身障者や高齢者が冬期間に安心・快適に移動できる環境づくりを目指す国と県による「ゆきナビあおもりプロジェクト」の実証・公開実験が11日、青森市の柳町通りと酸ヶ湯地区で行われた。これは携帯端末とICタグなどを活用した「場所情報システム」により、音声や画像で現在地の位置情報などが分かる仕組み。今回の実験を踏まえ、将来的なシステム導入を念頭にした積雪環境下での本格試験は今冬から始まる。

タグを埋め込んだ点字ブロックを使って行った実証実験(青森市・柳町通り)
システムは点字ブロックなどに埋め込んだICタグを障害者らが持つセンサーが感知、「ユビキタスコミュニケーターー」と呼ばれる携帯端末から数メートル先の横断歩道の存在など位置情報が流れる仕組み。視覚障害者であれば、音声で情報が伝わるようになっている。
11日は積雪が多い青森市酸ヶ湯地区で性能確認の実証実験後、三村知事や県職員ら約百人が見守る中、柳町通りで公開実験を行った。
東京大学大学院の坂村健教授(国土交通省自律移動支援プロジェクト推進委員長)の指導の下、視覚障害者を想定し、つえ肩の装置を使って点字ブロックのタグを感知した端末から「この先、5メートルに交差点があります」「直進は文化会館です」など音声が伝わる様子や、位置情報以外で青森ねぶたの映像が流れる場面に関心が集まった。
坂村教授は「実験が成功すれば道を歩きながら携帯端末を使い、自律的に移動できる。どんな機構でも活用できるようにしたい」と話した。11日からの実験は5月中旬で終了し、結果は6月までにまとまる予定。
本県の場合、積雪寒冷地であることから、タグが雪に埋まった場合、どのような影響が出るのか検証する必要がある。冬季の本格試験では、積雪量や低温、凍結抑止剤、凍結・融解による劣化─のそれぞれ影響を調べる。県は実験を含めたプロジェクトの関係費用として今年度一般会計予算にユビキタスあおもり推進事業費2千万円を計上している。
