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読売新聞 2005年4月14日より転載

会場の通信機器から案内情報

“携帯ナビ”使い勝手は?

瀬戸で視覚障害者ら実験 自律移動支援プロジェクト


携帯端末に受けた情報で障害を持つ人たちが道案内などを受ける「自律移動支援プロジェクト」の実証実験が13日、瀬戸会場で行われた。国土交通省などが進めるプロジェクトで、高齢者や障害者の社会参画に威力を発揮すると期待されている。6月には同会場で事前に予約した人に貸し出して実験を続けることにしている。


ICタグを使った自律移動支援プロジェクトの実験で機器が付いたつえを頼りに階段を上る長谷川さん(右)

実験にはプロジェクト推進委員長の坂村健・東大大学院教授や、同プロジェクト委員で日本点字図書館評議員の長谷川貞夫さん(70)(東京都練馬区)を含む4人の視覚障害者らが参加。瀬戸会場内には約1000か所に道案内などの情報を発信する「ICタグつき視覚障害者誘導用ブロック」や「無線マーカー」などの通信機器が設置されており、長谷川さんらは先端に読み取り装置が付いたつえを持って歩き回った。

長谷川さんらが通信機器の近くを通ると、携帯端末が「5メートル先で右に曲がります」「階段があります」などの情報をキャッチし、音声情報で伝達。ほぼ正確に歩けたものの、長谷川さんは「一度に入る情報が多すぎる」「階段の段数を教えてほしい」などと注文し、早速、改良された。

これとは別に、国交省では同様のシステムを使って、長久手会場に周辺パビリオンの情報を携帯端末で入手できる無線マーカーや、ICタグなど約2000個を設置する予定。英語や中国語でも対応可能で、音声とともにディスプレーに文字情報も送り、6月に貸し出すことにしている。

同委員会では、システムの10年後の実用化を目指しており、坂村教授は「万博会場は外国人も多く、実験に最適。きょう貴重な意見を聞いたので、6月までに改良を加えていきたい」と話していた。


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