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SOHOコンピューティング 2003年3月号より転載 |
プロップ・ステーション便り ナミねえの道 | ||
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第10回――レールに乗らない私の生き方 | ||
娘とともに歩んだ日々 |
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木登りと家出が趣味だったという少女。その破天荒な性格は、誰の手にも負えなかったとナミねぇは述懐する。人が決めたルールを押しつけられることや、社会的慣習というレールに乗るということが大嫌いだった。そして、自らの使命に目覚めたナミねぇが娘の麻紀さんに向けた深い愛情は、多くの人々を対象としたより大きな愛へと転化していく。今回は、現在の活動以前のナミねぇを紹介する。 障害児の親は不幸 ナミねぇ――私は幼い頃からごんた(※)で勉強嫌い。趣味が木登りと家出という、どうしょうもない女の子でしたね。中学生のときはいわゆる不良少女。人から指示されたり、敷かれたレールを歩くのは大っ嫌いやったんです。 ※ ごんた……関西の方言でやんちゃ、わんぱくという意味。 時代も常識も変わる ナミねぇ――その昔、父親が「孫を連れて死ぬ」と言った。でも30年たった今でも障害者を持つ数多くの両親も「自分の子供より一日後に死にたい」と言う。つまり、安心して死ねないということがいまだに根っことして残っているということなんです。これっておかしいじゃないですか。子供に障害があってもなくても、やっぱり年齢の順に親から安心して死ねる社会にしたいですね。そこで、誰もが自分の責任で自分の力を発揮できるユニバーサルな社会を実現したいとプロップの活動を始めたわけです。さまざまな社会的要因によって働くことが困難な人たちが自分の能力を発揮できる社会システムができれば、チャレンジドに限らず女性や高齢者など働きたいと思っている人たちを生かせると思います。 ● 日本という国は右肩上がりの経済成長も終わり、少子高齢化が急速に時代へ突入している。国の経済が大きく落ち込んだり、人々の心が荒廃するときには、自分の娘のように何もできない人間は排除されてしまう可能性があるとナミねぇは危惧する。少子高齢化の日本が悲惨な国にならないようにするためにも、今こそ社会変革への手を打たなければならないと言う。 雇用以外の働き方
ナミねぇ――あと15年もたてば2軒に1軒が介護の必要のある高齢者を抱える時代だと言われます。そういう時代になる前に早く手を打って、社会システムを変革する必要があると思うんですよ。日本でチャレンジドが働くことを支援する法律は法定雇用率しかありません。 |
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構成/木戸隆文 撮影/有本真紀 |
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●月刊サイビズ ソーホー・コンピューティングの公式サイト http://www.soho-web.jp/ ●出版社 株式会社サイビズ |
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