
昨年は、残念なことに災害の多い年でした。7月の福井豪雨、10月の台風23号、新潟県中越地震等歴史に残る大災害があり、脆弱(ぜいじゃく)な国土を目の当たりにさせられました。一方、7月1日に、国内では12番目の世界遺産となる「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産登録、7月23日には、阪神港が「スーパー中枢港湾」に指定されるなど明るい話題もありました。また、障害者・高齢者や外国人をはじめとしたあらゆる人たちがITを使って全国各地を自由に移動できる「ユニバーサル社会」の実現に向けた取り組み「自律的移動支援プロジェクト」が世界で初めて神戸で動きだしましたし、道路事業においても、南阪奈道路が供用されるなど、着々と道路ネットワークの整備が推進され、関西の発展に寄与できた年でもありました。
国土交通省では、社会資本の整備・管理をより一層効率的・効果的に進めていくという観点から、社会資本整備重点計画を策定し、また近畿ブロックにおいても昨年7月に「近畿の社会資本整備に係る長期ビジョン」を策定し、「近畿はひとつ」の理念のもと、連携・協働しながら、スピード感を持って「選択と集中」でメリハリをきかせ、事業効果の早期発現を達成していくこととしています。
公共事業はその建設が目的ではなく、国民にとって生活や地域を豊かにする手段であり、百年オーダーでの長いスパンや大きなスケールで考えていく必要があります。昨年、国会に提出された「公共工事の品質確保の促進に関する法律」も今年の通常国会で成立に向けて審議が進められると思いますが、今後とも「未知普請」の精神のもと、皆様方と一緒になって、豊かで快適な生活と美しい国づくりに向けて努力してまいる所存です。
徐々に明るさが増す日本経済の中で、近畿の経済回復には、やや遅れが見られていました。しかし、関西には、厳しい状況の中でも各種経済指標にも明るい兆しが現れ、期待の持てるプロジェクトも進行しており、また、知恵を絞り技術を生かして頑張る地域や企業、NPO、個人などが多数活躍されています。阪神・淡路大震災の10周年を迎える今年、関西の産学公民がスクラムを組んで「関西は元気だ」と実感し、そして「関西は元気だ」と発信する「関西元気宣言」発信運動を展開し、関西の元気をより一層高めるとともに元気あふれる魅力的な地域であることの認識を広めていくことにより、東京や世界にとって関西が重要な役割を果たす地域であるとの認識を広めていきたいと思っています。
今後とも、活力ある近畿の再生や個性ある地域づくりにスピード感を持って取り組んで参りますので、引き続き関係各位のご支援とご協力をお願い申し上げ、年頭のあいさつとさせていただきます。
