検事は公判で「平気で嘘をつく人たち」というのが、弘中弁護士の、長年の経験則だそう。

しかし弘中弁護士は「厚労省の証人がすべて証言を覆したので、検察は『省ぐるみの犯行』と言い募るはずだが、今回の公判では検事側証人もすべて証言を覆しているので、出廷する検事たちがどのように対応するのか・・・お手並み拝見だ。」と、自信を見せた。

判決は、最終的に裁判長の判断になる。
横田信之裁判長の、公平で怜悧な目と心に期待しつつ、明日からの公判もしっかり傍聴し続けようと思うナミねぇやけど「平気で嘘をつく人」って怖いなぁ・・・と、ちょっと弱気にもなる私。

改めて、一人でも多くの方が公判の行方を見守り、支援して下さることを切に願っています!!!

<文責:ナミねぇ>

 

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