田原総一朗 激論! 「日本の外交と経済」早稲田大学「大隈塾」講義録 上

日本が戦争に負けて
60年たちました。
人の一生でいえば還暦といえます。
還暦というのは、人生の一区切り。
新しい人生が始まる年齢です。
つまり、戦後日本が
還暦を迎えたというのは、
戦後が終わって、
新しい日本が始まるということです。

(田原総一朗)

2005年6月、早稲田大学大隈塾にて「チャレンジドを納税者にできる日本」と題して行われたナミねぇ講演の模様を収録。

 

ナミねぇの講義より抜粋

講義のはじめに

これまでの日本の福祉観を変える
障害者問題、福祉の世界における革命児

こんにちは。今日から四回、今までの大隈塾とちょっと違った流れをあえて入れていこうということで、その第一回です。
今日のゲストは、みんなが「ナミねぇ」と呼んでいる、竹中ナミさん。障害者の問題で、広い意味の福祉の世界で、いってみればジャンヌ・ダルク、革命児です。霞が関のどの省庁に行っても「ナミねぇ」を知らない人はいないというぐらい有名な人。ある意味で日本中を引っかき回している人物です。
福祉の問題というのは、福祉そのものに関心があって将来そういうことにかかわっていこうと考えている人もいるだろうけれど、そうじゃない人は、たとえば障害のある人にかかわる話を、人ごととして関いてしまう。そういう長い日本の悪習がある。
これはナミねぇがいつもいっていることですけれど、私たち自身にしても、今日交通事故に遭って完全に体が動かなくなって、明日から障害者になる可能性があるし、身内がそうなる可能性もある。そういう意味で極めて普遍的な問題です。
そういう問題を、ものの考え方として、社会のあり方として、どうとらえていったらいいんだろうかということを、ぜひ今日はナミねぇから受け止めてもらいたいと思います。

(担当教員の高野孟さんの前書きより)

 

第7章 チャレンジドを納税者にできる日本

◆ゲスト講師――竹中ナミ プロップ・ステーション理事長

◆講義のはじめに
これまでの日本の福祉観を変える、障害者問題、福祉の世界における革命児

◆ゲスト講義
誰もが社会参加できる社会をつくるとは?
能力があっても障害があるだけで働く場所がない
誰もが働ける日本を目指してプロップ・ステーションを発足
一五年前に障害者の権利が法律で整備されたアメリカ
染み付いた福祉観の怖さ
いろいろな違いが人間にはあるが、まず可能性に着目する
人間のすごさは、限りない豊かな創造力を持っていること
一方だけが支える社会から、支え合う社会へ

◆質疑応答
自治を自分たちの手に取り戻そう
自分とは価値観の違う人に対してどういう対応をすればいいか?
知的障害者の支援をどうしたらいいか?
企業には、どのような制度づくり、仕組みづくりが必要なのか?
法律ができると、仕事をした分、介護費の負担が増えることになるのでは?
マザー・テレサやガンジーの原点と通底する考え

◆田原総一朗のズバリ!ひと言

 

書籍データ

発行 ダイヤモンド社

価格 1,575円(本体価格1,500円)

サイズ 15cm×21cm、モノクロ290ページ

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目次・解説・著者紹介

田原総一朗 激論! 日本の外交と経済

早稲田大学「大隈塾」講義録上

◆オリエンテーション
「世の中に希望がない」というのは間違い
夢は自分でつくるもの
転換期を恐れるな
これからの時代は「クリーン」「オネスト」「ビューティフル」
企画を考え、それを実現し、責任が取れるのがエリートだ
知恵として必要とされる人間を目指せ

第 一 部 日・米・中の関係
講義を理解するための予備知識
データで見る日・米・中

第1章 世界の常識、日本の非常識
◆ゲスト講師――岡本行夫 外交評論家・元首相補佐官

◆講義のはじめに 
沖縄問題、イラク問題担当の首相補佐官を務めた日本屈指の外交専門家

◆ゲスト講義
日本はどこが非常識か?
日本の安全保障の考え方は非常識だ
いうべきことをいうのが世界の常識だ
領土問題は相手国に対して繰り返し主張していくべき
反日感情と安全保障は直結している

◆質疑応答
過去の歴史を知らなければアジア諸国との関係改善はできない
靖国参拝をどう見ているか?
一九九五年が反日問題を解決するチャンスだったとは?
諸外国に対していうべきことをいってこなかったのは誰の責任か?
アジアの歴史認識の共有は当面期待できないのか?

◆田原総一朗のズバリ!ひと言

第2章 日米中関係の課題と日本の戦略
◆ゲスト講師――星 浩 朝日新聞編集委員

◆講義のはじめに
政治家、永田町をよく知るバランス感覚に優れた現役新聞記者

◆ゲスト講義
変動する世界の中で日本は変化に対応できるか?
北朝鮮との関係回復は日本の将来にとって不可欠
長期的な視野でどういう国を目指すかを考える
湾岸戦争、イラク戦争が日本に突き付けたもの
米軍再編は中国の最大の関心事
共通戦略目標でアメリカが日本に期待するもの
政策決定者と世論とを結び付けるのがメディアの役割

◆質疑応答
世界第二位の経済大国にふさわしい態度を
世論をつくっているのはメディアではないのか?
中国の体制の移行期が、日中関係回復のチャンスではなかったか?

◆田原総一朗のズバリ!ひと言

第3章 チャイナリスクと日米関係
◆ゲスト講師――前原誠司 民主党「次の内閣」ネクスト防衛庁長官・衆議院議員

◆講義のはじめに
民主党「次の内閣」の防衛庁長官、安全保障と外交のエキスパート

◆ゲスト講義
日米中の三角形をどう形成すべきか?
スーダン注目の理由はエネルギーだ
米中の結び付きが強まるにつれ問題も浮上
日本にとってアメリカは今後も重要な存在
日中関係を改善せよ
日本は外交努力をおこたってはならない

◆質疑応答
主体的な外交がもっとも重要
中国は二一世紀、脅威となるのか?
日本の集団的自衛権の問題をどう考えるか?
日本はインドとどう付き合っていくべきか?
議員外交はどういう可能性を持つのか?
正しい歴史認識を持てるかが今後ますます重要

◆田原総一朗のズバリ!ひと言

第4章 ナショナリズムと愛国心
◆ゲスト講師――姜 尚中 東京大学社会情報研究所教授

◆講義のはじめに
著書『在日』が話題の、韓国と日本の問題に独自の視点を持つリベラルの代表者

◆ゲスト講義
愛国心をどう発揮するべきか?
戦後の日本はナショナリズムを否定して経済に邁進した
ナショナリズム、グローバリズム、リージョナリズムが絡み合う現代
ナショナリズムの拡大は多民族になることを意味する
韓国の反日感情の裏にひそむ国内問題
抗日的というだけでは韓国人にとっての英雄にはなり得ない
国家が国際社会で生き残るには、力と倫理の両方が必要だ

◆質疑応答
日韓の交流や協力は両国の国益につながる
日本は軍事力を持つべきか?
東アジア共同体が、反米感情に結び付いていくということはないか?
APECがあるのに東アジア共同体がどうして必要なのか?
日韓関係のビジョンや問題とは?
戦前の日本が描いた東アジア共同体的構想は誤りではなかったのか?

◆田原総一朗のズバリ!ひと言

第5章 これからのアメリカ外交と日本
◆ゲスト講師――村田晃嗣 同志社大学法学部教授

◆講義のはじめに
わかりやすい本を次々と世に出す当代きってのアメリカ通

◆ゲスト講義
北東アジアに位置する日本がなすべきことは?
北東アジアは主権国家同士の国際関係が始まって、まだ歴史が浅い
戦後の日本の外交は、軽武装、経済重視、日米関係が三本柱だった
冷戦が終わってヨーロッパは平和になり、北東アジアは問題が噴出
冷戦後のアメリカを担った三つの政権の特徴
自由と民主主義を拡大するというアメリカの基本路線は続く
アメリカの力の優越と限界
外交は、自国の国力の限界というものをまず前提にする
軍事、経済、文化、情報という国力のバランスを図れ

◆質疑応答
ソフトパワーを行使できる国に
武力行使、交戦権を集団的自衛権も含めて認めるべきか?
日本が常任理事国に入ると日中関係にどういう影響が出るのか?
アメリカは、国際協調と自らの意志を同時に追求することができるのか?

◆田原総一朗のズバリ!ひと言

第6章 二一世紀の世界の潮流と日本
◆ゲスト講師――寺島実郎 (財)日本総合研究所理事長・(株)三井物産戦略研究所所長

◆講義のはじめに
新聞、雑誌、テレビでの旺盛な発言で有名な日本有数のシンクタンクの理事長

◆ゲスト講義
世界と日本に中国はどうかかわってくるのか?
貿易構造の変化が、今の時代を反映している
「大中華圏」の躍進
日米関係の谷間に必ず中国がかかわってきた
日本の二〇世紀の国際関係は「アングロサクソン同盟」だ
アメリカの対アジア戦略を視野に入れて日本外交を考えよ

◆質疑応答
「親米入亜」が日本のテーマ
アジアとのかかわりを強めていくことにともなう問題をどう克服すればいいのか?
さまざまな問題を抱える中国が、アメリカを追い抜くことができるのか?

◆田原総一朗のズバリ!ひと言

第 二 部 新しい日本経済をつくる
講義を理解するための予備知識
変わる日本

第7章 チャレンジドを納税者にできる日本
◆ゲスト講師――竹中ナミ プロップ・ステーション理事長

◆講義のはじめに
これまでの日本の福祉観を変える、障害者問題、福祉の世界における革命児

◆ゲスト講義
誰もが社会参加できる社会をつくるとは?
能力があっても障害があるだけで働く場所がない
誰もが働ける日本を目指してプロップ・ステーションを発足
一五年前に障害者の権利が法律で整備されたアメリカ
染み付いた福祉観の怖さ
いろいろな違いが人間にはあるが、まず可能性に着目する
人間のすごさは、限りない豊かな創造力を持っていること
一方だけが支える社会から、支え合う社会へ

◆質疑応答
自治を自分たちの手に取り戻そう
自分とは価値観の違う人に対してどういう対応をすればいいか?
知的障害者の支援をどうしたらいいか?
企業には、どのような制度づくり、仕組みづくりが必要なのか?
法律ができると、仕事をした分、介護費の負担が増えることになるのでは?
マザー・テレサやガンジーの原点と通底する考え

◆田原総一朗のズバリ!ひと言

第8章 小さなトップ企業の戦略
◆ゲスト講師――松浦元男 株式会社 樹研工業代表取締役社長

◆講義のはじめに
自ら「世界一の中小企業」という日本経済を真に支える社長

◆ゲスト講義
企業が生きのびるポイントは?
製造や技術の世界は変化が激しい
生き残りをかけて、分析・研究・工夫を重ねる
規模の拡大競争に巻き込まれないための新技術開発
日本の製造業の強みは品質管理技術
自己資本比率を上げれば貸し渋りはない
社員の役割分担がうまく行けば企業運営は成功だ

◆質疑応答
人生の目的と結果を間違えるな
トップになる人間に一番重要なのは何か?
なぜ先着順採用を導入しているのか?
新入社員に求めることは?
日本企業はアジア諸国との競争に勝てるようになるか?

◆田原総一朗のズバリ!ひと言

第9章 地方発循環型社会への挑戦
◆ゲスト講師――菅野芳秀 養鶏農家・山形県長井市レインボープラン推進協議会会長

◆講義のはじめに
生ごみで堆肥をつくる地域リサイクルを実現した、元全共闘の闘士

◆ゲスト講義
農を基礎とした循環型社会づくりとは?
デパ地下からは見えない農業の危機
今は「開発と発展の時代」から「生命と循環の時代」への転換期
年間一五〇〇トンの生ごみは一〇〇%堆肥に
NPO虹の駅誕生で農家と市民の接点に
「循環」「ともに」「土は命の源」という三つの理念
循環型社会づくりは人と人との物語
土は命の循環の舞台
生ごみを出すことで農に参加する社会

◆質疑応答
地方から広がって、いつか都会も変わる
循環型社会に採算性はあるのか?
東京でレインボープランは可能か?
太陽光を使わない農業は許されるか?
都市の人が生ごみを分別できるか?

◆田原総一朗のズバリ!ひと言

第10章 元気な地域をつくる地元学
◆ゲスト講師――吉本哲郎 水俣市生涯学習課長・地元学協会事務局長

◆講義のはじめに
水俣の環境への取り組みをリードしてきた「地元学」の生みの親

◆ゲスト講義
マイナスをプラスに変えて地域を再生するには?
地域を元気にするにはまず「つくる力をつくる」ことから
人が元気、地域が元気、経済が元気
新しいものを生み出すための「あるもの探し」
水俣病の犠牲を無駄にしない水俣の再生
水俣湾のサンゴがよみがえった
まず自分の住んでいるところを知ろう
「地元学」が日本のみならず世界へ広がり始めた

◆質疑応答
地元を知れば日本は変わる
今までに、これはもうだめだと思ったことはあったか?
対立の中、どのような形で地域住民の協力を取り付けたのか?
水俣に対するイメージは変わってきたか?
市町村合併は地元を再生する手段の一つとして有効か?
日本はどうなるのか、吉本さんの戦略は?

◆田原総一朗のズバリ!ひと言

用語索引

著者紹介

田原総一朗(たはら・そういちろう)
1934年、滋賀県彦根市生まれ。早稲田大学文学部卒。岩波映画製作所、テレビ東京を経て、77年フリーに。テレビ東京時代の連続番組「ドキュメンタリー青春」で、取材対象者に肉薄する独特のインタビュー手法で注目を浴びる。現在は政治・経済・メディア・IT等、時代の最先端の問題をとらえ、活字と放送の両メディアにわたり精力的な評論活動を続けている。テレビ朝日系列で87年より『朝まで生テレビ!』(毎月最終金曜日25時〜)、89年より『サンデープロジェクト』(毎週日曜日10時〜)に出演。テレビジャーナリズムの新しい地平を拓いたとして、98年ギャラクシー35周年記念賞(城戸又一賞)を受賞した。2002年より母校・早稲田大学で「大隈塾」を開講。塾頭として未来のリーダーを育てるべく、学生や社会人の指導にあたっている。

代表著書
『原子力戦争』
『マイコン・ウォーズ』
『電通』
『警察官僚の時代』
『日本の官僚』
『メディア・ウォーズ』
『田原総一朗の闘うテレビ論』
『頭のない鯨〜政治劇の真実』
など多数

近著
『日本の戦争』(小学館文庫)
『日本の政治 〜田中角栄・角栄以後』(講談社)
『日本の戦後 私たちは間違っていたか』(上、講談社)
『日本の戦後 定年を迎えた戦後民主主義』(下、講談社)
『日本の生き方』(PHP研究所)
『日本政治の表と裏がわかる本』(幻冬舎文庫)
『連合赤軍とオウム 〜わが心のアルカイダ』(集英社)
『「小泉の日本」を読む』(朝日新聞社)
『面白い奴ほど仕事人間』(青春出版社)
『日本のからくり21』(朝日新聞社)
『愛国心』(共著、講談社)
『わたしたちの愛』(講談社)
『田原総一朗自選集』(全5巻、アスコム)

早稲田大学「大隈塾」講義録
『日本よ! 日本人よ!』(小学館)
『田原総一朗の早大講義録(1、2)』(アスコム)
『田原総一朗の早大「大隈塾」講義録2005−『激論!日本』政治編』(ダイヤモンド社)
『田原総一朗の早大「大隈塾」講義録2005−『激論!日本』経済編』(ダイヤモンド社)

映画 
『あらかじめ失われた恋人たちよ』(1971年)監督

早稲田大学21世紀日本構想研究所
国際レベルの日本再生プランを策定し、現実的な政策を国内外に提言する。国際経済、国際安全保障、日本の政治経済の構造改革という課題に対し、政治家、経済人、ジャーナリストと意見交換し、実証的かつ科学的な総合研究を進め、人材育成にも貢献している。

(ダイヤモンド社ホームページより抜粋させていただきました)

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