朝日新聞 2005年12月29日より転載

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2005年の予感 時流自論

今年見えた10年後は…(上)

「あなたに10年後の社会を予感させた『2005年の出来事』は何でしたか」――コラム「時流自論」の歴代筆者たちにこう尋ね、「そのココロは」についてそれぞれ寄稿してもらった。17人が抱いた「今年の予感」を、2回に分けて紹介する。

ユニバーサル日本に道

障害者雇用法改正


プロップ・ステーション理事長
竹中 ナミ
(たけなか なみ)

48年生まれ。神戸市を本拠に社会福祉法人「プロップ・ステーション」で障害者の就労を支援。

05年7月、来年度施行の「改正障害者雇用促進法」が公布された。在宅就労するチャレンジド(障害者)へ仕事のアウトソーシング(業務委託)を行った企業が、雇用と同程度の社会的責務を果たしたとみなされる制度が盛り込まれた。チャレンジドの在宅就労に大きく貢献する制度転換と評価したい。10年後には、雇用であれ就労であれ、社会の様々な場所で活躍するユニバーサル社会・日本が実現していて欲しい。そのために活動を続けたい。

今年は「障害者自立支援法の自己負担金」に対する反対運動が激しく巻き起こったが、本来「社会的に必要な負担を担うことの出来うる働き方が可能な社会」というのが誰にとっても正常であり、働く機会からチャレンジドが遠ざけられていたことこそが正されねばならないと私は考えている。そのために「多様な働き方を支援する制度の創設」が願いであったが、今回の改正は大きな一歩と考えている。

民間が主導する日本に
郵政民営化 キヤノン社長 御手洗富士夫(みたらいふじお)
企業風土の変革まだ先
ホリエモン現象 カリフォルニア大バークリー校準教授  スティーブン・ボーゲル
市場が経済のカギ握る
ペイオフ解禁 産業再生機構専務  冨山 和彦 (とやま かずひこ)
日中外交が試される時
反日デモ 慶応大教授 添谷 芳秀(そえや よしひで)
「大政治」の時代が来る
9・11総選挙 21世紀臨調代表 北川 正恭(きたがわ まさやす)
アジアの通貨状況一変
人民元改革 作家 幸田 真音(こうだ まいん)
「贈与」語り合う社会に
ES細胞疑惑 理化研究所(神戸)副センター長 西川 伸一(にしかわ しんいち)

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