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産経新聞 2002年9月20日より転載

     
  人を支える喜び  
 
 
  from  


 国の障害者政策が「救済型から自立支援へ」転換しようとしているという話は以前書きましたが、8月、厚生労働省にチャレンジド(障害を持つ人)の多様な働き方を促進するため「障害者の在宅就業に関する研究会」が発足しました。私、ナミねぇは委員として参画させていただいており、率直に言って、とても嬉しい!

 重度障害の長女・麻紀を授かって30年、ITを活用したチャレンジドの就業促進を行うプロップ・ステーションを創設して12年。やっとここまでというのが実感です。

 プロップで学び、在宅で働く多くのチャレンジドたちの明るい表情を活写した写真集『チャレンジド』が吉本興業から発行されましたが、その中に登場する「くぼりえ」さんは『バースデーケーキができたよ!』という創作絵本を「ひさかたチャイルド」社から出版しました。全身の筋力が少ししかない難病で家族の介護が必要な「りえさん」は、お母さんに読んでもらう絵本で成長し、愛情のなんたるかを知ったそうです。

 だから彼女は、たくさんの子供たちに自分と同じような幸せを与えられる存在でありたい、と絵の勉強を続けてきました。人間は誰でも「期待されること」「誰かの役に立つこと」で大人になっていくんやなぁと思わずにいられません。障害があるからじゃなく、誰からも期待されない人生、人を支える喜びを得ることのできない人生が不幸なんよね。

 写真集には麻紀とナミねぇのツーショットも収められています。ちょっと宣伝っぽくなりましたが、宣伝ついでにもう一つ、ナミねぇは10月1日の情報化月間記念式典で総務大臣賞というのをいただくことになりました。「ITを利用した障害者の自立や就労を支援する活動、障害者のIT利用の視点から政府の調査研究会などの報告とりまとめなど、情報通信バリアフリー環境実現に貢献した」というのが理由だそう。チャレンジドたちの努力を代表して、表彰状を受けたいと思っています。

竹中ナミ
(たけなか・なみ=プロップ・ステーション理事長)

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