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公明新聞 9月4日より転載

     
 
ユニバーサルな社会めざして
 
 
チャレンジドが誇りを持って働ける社会へ
 
 
地域から日本を変えよう!5府県知事が活発に意見交換」
 
 
プロップ・ステーションが岩手県でフォーラムを開催
 
     


 ITを活用して障害を持つ人(チャレンジド)の就労を支援する社会福祉法人「プロップ・ステーション」(竹中ナミ理事長)が主催する「チャレンジド・ジャパン・フォーラム2002inいわて」(村田知己実行委員長)が8月27、28の両日、岩手県盛岡市内のホテルで開催された。学・財・政・官界など各分野のパネリストによるディスカッションなどが行われ、「チャレンジドを初めとしたさまざまな人が支える一員になり、誇りを持って生きられる社会を目指す」との大会宣言が採択された。

5府県知事が活発に意見交換したプロップ・ステーションのフォーラム(8月28日、岩手県盛岡市)

 「チャレンジド」とは、“神から挑戦すべき課題を与えられた人々”という意味で、米国では障害を持つ人をこう呼んでいる。

 障害を持っている人は、それを乗り越えるだけの能力も備えている! その力を引き出し、だれもが誇りを持って生きられる社会をつくろうというのが、このフォーラムの目的だ。

 同フォーラムはこれまでに全国各地で開催され、今回は8回目。次回は来年、千葉県で開かれることも決定している。こうした取り組みが実り、既に岩手、宮城、三重、大阪、兵庫、高知、千葉、熊本、和歌山の9府県で、チャレンジドの在宅就労を支援する新たな組織や制度が立ち上げられている。

 今回のフォーラムでは、多くの討論や報告が行われ、28日午後にはフォーラムを締めくくる形で、「日本を地域から変える!」をテーマに、岩手の増田寛也、宮城の浅野史郎、三重の北川正恭、大阪の太田房江、和歌山の木村良樹の5府県の知事が参加するパネルディスカッションが行われた。

 この中で、宮城県の浅野知事は、これまでの行政は福祉サービスの供給者に補助金を出してはきたが、チャレンジド本人の声に耳を傾ける努力をしてこなかったことや、行政の「してあげる」という意識は差別であることを指摘し、「このフォーラムがめざすものは人間の尊厳、誇りの回復運動だ」と述べた。また、養護学校などによる分離教育から統合教育への移行や、介護保険について問題提起した。

 三重県の北川知事は、県職員が車いすに試乗してチャレンジドの視点を少しでも知ろうというところから始め、チャレンジドの在宅就労を促進するNPOを支援するプロジェクトを行っていることを報告した。

 大阪府の太田知事は、チャレンジドに働ける能力があることをアピールする「1万社ローラー作戦」を行い、多くの雇用を掘り起こせたと報告。今後は、チャレンジド自身が企業を回って雇用機会を増やしたり、チャレンジド自身が講師を担うチャレンジドのためのIT講習会を開催したいと述べた。

 和歌山県の木村知事は、障害を持つ人が能力を発揮できる社会、働けない人も尊厳を持って生きられる日本をめざすプロップ・ステーションの理念に共鳴し、チャレンジドの自立を支援する行政が「これからの社会の中での福祉のあるべき姿」だと語った。

 コーディネーターを務めた岩手県の増田知事は、官僚時代の経験を通しながら、霞ヶ関の各官庁からは現場が見えにくいと指摘し、現場からの視点を大切にした施策の重要性を訴えた。

 同フォーラムでは、この他、マイクロソフトの阿多親市代表取締役社長や、慶応幼稚舎の金子郁容舎長ら各界のリーダーが出席し、活発な意見交換が行われた。


写真集「チャレンジド」が発売

 「プロップ・ステーション」のメンバーが障害を持ちながらも社会参加に生き生きと挑戦する姿を収録した写真集「チャレンジド」が9月1日、吉本興業から出版された。

 1年がかりで撮影してきた写真家の牧田清氏の作品約70点が収録されている。牧田氏が吉本興業に出版を打診し、木村政雄常務が「“チャレンジド”の精神は、笑いで人々に元気を提供する吉本の使命とも共通する」「写真集という形で福祉活動に参加できる」と決断したという。

 B5判、2000円(税込み)。問い合わせは吉本音楽出版(06−6643−2185)。


 



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