郵便不正裁判結審…村木元局長改めて無罪主張

読売新聞 2010年6月29日記事

 郵便不正を巡る偽の障害者団体証明書発行事件で、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省元局長・村木厚子被告(54)(求刑・懲役1年6月)の最終弁論が29日、大阪地裁(横田信之裁判長)であった。

 弁護側は改めて無罪を主張し、結審した。

 弁護側は「検察ストーリーが成り立たないことは明白。村木被告は違法・不当な捜査の犠牲者だ」と述べ、大阪地検特捜部の捜査を批判した。判決は9月10日。

 弁護側はまず、証明書発行が「石井一参院議員(75)が口添えした『議員案件』だった」とする検察側主張について、自称障害者団体「凛(りん)の会」元会長・倉沢邦夫被告(74)(一部無罪、検察側控訴)が口添えを依頼したとされる日に、石井議員が千葉県でゴルフをしていたことを根拠に、「大前提が崩壊している」と反論した。

 また、厚労省元係長・上村(かみむら)勉被告(40)(公判中)が同僚の目を気にして深夜や早朝に証明書を作成したとする点にも触れ、「検察側は、証明書の作成は議員案件で、組織として対応していたと主張しており、(上村被告の行動は)不合理極まりなく、矛盾に満ちている」と検察ストーリーを酷評した。

 捜査についても、特捜部が押収した村木被告の業務日誌には凛の会の記載がなく、倉沢被告の手帳にも村木被告の名前がなかった点などを挙げ、「客観的証拠を軽視、もしくは無視する一方で、関係者を呼び出しては、検察ストーリーに沿った調書を作成することに力を注ぎ、その結果、冤罪(えんざい)を発生させた」と結んだ。

 この後、村木被告は「証明書偽造には一切、かかわっておりません」などと、意見陳述した。閉廷後、記者会見した主任弁護人の弘中惇一郎弁護士は「法廷で真相究明はできたと思う。判決については、心配していない」と無罪判決に自信を見せた。

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