対談講演 「ナミねぇとレモンさんに聞いてみよう!元気の秘訣は何ですか?」
(その2)

主催:千代田区男女共同参画センターMIW(ミュウ)

2007年5月22日 於:千代田区役所区民ホール

 

レモン: 今日のテーマ、「共生」ね、共に生きる。プロップステーションの「プロップ」これは・・。

ナミ: 「PROP(ピー、アール、オー、ピー)」

レモン: 意味は「支えあい」。

ナミ: この言葉、支えあいって意味知らん方が多いと思います。私も全然知りませんでした。自分らのグループの名前何にしよっていう障害のある仲間にきいたら、一緒に始めたひとりの子が「プロップ」っていう名前にしよ、って言うたん。お前なぁ、私が英語知らんの知ってるやろ?何いうてんねん。言うたら。(笑)

レモン: なんでいちいちおもしろーにするん?

ナミ: そしたらその子はラグビーの凄い優秀な選手で、ラグビーやってて試合中に首の骨を折って全身麻痺になった。その子がね、活躍するんやけど「プロップ」にするっていうんで理由を聞いたら、なんとその子のポジションが「プロップ」やった。

レモン: 「プロップ」いうポジションがあるんや!

ナミ: スクラム組んだ時に一番下からグーっとやる一番怪我しやすいところ、自分がやってた時の誇りあるポジション名やから「プロップ」にしたい、っていう、それで私が「ちょっと待て、私らはラグビーチームを作るんやない。」(笑)せめて意味調べてね、自分らがやろうとしてることと君がポジションやったんとおうたらそれでええやろ、と言うて調べたら「支柱・介護・支えあい」、という意味があった。今まで障害があったら支えられる人、無い人は支える人って言うのが常識やった。でも私らは障害あろうがなかろうが、自分のできることはみんなだして、苦手なところは出来る人と組もう、そういう新しい働き方とか社会の作り方、つまりみんな支えあいでいけるよね、という前提で物事を進めていきましょうと言っているときに「プロップ」に「支えあい」と言う意味がある、とわかった。

レモン: それが凄いなと思うのは、こういう人生を歩んできて、自分がそういう子供を授かってそれこそ育てていこうか、自分が死んでも安心できる世の中を作っていかなあかん、て思うてこういうことやりだしたら、なんとジョン・F・ケネディさんも、大分昔にアメリカではそういうみんなを納税者にしたいと・・。

ナミ: ジョン・F・ケネディがね、大統領になって最初に議会に提出した教書っていうのが、これね、日本だったら総理が総理大臣になって最初の所信表明で、私は経済をこうするとか社会保障をこうするとかばーっと言わはる。そのケネディが大統領になって最初に書いた教書の中で『私はすべての障害者を納税者にしたい。』と、書いてたのを日本語に訳したやつを読んだんです。ケネディが議会に出したのは1962年の2月1日。その前の年の11月に大統領になった。その翌年彼はダラスで暗殺されたんですけど・・。「えっ?」それまで私は福祉は税でなんかしてあげるって、でケネディが議会で「なんでこの人こんなこと言うたんやろ?おかしいな?」と思うてバックボーン調べたらなんとケネディ家は華やかな一族と言われたけど、実はケネディ家にはたくさん親族に障害がある人がいて、ケネディが一番かわいがっていたローズマリーさんという妹さんも、わりと重い知的ハンデがあった。ケネディは政治家である前にひとりの人間として、資本主義経済、自由主義経済の国家の中で障害を持って生まれたりしたらどういう位置づけになるか、差別されてるっていうのを嫌というほど知ってた。彼は、この人らは障害があるから働けないとか、ましてやタックスペイヤーになれないよ、という考え方が差別の出発や、と。

レモン: 1962年に(ケネディが)もう言うてた!

ナミ: 言うてた。

レモン: そしてナミねぇが言い出した!(笑)

ナミ: 1991年5月・・。

レモン: そしてナミねぇが言い出したんが1991年5月・・え〜!?ものすごう遅れてますやん。30年くらい(笑)日本は・・・。

ナミ: やっぱりケネディみたいに、最終的には日本のトップリーダーたる人がそういうことを言う。本当の意味の差別をなくす。みんな自分の力が発揮できる。自分の力で働ける本当の意味の無理なところは支えてもらえるんやっていうこの社会をいつかトップリーダーが言う日が来るかもわからんけど、その当時の日本で例えば政治家が「障害者を納税者に」なんて言うた瞬間に殺されますわ。私らでさえ・・せやけど私関西のオバちゃんやし、直截にいうのは慣れてるさかいに、直截に言うたろうと・・。これどういうことって聞かれてはじめて「いや実はこうで」ってケネディの話も含めて説明しようと、聞かれるっていうのは説明するチャンスがあるっていうことやから・・。ところが凄かったのは会った人100人の中ふたりくらいは「ナミねぇ、あんたの言いたいことは、この『障害者を納税者にできる日本』っていうキャッチフレーズこの一行で全部判るわ。」そういう人らがずーっと支援者の輪がより集まってね、こんにちのプロップがみんなで輪が広がって・・・。

レモン: そこの中には大学教授はおるわ、政治家の面白キャラはおるわ、いろんな人がつまり・・その・・。

ナミ: ビル・ゲイツもおる。

レモン: ビルゲイツと2回おうてますからね、このオバちゃん。

ナミ: 日本の福祉関係者と言われる人間で彼と何度か会った、しかも英語しゃべられへんのに(笑)っていうのは私だけですわ、自慢やないけど・・。

レモン: もう僕が先ナミねぇと知り合ってて明日ビル・ゲイツと会うって言われたらちょっとやめとこ、って言いそうになる。でもあの人も大変なんですよね。要するにあれだけお金もちになりますでしょ、毎日世界中から「お前の家族殺すで」っていうメールもらってるそうです。

ナミ: 私それ聞いた瞬間に「金持ちでのうて良かった〜。」(笑)

レモン: ところがそのビル・ゲイツさんと通訳を介してあったら、ビル・ゲイツがプロップステーションの理念というか気持ちを凄い理解して・・。

ナミ: 彼は日本では単に大金持ちの天才だって言われて調子乗ってるやつや、とか言われてそういう人が多い。あいつは金持ちやからって嫌いって、ところがあの人メッチャ職人、もう技術屋ですわ。分厚いメガネかけて肩にフケが落ちてるみたいな、そういう技術オタクの典型。そのかわりこの技術が人類を変えると信じ込んでいる。しかもそれを人類の発展向上にこの技術を絶対使うんや、と心底やって凄い天才的な技術者となって、しかもマイクロソフトっていう会社が急激にばーっと世界にコンピュータ広げて、いろいろ言われてるけどそういうオッサン。

レモン: 今、社会貢献ばっかりしてますよ。いろんな世界中廻って。

ナミ: アメリカで一番優秀な癌、白血病の研究所いうのは彼のドネイション(donation、寄付)。インドなんかでエイズの・・今は大金持ちでマイクロソフトの会長やってるけど、来年くらいにやめて奥さんと一緒に財団のほうに専念するっていう、相撲とりみたいな早いリタイヤやけど・・。(笑)

レモン: アメリカは早めにリタイヤしますからね。

ナミ: 今日本でなんとなく障害やLD、アスベルガーいろいろ言うけどビルさんもそうですし、レインマン彼なんかも・・そうですよね。芸術のね、日本のように『障害=マイナス』としか言わないような国は実は少ない。先進国ではもう少ななってます。日本はまだそこで止まってるからね。ナミねぇの関西のオバちゃんのパワーで、ちょっとずつでも変えやないかんな思とります。

レモン: 今日は実は一つ目のテーマとしては「個性と差別」というのがございまして。

ナミ: 「個性と差別」が並んでいるのがいまいち不明なんやけど。

レモン: まあまあこれとこれについてということでいいと思いますけど、まずひとつは今おっしゃったことですよ。日本は戦争も経験してますけども、ひとつにならんとあかんかったんですよね。個性がね。

ナミ: みんな敗戦からたちなおるために頑張ろうというか、経済の発展のために若くて元気な力のある人はそのために命がけでがんばってくれみたいにやってきて・・。

レモン: 戦時中なんかモロそうですよね。弾ですからね。みんな丸坊主になってひとつのことを追いかけて、家の中にあった鉄鍋も全部武器になって、そういう戦争を経て、終わって「あ〜えらいこっちゃこの国を立て直さな」いうことで、今度経済に走った、それがだんだん落ち着いてきた、そしたらだんだん「ええんちゃうか?もっと自由で?」というときにそういう差別が生まれる。「個性いらんねん」と、たとえば教育部門で言うとやっぱりいまだに教育がグチャグチャしてるのは、すでにそこで高度急成長した時のすばらしい教育があって、この教育が僕は神話になったと言うてるんですけど・・。神話になったことでリニューアル、リニューアルしていかなあかんのに、現場では上の先生が、キャリアの先生が若い芽をどんどん摘んで、なんか反発したら「ハイ島流し、島流し」これははっきり言うて今も続いていますからね。校長先生にそぐわないメンバーは捨てられます。そういう中で先生が個性が普通と違う、何を持って普通というのか知らんけど、普通と違う人は差別受ける。例えば母子家庭、父子家庭、在日の僕の友達なんかはいっぱいいるんですけど在日の韓国の人、そういう人だったり、障害を持っている人、凄い強烈に差別受けた時代がありましてね、それはもちろん今もありますけど、そういうのは感じてました。

ナミ: 私ね勉強嫌いだったでしょ。学校嫌いだったでしょ。家出ばっかりしてたでしょ。学歴中卒なんです。一応高校行くときだけ弟に勉強教わってなんとか高校にすべりこんで、またすぐ家出して、付き合ってる男の人がバレて不純異性交遊で学校退学になって、学籍抹消されて学歴というものに意味がない。学歴で差別があるとかなんとか以前の問題で、しかも自分の授かった赤ちゃんが一生親のことがわからんみたいな状態やから・・。そこが普通なんよ、みんなひとりひとりが普通やろ、その人の普通この人の普通やろ、しか私自身はよう思わん。もし差別があるとしたら、差別を無くす力は差別されてると言われてる人間にしかない、とわたしは思う。開き直れというのは簡単な言い方に聞こえるかもしれんけど、でもそれしかない。(差別)するほうがおかしい、「あんたの普通認めたるんやから私の普通認めろ。」そう言える自分を持った瞬間に、差別はあっても無いのと一緒になる。無くすというのは人に頼るんじゃなく、自分がその場所に生きてしか・・・。障害児の親が「うちの子、身体不自由やけどあほちゃうもん」ていうて安心してる肢体不自由のおかあさんとかようけいる。人間て自分も差別されてるかもわからんけど、必ずどこかで人を差別する眼で観てる。その時に無くすっていうのは自分がそうじゃなくなるしかない。

レモン: もうね凄い判り易く言うとね、ぼくもよくボランティアで行くんですけど、そういう学校。そこで聞いた話で、マンションでエレベーター待ってます。障害を持った子の手を引いて、近所のおばちゃんがでてきました。近寄ってきました。夏の暑いジージー言うてる時、おばあちゃんが優しそうな人ですよ。子供見て奥さんに一言「大変ですねぇ。」この感覚が日本中に普通にあること、あるいは自分の中にもあるっていうことを気づくことからスタートしないと、つまり「大変ですねぇ。」は悪いけど上から目線、完全に差別意識で言うてるていうことに気づいてない。「大変ですねぇ。」がなんやったら優しさやったりすると思ってるこの人間の驕り驕り、或いは日本のなかにあるそれを言って当然みたいな差別意識、母親にしたらかわいい、かわいい、個性のある子供やから、別に一緒ですけど、どんな子供も、大変や言うたら大変やし、ところがこの人は優しさで言うてはるから、気づいてへんからここで「何言うてるの奥さん!」言うわけにもいかんから、「ハイ。」言うしかない。みたいな。

ナミ: 私なんか電車乗ってたらおみかん無理やりくれたりとかね、(笑)いっぺんなんかポケットに入れてくれたんで、後でみたら千円札だったり・・。

レモン: うわ〜きついな!(笑)

ナミ: そんなんしょっちゅうありましたわ。

レモン: ただね、その感覚「あほ、違う、バカ」っていうんじゃなくやっぱり教育やと思うんですよ。僕はいっつも講演するとき一番最初に言うのは「皆さん、僕モノ教えにきたんと違いますよ。皆さんの心の中に全部答えがあるんですよ。人間として育ってらっしゃる方なら全員もう知ってはる。ただ、この国で教育受けたりいろんなトラウマやいろんなことがあって、感性の扉を閉められて、ところがそれをおかしいなと気づける元々の答えはみなさん持ってます。」と、現にこの戦争の時代の前の江戸時代は、今江戸時代の話一杯でてきてるから皆さん知ってはるかもしれませんけど、260年も平和が続いたんですよ。今まだ言うても60年チョイです。このときに簡単に言うたら、「共生」という言葉は無かったとしても、「共生」をするためのいろんなノウハウは詰め込まれて一杯あった。調べれば調べるほど笑いますよ。ただ江戸時代のことをそのまま今の時代に全部充てはめるのは無理がある。ただ普遍的なことは、例えば「人間」て書くじゃないですか?これは「じんかん」と読ませてた。つまり「人と人との間」これが大切なんや、つまり江戸時代にもうすでにあった、みんな個性があった。みんな意見が違って当たり前です、からスタートしてる。「あなたの言い分も、この人の言い分も、私の言い分も、この間をとってこの辺で話あって間をきめましょう。」さらに、「共生」という言葉は無かった。でも例えば「粋」な人がおる、さらっとする、かっこいい、イケてる、イケてないかっこ悪い大人が一杯いてみんな困ってるんですけども・・、例えば傘もって雨降ってるときに、すれ違う時にお互いが外側へ、細い路地でぶつかるとき、一本細い道でふたりぶつかる、ごめんよ、右肩引き、ごめんよ、足ふんでも、足踏んでしまった、ごめんなさい、いやいや、私がすっとよけんかったから、という会話、例えば困ってる人を手助けする、下駄紐取れてかっかっかっ(結んで)、「ハイ」、と返した、「有難うございます」、って言うたあとに、「お互い様や。」昔からお互い様。そういうことが昔からあった。江戸時代260年徳川さんの政治ですよ、ある意味、平和を創るために「共生」をどうするかっていうノウハウはもうあった。ところが戦争というのがおっぱじまった時に、個性が奪われて、みんな「右へならえ」で差別が生まれて、普通じゃないものが差別受けて、おかしなったと言われてますしね。

ナミ: 戦争するっていう事は若くてそれなりの体力もあってという人たちが、一番重要になるわけやから、今度はそれが終わったら経済の発展に寄与できる層の人が大切やし、って言われた時にそうじゃない人たちはだんだん別人種みたいに言われて・・。実は・・ちょっとちゃう話していい?プロップステーションは「障害者」っていう言葉は使てないんですよ。

レモン: 使てないんですよ。それ言うときましょ。

ナミ: ちょっとカタカナで「チャレンジド」ってそこへ書いてみてくれる。

レモン: 「チャレンジド」と呼んでる。

ナミ: 「チャレンジド」っていう言葉の意味を知ってる人ちょっと手を上げてみて? 質問変えよ。知らん人?(笑)

レモン: いやー僕も知らなかったですね。

ナミ: この言葉と出合ったのは12年前なんです。アメリカにいてはるプロップの支援者の人から「ここ数年アメリカではハンディキャップトとかディスエーブルパーソン、というふうに(いわゆる障害者を)呼ぶのを止めようという声が高まってきてる。」「なんでや?」ハンディキャップトもディスエーブル(可能性の否定)とかマイナスのところとか不可能とか、自分より劣るところだけに着目した呼び方は、人権の国アメリカと言いながらちょっと恥ずかしい。呼び方変えよう、という声が起きて国民自身の中からいろんな呼び方が生まれてきたらしい。その中で今定着しつつある言葉が「チャレンジドや。」ってその人が言うた。私は「チャレンジャー」の聞き間違いかと思って「チャレンジャーですか?」って聞き直したら「いやチャレンジドや。」「なんやのその最後についてるドは?」関西弁ではようありますね。「ドアホ」とか「ドけち」とか。

レモン: 「イテまうドー!」

ナミ: 「それか?」、「違う。」(笑)「Challenged」ていう綴り書けます?この「Challenge」の最後が「ed」になってこれが受身体やねんて「ed」がつくとね、私は中学しか出てないから「ed」がついたら過去形としか習ってないんやけど。チャレンジされる、よう意味わからんから説明してっていうたら「挑戦する使命や課題が与えられた」とか「挑戦するチャンスや資格が(神から)与えられた」という意味で受身体になってる言葉、そういう言葉をアメリカの人たちが、自分らで生み出して今使い始めてる。その人がその後「日本で障害者だけ表すんちゃうねんで、実は、例えば震災とかにあって復興に立ち向かってるような人たちもチャレンジドだ。」って使う、つまり「すべての人間に自分の課題に向きあう力が与えられている。そして課題が大きい人にはその力もきっとたくさん与えられている。」というような哲学を含んでるんや、ってその人が言うた。阪神淡路大震災でさっき言うたように、家が丸焼けになって、プロップステーションの阪神間におった仲間全員被災者になった。その時にみんなどないして、もう本当に地獄みたいだった。どないしてこんなもん立ち直ったらって頭真っ白になった。その時にみんなさすがに落ち込んでたんやけど、元気な私もさすがに落ち込んでたんやけど、どうやって復興してええか、助け合ってええかわかれへんけど、でもあんたは向き合える、向き合う力があるって言われたと感じただけで私元気になった。仲間に、こういう言葉教えてもろた、こういう意味があんねん、途端にみんな元気になって瓦礫のなかのパソコン引っ張りだした人もおったけど、みんな電気と電話線が繋がった瞬間に「私は生きてる。」「だれそれさんどないしてる?」と安否情報流した。そうしてる間、「今日はどこで弁当配ってるか知ってるか?」「水どないなってるか知ってる?」情報交換しだして「車椅子でお湯使わせてくれるようなところどこかないか?」そのうちある養護学校やったか老人ホームやったかにみんな避難してておしめが無くなった。「おしめがあそこで無くなったらしい。」っていうの誰かがネットに書き込んで、それがバトンリレーみたいにつながって、東京の紙オムツの会社から千個送られてきた。つまり日本で初めてのパソコンボランティアは、震災におうた重度の障害がある人がベッドの上のパソコンで始めた。「私らは障害者違うチャレンジドや、自分らは向き合える。」と思った瞬間に何ができるかといえば、自然的に安否情報から始まって・・、その時に人間繋がりあわな生きていかれへん。しかもその道具としてコンピュータというのが、これから凄いものにきっとなるなと予感がして、震災から落ち着いてからうちはコンピュータ勉強してた、チャレンジドたちが先生になって、地域の子供や高齢者にパソコン教える側に廻った。うちなんか足でコンピュータ教えて稼ぐおっちゃんとかね。

レモン: はぁー、足で!?

ナミ: 凄いでっせ、足で教える授業おもしろいよ。「はい皆さん、マウスから足離して!」(笑)「あんただけや!」そういう先生が現れたもんやから、足でコンピュータ勉強する人が増えてギャグにならなくなった。「あんたもですか?」

レモン: だから結局ナミねぇの言う「プロップ」いわゆる支えあいっていうのは、判り易くいうとね、日本の全体の空気が、・・そもそもあの字が嫌じゃないですか、最近嫌なんあれなんですよ「性同一性障害」、何が障害なんやと思う、酷い。そういう人たちがほぼ救済、そういうムードがあって、今言うチャレンジドとして、ちゃんと「自分も自立しまっせ」ていう尊厳ですよね、人間としての。「共生」ていうのは一番でかいテーマでもあるでしょうけど、一番最初の条件に自立していることやと思う、ようするに経済的自立とかそういう細かいことや無くて、気持ちの上でとかね、そういうチャレンジドの人らも「保護されてんねん」「救済してくれや」じゃなく、「何をいうてんねんこれはひとつの個性や、パソコン教えれるねん、ぜんぜんやれんねん、ほかのことできんねん。」ていう社会に空気があれば当然その人らに逆に気づいてない一般の人は教えられるでしょうね。「ちゃんとわしらも自立しとんねん。」さっき言うたエレベーターの前で「大変ですねぇ」という感覚もそこから無くなっていってくれれば一番ええ、こういう人たちが教える、或いは立ち上がる。

ナミ: だって教室で教科書で先生から何百回ノーマライゼーション、道徳とか習うより、うちのセミナーに来て教えてる先生の足がにゅっとここへ出てきてね、マウスピャッピャッと動かして「ちょっと手のけてみ、先生がやってあげるから。」チョチョっとやってもらったら一発。

レモン: へぇ〜、そういうことですね。

ナミ: 一緒にごった煮のノーマライゼーションていうのが必要やと思う。

レモン: まさに今一番大切なことがでたと思うんですけど、今日は他にも女性と男性でしゃべってくれっていうことを言われておりまして・・。

ナミ: わたしよくオッサンと呼ばれるんですけどこれ差別ですかね?(笑)よう言われるんですよ。男らしいなあ、あんた。ほめ言葉は元気やね、迫力あるね、とかそんなんばっかりですけど・・。

[写真]左 ナミねぇ、右 レモンさん

レモン: 僕はなんかアン・ルイスさんとかそっち系のオーラを感じますけどね・・。

ナミ: アン・ルイス好きなんですか?それジュリー言うたお返しですか?(笑)

レモン: いえいえ・・あと誰でしたっけ関西の・・大西ユカリ、葛城ユキ。

ナミ: 「ボヘミアン」が私の定番。(笑)

レモン: 元女優目指してたんですよ。

ナミ: 目指すのは誰でも目指せますよ。なれるかどうか・・。

レモン: その前には漫画家を目指してたんですよ。全部中途半端。(笑)

ナミ: 漫画家目指して、手塚治虫さんと小島功さんが日本で初めてやりはった漫画通信大学の1期生です。イラストとか描いたら友達から「あんた中々上手やん」てべたべたにほめられてすっかりその気になって、この1期生で漫画思い切り描いて手塚治虫さんに評価してもらうんやと思って、親に金ださせて「あんたは何者かになる。」て親が言うさかい金ださせて、入学費用とかペンもいろいろな種類買うてもろて、そして3月で挫折しました。(笑)漫画描かせてくれないの。まっすぐな線がね、何10センチずーっと引けるか?とかね・・。機械で描いた様なのが手で描けるかとかね、自分の手のグーとチョキとパーをデッサンせえとかね、右足と左足描けとかね、知らんがなそんなん!

レモン: ナミねぇ文句言うてますけど、みんなそら当たり前やと思うてますよ、基本やねんから。そんなすぐ漫画描けると思たんですか?学校っていうのは基本からじゃないですか。

ナミ: ウランちゃん上手に描けたんです。

レモン: 過去を暴露しますけど、ウランちゃん描けただけでないですからね。ウランちゃんの格好して歩いてたらしいですからね。

ナミ: それは「うる星やつら」のラムちゃん。

レモン: ラムちゃん!ミニスカートでラムちゃんの格好して・・。

ナミ: ちょうどあの頃星がついてふったらびよよよーん。(笑)そのミニスカートで娘のバギー押してん、近所で・・言うときますけどその当時は今の体型の半分、(笑)誤解のないように・・この格好ではミニスカートはさすがに・・その当時はこの太ももがウエストサイズ、診察に行って健康診断受けたら痩せすぎって・・・。

レモン: すいません、なんの自慢なんですか?(笑)

ナミ: いや、人間てこういう風に変わるでって・・。(笑)

レモン: 女性と男性です。

ナミ: それでも太ったっていうのは始めはすっごい辛かったわけ。細い私っていう高い自意識が、電車に乗ったらえらい見られるみたいな。

レモン: それで?

ナミ: 服全部買い替えなあかん・・2回くらいまでは悔しいと思ったけど、3回スリーサイズくらいあがってからは開き直りましたね。

レモン: 開き直ったらあかん、そこで。そういうときこそこれ思いださな、チャレンジ!(笑)

ナミ: 障害やなく、これはチャレンジされてるんやと、いう気になって、おまえはどこまで太っても平気や、(笑)神からの挑戦(笑)

レモン: そっちか?(笑)

ナミ: 間違いなく「チャレンジド」、(笑)「ホリゾンタリー・チャレンジド」って言葉知ってますか?「水平方向へチャレンジド」、(笑)今度は横へ成長してる。(笑)

レモン: 「チャレンジド」って言葉もなんか考えもんだなっていうのがわかりました・・(笑)。

ナミ: 今言いたいのは超少子高齢化で未曾有の日本は、日本国民全員が「チャレンジド」、今までの価値観でさっき言うたある一定層が社会支えてこの人らがやってたら済む、みたいな時代がもう終わった時に、新しい日本にするっていう意味で全員がチャレンジドになった。そこでやれることは、ひとりひとり違うやり方をする人がおって初めて上手くいく、今までみたいな・・だから女性と男性の違いは当然ある、赤ちゃん産む女性、産ませられる男性、だけど私の周りでもこの間まで男の人やったのに、今日は女の人になったボランティアさんとかごろごろいてはります。制服着てきてた人がスカートはいてきたり、スウェーデンがフリーセックスの国っていうんですけどあれはそうじゃなくて自由恋愛、自由結婚ですから、生まれてくる子供の6割以上は非婚子なんです。つまり日本のようにわずかしか非婚子が生まれない、5%以下、アメリカでも4割越えてます。つまりそういう国にとっては生まれてきた子供は社会全体で考えなあかんコンセンサス、ところが日本のように結婚の制度、障害や介護、「家で解決せえや、社会化なんかせんといてくれや」みたいな状態で非婚子5%未満ていう国において、やっぱり男と女の違いをすごい強調されてしまう。

レモン: なるほど。

ナミ: ですね、だけど世界の先進国は今言ったような状態なってるから、年齢も性別も障害のあるなしも分けてられへんから、逆に共生に繋がってきたということも言える。不思議な言い方になるかわからんけど、でも日本もそこへ間違いなく突入してるから、それに向かってチャレンジド意識もたへん限り、今までの区別を考えてたらあかん、と言うのも母ちゃんの血が流れてるのかなぁ?(笑)

レモン: そう思いますよ。僕はおかあちゃん、おとうちゃんも自然児やと思いますよ。おかしいなぁ、気持ち悪いなぁ、ということを意見した人だと思いますよ。

ナミ: その当時ははっきり言われへんかった時代に・・。

レモン: そうですよ、勇気いりますよ。その時代にましてや熊本出身で女性やいうのがあって・・。

ナミ: ええ氏の娘さんで旧家の8人も9人子供いて・・だけど長男とお父さんだけが一段高いところで尾かしら付き食べて、女子供やお手伝いさんが土間で味噌汁とご飯だけとか、それが当たり前の時代ですわ。誰もそれを不思議に思ってなかったときにうちのかあちゃんが「これはおかしい」と思たっていう時点でもうちょっと道外れた。(笑)他誰も言わないのに、末っ子のガキンチョの女の子が「おかしい、なんでとうちゃんとにいちゃんだけあそこへ乗ってるの?」それをずっと貫いて生きたのはやっぱり変わり者だし・・。

レモン: 間違いなく僕もここに立ってる二人は「おかしい」言う人間なんです。でもPTAでこんな被り物してたらね、周りの人はお前の方がおかしいって言われる。ぼくはPTAの話は後でしますけど・・。

ナミ: これでPTA行くんですか?

レモン: もちろんですよ、卒業式も入学式も・・スーツにこれ(レモンの被り物)着て。

ナミ: 負けたなやっぱり、この髪型くらいではダメやった。(笑)

レモン: そういう意味では、女性には女性の得意分野、或いは女性の中でも男性以上に得意分野が出てきた。男性は男性で今の若い子なんかはニュータイプがいますよ。ユニセックスという言葉もありますけど・・。男やけども・・。

ナミ: 髪型もほとんど、後ろから見たらわからん。

レモン: そういう感性の持ち主もいますし、この辺でいうと僕なんかは、逆に九州男児の昔からあったあの部分は、今こそ九州男児を継承してくれって思う。やっぱり九州の僕の周りの人が「家族を守るのはわしや!」って言う責任が最初からグッとあるから、今の若い子は「僕を守ってね」、と平気で言う男の子がいますから。

ナミ: 10人とお茶飲みにいったら8人は私が奢りますね。(笑)昔はね、男の人と飲みに行ったら絶対先にむこうが出した。だけどレジまで行ってもださへん。

レモン: 完全に極道の妻みたいな後姿になってるからですよ。「有難うございます!ご馳走様です!」

ナミ: 「オウ!」(笑)

レモン: 男も女も老若男女ですよ。もう年が若い関係なく、お互いが共生のためにはちゃんと自分を持って・・。

ナミ: 自立っていうのは、「自分が誇れる存在であろうとする意識。」だけど世の中の仕組みってそれを潰す部分も多いから自分で持たんと・・。

レモン: 僕が講演でいつもいうてるのは、「5つの意味を早急に教えなあきませんよ。」言うてる、それは何かって言うと「愛」の意味ってちゃんと教わったことあります?でも体でわかってはるでしょ。「愛とは?」って教わったことないでしょ。「プライドとは?」って教わったことあります?今ね、僕は子供たちと向かい合ってて、この5つの意味を早急に教わらないかんなぁと感じます。

ナミ: レモンさん、まじめな人やね。

レモン: そうですよ、僕は特に金八世代ですからね。だから今言うたんはここなんですよ。「プライド」っていうのは、わかりやすく言うと勘違いしてる上の人が一杯おって、みんなの前で恥かかされて悪口言われて「お前みんなの前でわしの悪口言うて、俺のプライドズタズタや!」ていうおっちゃんがいたんですけど・・。

ナミ: 「わしの顔潰すんかい!」

レモン: 「ごめんなさい、お宅の言うてるのは見栄でっせ。」(笑)それをプライドやって下の者に言うたら下の者も勘違いしますわ。ところが「プライドって何?」ってレモンさんは小学校1年生にも教えてます。大人に教えるのは簡単ですよ、『漢字で書きますよ、これはわかりますね「自尊心」自尊心ってなあに、ペッペペッペ唾はいてるそんな自分を尊敬できますか?できませんね。』子供たちに教える時は「自分のことが、イケてるー!とか、かっこいいー!と思える気持ち」つまり誰も見てへんからゴミそこへ捨てていこうで、「うわー、カッコわるー、俺はなんてカッコわるいことすんねや」プライドを傷つけるのは自分自身しかいてません、実は・・。「カッコよく生きようや、せっかく自分で生まれてきたんやから」って言うのがプライドやでって、さっきの話に繋がるんですけど、自立っていうのは経済的なものだけじゃなくて、自分がどういう障害もとうが、性同一性障害だろうが、堂々とね・・カミングアウトできない世界も一杯ありますけど、でも本来はそういうことが堂々と言える社会じゃないとあかんのはみんな知ってるはず、まずはお互いが・・「プライド」人を差別すること自体がもうカッコわるい「俺ってカッコわるい!」なんか正しいと思って「わーっ!」て言った時、間違ってると思ったときには「すいませんでした!」ってすぐ土下座できるとかね。「カッコいいってなに?、プライドってなに?」っていうのが、もういっぺん教えなあかんのちゃうかな。あとの幸せとか命とかこういう話もしますけど・・。

ナミ: 最後のこうきて5番目の「恐怖」というのは・・。

レモン: これはお金、一番最初に出てくるのはお金っていうのは、怪獣ですよ、僕ら教わらないんですよ、この日本ていうのは・・。やっとこさ夏休みに子供たちに教えるカリキュラムとか出てきたり、あと、なんかありますね、職業体験できる・・「キッザニア」とか、そういうのを簡易的にやらせるのとか、お金の流れを体験させるとか・・。お金とは本来日本では「やらしいこと言いな!お金のことばっかり!」とかね・・。

ナミ: せやからな、福祉の世界でも「金の事いうたらいかん!」ていうて誰も「この人ら稼がないかん。」て言わへん。おかしいね。

レモン: だからお金っていうのは大切なものやけど、そのかわり僕らの周りなんかは、借金して大変なことになってるわけです・・。これとかあと火ですね、火とか、防災、ようするに社会の恐怖なんです実は・・、例えばこんなにモノがあふれてます、こんなにみんな豊かで世界でGDP凄い日本いいね、なんて言われてよう言うわ、おんなしこの空気を今日も、真っ暗闇の中で生きてる子がたくさんいる。その子らが差別受けて、誰も話聞いてくれへん、みんなにいじめられて誰も助けてくれへん、何やったら大人が救わなあかんのに、大人が追い込んだり、もっと言うたら親が追い込んだりする。真っ暗闇で生きてるその子が、社会という漠然としたこの社会が、一歩外でたらみんなが俺の方観てるっていうような、この社会に対して反逆するのが無差別殺人ですよ。通り魔ですよ。おかあちゃんの首切った子おるでしょ、別におかあちゃんに恨みない言うてるでしょ、なにも悪びれたところないですよ、通り魔やってるやつは殆どそうです・・悪びれたところないです。なんでか・・、だって先僕をいじめたんはこの社会ですもん。そういう子らの話聞いてみてください。本当に悲惨な人生ですよ。差別、差別、差別の連続、誰でも嫌になります。そういう優しくない世界があって、ちゃんと話も聞いてくれへん、ちゃんと心をわかってくれへん、命なんて今一杯捨ててるのはなんで?いうたら、命の話なんかしてへんからですよ。例えば僕は入学式で必ず1年生に言うのは「あなたのお名前なんてーの?あなたのオメメは誰のもの?」て聞くんです。「えー?わたしのもの」「正解!みんな拍手してあげて!」「じゃあレモンさんから、もう一つ質問、あなたのオメメはほかにだれのもの?」と聞くんですよ。「えー、ほかに・・ママ、パパ」「正解!拍手!」「ほかにだれ・・ほかにだれ・・ほかにだれ・・」ずーっと言うんですよ。「おじいちゃん、おばあちゃん・・ひいじいちゃん、ひいばあちゃん」何やったら最後「ペット」とか「それも正解!」全員拍手。「誰か忘れてないか?目の前にいるの忘れてないか?」「あー、レモンさん」「そうや!僕のものでもある言うて、お鼻もお尻も全部、命は誰のもの?レモンさんのものでもある、だから君が廊下走ってて、でーんとこけて、血ピュー出したら、レモンさんそのひざに顔うずめて泣くで、頼むでー!ちゃんと管理してやー!」だから、うちの家では帰ったとき、子供がテレビの前、結構前のほうでテレビ見てたら「ああーっ!」って言うんですよ。

ナミ: なんやそれ。(笑)

レモン: 「ああーっ!」言うんですよ。「あっ、ごめんごめんパパ。」て下がりよる、「頼みますよ、俺の目ですからね。」(笑)「ちゃんと管理してください、びっくりしましたよ、心臓止まりそうでしたよ。」(笑)
そういう命は昔から父ちゃんがそれこそ「おまえの人生や勝手にせえ!お前が泣くんや、関係ない出て行け!」ていうのも愛情やったんですけどね、昔は・・、でもそれは伝わらない時代ですから、こういうことをちゃんと教え直さな、本当にこの本の中に一杯キーワードいただきましたけど、「幸せは私が決めます。」

ナミ: 決めます、自分しか決められない。

レモン: 「幸せも不幸になるのも私が決めるから」っていう、そういうふうにみんな思えるっていうのは大切やね、今の子はなんでいじめるんでしょうね、自分のことを・・、「俺は不幸せ、俺は駄目な男。」

ナミ: なんでなんやろうね?

レモン: それを話したい思いますけど。

ナミ: ゆっくりね、すごい重要な部分ですよね。

 

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