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日本経済新聞 2005年10月7日より転載

 

ICタグで街案内

YRP研13日から上野公園で実験


画像と音声の説明が流れる(実証実験で使う携帯端末)

ICタグ(荷札)と情報通信端末を使った案内システムの実用を目指した実験が始まる。YRPユビキタス・ネットワーキング研究所(東京・品川、坂村健所長)と東京都、国土交通省は13日から、上野公園で実験を始めるほか、秋葉原では最新技術の展示会を開く。2006年度には、銀座でも地下街やビルの商店情報を盛り込んだ案内実験を計画中だ。

ICタグは大量の情報を盛り込んだゴマ粒大のICチップを載せたもので、上野公園内の150カ所に埋め込んでおく。専用の携帯端末をかざすと、無線で情報を読み取って音声や画像で案内が流れる仕組み。実験では携帯端末を100台用意して、観光客らに貸し出す。

上野動物園の動物の生態、国立西洋美術館などの催し物、谷中など周辺の観光情報、アメ横などの商店街情報など盛り込む。たとえば、動物を目の前に見ながら、端末で夜の生態や出産の様子などを解説付きで楽しむことができる。上野周辺の商店や飲食店など約80店の情報も盛る。

全地球測位システム(GPS)と公園内に設置する無線マーカーを使って、端末の画面に位置情報も表示できる。国交省は視覚障害者らが使いやすい仕組みを研究する。

秋葉原ダイビルでは、ICタグ技術の将来像などを展示する。同研究所は今年4月、国交省などと共同で東京・浅草でも同様のICタグを活用した観光案内実験に取り組んでいる。5年後には携帯電話や腕時計などに、ICタグの読み取り機能が盛り込まれると予想。「ICタグ技術で世界標準の獲得を狙う」(坂村氏)としている。


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