18日に神戸市東灘区の神戸ファッションマートで始まった「第10回チャレンジド・ジャパン・フォーラム2005国際会議 in HYOGO/KOBE」で、「すべての人が安全に暮らせる社会への提言─阪神・淡路大震災から学ぶ」をテーマにしたセッションが開かれた。国や自治体、研究機関の代表者ら4人のパネリストが、震災の教訓を将来の大規模な自然災害やテロ対策にどう生かすかについて話し合った。
会場で「自律移動支援システム」を体験する参加者=神戸ファッションマート
セッションでは、震災の教訓について、矢田立郎神戸市長が「住民が互いに助け合う仕組みの大切さが認識され、ボランティア組織の全国的な取り組みが進んだ」などと指摘。国土交通省の佐藤信秋事務次官は、震災後の災害対策で、被災地との情報共有や省庁間の連携が強化された事例を紹介した。
一方、河田恵昭・人と防災未来センター長は、全国で進む自治体合併に触れ、「自治体のずうたいが大きくなり、防災のフットワークが悪くなるだけでなく、財政難から、合併前の自治体の一番低いレベルに抑えられてしまう風潮がある」と懸念を表明。「防災は行政の最大の顧客サービスとして進めなければ」と念を押した。
また、テロ対策について、井戸敏三兵庫県知事は「自然災害とは違い、被害の想定が難しい。発生後、いかに早く情報を取りに行くかということと、初動のシュミレーションを繰り返すことが大切」と話した。
同フォーラムには、約700人が参加。講演やテーマごとのセッションのほか、情報技術(IT)を使って道路や観光地の情報を携帯端末を通じて入手できる「自律移動支援システム」の体験ツアーもあった。
(石崎勝伸)