日刊工業新聞 2008年8月15日より転載

障害者雇用はいま 私はこう見る

能力見いだし活躍の場を

個人に合った働き方を

竹中ナミの写真
社会福祉法人プロップ
・ステーション理事長
竹中 ナミ氏

 障害者自立支援法の施行により、障害者の「福祉」から「就労」に向けて国の取り組みが変わってきた。ただ「雇用」だけでなく、自営を含めた「起業」まで考えなければならない。

 プロップ・ステーションでは従来のITセミナーに加え、神戸の特性を生かして洋菓子の世界で活躍するチャレンジド(障害者)を生み出そうというプロジェクトを始めた。一流のプロである職人が洋菓子作りを教えており、12月までに計5回の講座を開く予定だ。1回目は知的障害者ら8人が参加。商品になりそうな菓子が完成した。

 法定雇用率の義務化で各企業は特例子会社を設立して障害者を採用しているが、個人の能力や特性に合った働き方にはなっていない。障害者を"ポイント"として扱っているのが現状で、行政も「雇え」という上からの目線で進めている。まず当事者の意識を変えることが大事で、制度は後からついてくる。障害者の活躍事例を生み出すのがプロップの役割だと考えている。

 障害者手帳を持つ人のうち半分が高齢者であり、障害者と高齢者を切り離して考えることはできない。このように障害のある人に限らず、すべての人が能力を発揮できる「ユニバーサル社会」の実現を目指している。少子高齢化が進む今、スピードを上げて問題に対処する必要がある。 (談)

(神戸市東灘区)

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