毎日新聞 2009年3月17日「ひと」欄より転載

毎日新聞ひと欄

「チャレンジド」支援で米国が表彰

竹中 ナミさん 60

ナミねぇ写真・平田明浩

 米国務長官による顕彰事業の一環として今月5日、東京の米国大使館から「勇気ある日本女性賞」を授与された。式典に招かれた各界の女性たちに祝福され、「私は単に口と心臓だけのおばちゃん。これは私たちの輪が受けた賞やと思うてます」と語った。

 愛称ナミねえ。姉御肌のパワフルな関西女性である。

 神戸を拠点にボランティア仲間と「プロップ・ステーション」を発足させて18年。障害のある人を「チャレンジド」(神から挑戦の機会を与えられた人)と呼ぶ米国の考え方に共感し、「チャレンジドが仕事を得て納税者になれる日本」を目指してきた。

 障害者向けのパソコンセミナーと、セミナー修了者への就労支援が活動の2本柱だ。障害を補う手段としてパソコンを活用し、各人の潜在能力を引き出そうとするプロップの手法は広く注目を集めた。「障害者年金を支給するからあんたら働かんでもええよ、というような日本の福祉行政はおかしい」と訴える。

 自称「不良時代」の16歳で結婚。24歳で重度の脳障害を持つ長女麻紀さんを授かったことが人生を変えた。

 今や米国防総省の障害者支援チームと連携したり、政府の審議会を手伝わされたりと大忙しだ。05年郵政選挙では小泉純一郎元首相の秘書に出馬要請されたことも。「私の仕事はプロップなんよ」と即座に断った。

文・古賀攻

 神戸市出身。社会福祉法人プロップ・ステーション理事長。昨年10月、東京・赤坂に東京事務所を開設した。

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