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SOHOドメイン(旧 月刊SOHO) 2004年5月号より転載 |
プロップ・ステーション便り ナミねえの道 | ||
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第22回――「すべては利用者のため」の政策を有言実行 | ||
官僚の立場からチャレンジド、
さらに女性、高齢者の 就労支援へ |
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ナミねぇが標榜する「チャレンジドを納税者にできる日本」。その強い思いは“日本”へと向けられている。高齢社会を迎えるにあたって、国の旧態依然としたシステムを大転換し、今こそユニバーサルな社会を目指すべき時代なのだ。だれもが支え合い、身の丈にあった働き方のできる国への変革が期待されている。 個人の能力で判断すべきを 少子高齢化社会の日本では、フルタイムで働くことのできる人口が急速に減りつつある。そもそも日本の働くシステム自体が、若さと時間のある働ける男性を中心としてつくられたものだからだ。
坂本さんは旧労働省障害者雇用対策課長のとき、障害者雇用が著しく低い企業の社名公表を辞さず、障害者の雇用率を大幅に伸ばした。また、静岡県の副知事時代にはユニバーサルデザイン※の推進を知事に進言。すべての分野にその考え方を浸透させるため、県の総合的な施策を立案する企画部に、日本初のユニバーサルデザイン室が設置された。 ● ――ナミねぇとの出会いは。 坂本●N障害者雇用対策課長をしていたときに、ナミねぇから思いが込められた手紙をいただき、さっそくお会いしました。パワフルで熱っぽく語るナミねぇに心打たれて、この人たちを応援するのが私たちの仕事だと。それまで接してきた障害者福祉に関わる方々と違って、ナミねぇの新鮮な考え方にカウンターパートとしての力強さを感じ、こうでなくっちゃと思いましたね。 ――障害者雇用と女性の社会進出の課題について。 坂本●私が初めて係長になったとき、上司から「今度、部下になるのは車椅子の人だけどいい?」と聞かれたことがありましたが、私は能力さえあれば問題ないとお答えしました。それは、以前、能力が劣っているわけでもないのに、単に女性だからという理由でほとんどの省庁が「女性はいらない」というのに対し、納得できなかった経験を持つからです。「車椅子だけど……」は、それと同じでおかしな話です。実際、彼はとても仕事のできる人で、私の手に余る仕事をてきぱき片づけてくれました。そういう実体験があるので、人は個人の能力で判断すべきであり、企業は障害者に門戸を閉ざさずチャンスを与えるべきだと実感できたわけです。 メリハリのある働き方を ――官僚として感じた壁は。 坂本●東京労働局にいたとき、ハローワークは午後5時に閉めるため、受付は4時などとしていました。でも、利用者のことを考えるとそれは違うと。必要に迫られているのだから、5時まで受け付けて昼休みの時間も開けるように提言したところ、退任後に実現しました。一番いけないのは、役所が自分の都合を優先させ、利用者の視点で考えていないことです。私は、おかしいことはおかしい、やるべきことはやるべきだとはっきりものを言うタイプですから、周囲も大変だったかもしれませんね(笑)。 ――静岡県副知事時代について。 坂本●知事にユニバーサルデザインのことを相談すると快諾してくれて、ユニバーサルデザイン室が設立されました。さらに副知事を本部長に推進本部を創設しました。やる気のある職員8人とともに各部署にユニバーサルデザインの考え方を徹底し、地域、産業界の認知度も随分と上がりました。地域の首長の権限は非常に大きく、即断即決で物事が進みます。ナミねぇも首長へ積極的に働きかけていますが、地域が変われば国にも変わらざるを得ないので頑張ってほしいです。 ――ITとチャレンジドに期待するところ。 坂本●前職のとき、チャレンジドの能力開発のサポートが手薄だったので、サービスを充実するための来年度の予算要求の中に3倍以上の伸びで盛り込みました。チャレンジドには前向きに受け止めて挑戦してもらい、一方、企業も積極的に受け入れてほしいと思います。また、今まで知的障害者には訓練校に入るためにIQの内部基準がありましたが、意欲、適性で入校できるように一律の基準を廃止しました。ITの飛躍的な進歩でいろいろな働き方が可能になりました。チャレンジドの能力がITをさまざまに発揮できるようになりましたので、企業にはまず彼らの仕事の質を見てもらいたいですね。海外に発注する前に日本の中に意欲をもって働きたい人がいるということを知ってほしいと思います。 ● 障害者を弱者だと位置づけ、手厚く保護することが福祉ではないとナミねぇは断言する。ITの急速な進歩で働き方が多様化し、国の制度よりも先にチャレンジドはコンピュータを駆使して働き始めている。
一昨年の障害者雇用促進法の改正により障害者に対する雇用支援策の拡充が図られたが、コンスタントに働くこと自体が難しい人にとって抜本的な解決策ではない。 ※ ユニバーサルデザイン 年齢、性別、身体、言語など、人々が持つさまざまな特性や違いを超えて、すべての人に配慮した環境、建物、製品のデザインをしようという考え方。 |
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構成/木戸隆文 撮影/有本真紀・田中康弘 |
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●月刊サイビズ ソーホー・コンピューティングの公式サイト http://www.soho-web.jp/ ●出版社 株式会社サイビズ |
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