高機能・携帯型の情報通信端末を活用した観光案内サービスの実証実験が、東京・浅草で12日にスタートする。雷門や五重塔といった観光名所や土産物店など約100カ所にICチップや無線マーカーを設置。端末を持って近づけば、動画や音声を使って名所の詳細情報や店舗紹介などが受けられる。初めてでも気軽に観光できる環境を整え、外国人も含めた集客拡大につなげる考え。

約100カ所にICチップや無線マーカーを設置
実験は5月末までの約1カ月半。地元の観光業界関係者などでつくる観光ガイドシステム推進委員会と国土交通省、ICタグ(荷札)の研究・開発を手掛けるYRPユビキタス・ネットワーキング研究所(所長・坂村健東大教授)が協力して実施する。
浅草観音堂や仲見世のほか、歌舞伎役者「九代目市川団十郎」の像、数多くの有名芸能人の手形が飾られた「スターの広場」など大衆芸能関係の観光名所にもICチップを設置。名所の情報をはじめ、浅草の歴史や祭りの風景、ゆかりの著名人の映像なども端末画面で紹介する。
端末は数十台程度用意し、浅草周辺のホテルの宿泊客などを対象に貸し出す。外国人観光客向けに、英語、中国語、韓国語にも対応できるようにする方針だ。
今秋には東京都が中心となって上野公園周辺で同様の実証実験を開始。博物館や美術館の情報紹介や全地球測位システム(GPS)を使った位置表示、上野動物園での電子マネーサービスなどを手掛ける。

観光産業のてこ入れを進める政府や東京都にとって、外国人観光客の掘り起こしは重要な課題。東京を訪れる外国人客は約300万人で、都はこれを2006年には600万人に増やす目標を掲げている。浅草や上野など外国人客の多い観光地で先進的なシステムを試験導入することで、新たな観光振興策の足がかりにしたい考えだ。
