フォーラムに参加したチャレンジドに聞く! |
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「障害者が使うネットワーク」の
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前のページに登場した人たちは、今回チャレンジド・ジャパン・フォーラムにパネリストとして参加した。自ら「チャレンジド」として名乗りを上げて、成功の事例を持っている人たちだ。これに対して、一般参加の障害者はどのように考えているのだろうか。フォーラムに一般参加した方々に意見を伺った。
●障害者が発言したことが画期的だった
お話を伺ったのは、東京都中央区に在住の阪本英樹さん。障害名は「脊髄性灰白質小児麻痺後遺症による体幹及び四肢不完全麻痺」。現在は日本IBM株式会社に勤務しており、東京都身体障害者福祉団体連合会国際部長を務める。自家用車で川崎に通勤する傍ら、福祉にかかわるさまざまな活動をしている。今回は1人の障害者として、フォーラムに参加した。
阪本さんはチャレンジド・ジャパン・フォーラムを評して「どうやって儲けにつなげるかということ、どうやって収入に結び付けるかということを示しましたよね。それは非常に画期的でした。(障害者とネットワーク)というとやはり障害を持たない人が中心となって発言するというパターンが多いんですけど、障害を持った人が実際に出てきて発言していたのが、従来の集まりとは決定的に違うと思います」と語る。
障害者の国際会議などに出席する機会が多い阪本さんは「日本の障害者はもっと発言すべきだ」と語る。以前からそのことにはがゆさを感じていた阪本さんにとって、実際に障害者が壇上に立って自らの体験を語っている姿は印象的だったようだ。
阪本英樹さん。「使っていない人にいかに使ってもらうかを考えてほしい」。
●ネットワークにつながっていない人のことも考えたい
ただ、一方で今回のフォーラムに不満を感じた面もあるという。「自分が1年間こういった活動をやってきて、最近痛感しているのは、現在、情報にアクセスしていない人は関係ないということなんですよ。車椅子の障害者であろうと何の障害を持つ者であろうと。本来は、情報にアクセスできない人をどうするかということももっと論ずるべきだと思う。情報のネットワークの外にいる人。フォーラムで一番関心を持ったことがそこなんですが、そういう議論は一言もなかったですね。なんか、メールぐらいはできるというのが、そこにいる人たちの暗黙の前提という感じを受けました。しかし、それはフィクションの世界であって、現実の世界は接続もままならないというかお金がないというか。あるいは能力がないとか。そういう人たちがいて、その人をどうするかということが一番の問題だと思います」と語る。ネットワークが障害者にとって有効なツールであればあるほど、それをまだ利用していない人への働きかけは重要であろう。
●インターネットはアクセスポイントの多さが魅力
もう1人、会場でお話を聞いた新潟県岩船郡在住の伊藤和彦さんはプロップ・ステーションの一員で、在宅勤務の実現のために、データベースソフトウェアの講習をネットワークで受けている。在宅就労を目標としているだけあって、今回のフォーラムには、大変魅力を感じたようだ。「大都市から離れた小都市に住んでいるのですが、今回までは所属していたパソコン通信のアクセスポイントが近くになく、いちいち大都市まで電話をかけていました。パソコン通信と違い、インターネットなら小都市に住んでいても、地域のプロバイダーを利用すればアクセスポイントが家の近くにあるという利点があります。通信料金が格段に安くなりました」と語る。
伊藤さんは、現在のネットワークの問題点は通信費の高さだと指摘してうえで、インターネットの良さを「通信費の安さ」に認めている。
伊藤和彦さん。「通信費をもう少し安くしてほしい」。