作成日 1998年12月吉日

 
 
 
(5)セッション4「チャレンジドとインフォメーション・テクノロジー」 (9:15〜11:25)
  • 只今より「セッション4」を始める。
     
  • ナビゲータ・プレゼンテータの紹介。(司会)
     
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  • まず、伊丹総合教育センターの畑井克彦さんよりお願いする。(上原)
     
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  • 本日のトップバッターなので、盛り上げたいと思う。
     
  • 今、学校でも生き残りをかけて教育改革を行っている。その実践を通して話をしていきたい。
     
  • 「もじもじランド」というものがある。これは、校長先生の話をディスプレイするボランティア団体である。
     
  • '97年11月8日に「ネットデイ」を行った。(「ネットデイ」のスライドを見ながら)UNIXマシンが導入され、「障害児にインターネットを」というコンセプトで行った。
     
  • 播磨と神戸にはインターネットの環境があったが、伊丹にはインターネットの環境がなかった。ちょうど、伊丹のケーブルテレビがインターネットの利用実験を行うところであった。当日は、養護学級を卒業した子供たちもやってきて楽しんだ。ネットデイの後、知的・情緒障害児学級の子どもはゲームをして遊び楽しんでいた。交流学級の子供たちも一緒になって遊んでいた。
     
     
 (ビデオを見ながら)
 
  • (コンピュータは)知的障害者にとって豊かな活用方法がある。ところが、Eメール等のITが有効のはずの、難聴・難言学級の子は、教科の学習に追いつくだけで精一杯。ITの習得にまでは時間がとれない。
     
  • 休み時間には、人と人とのリアルなふれあいを大切にしたいと思っている。
     
  • 理解を深めるためにインターネットは、体験しないと駄目だ。それも「ネットデイ」のような、学校に新風を吹き込むものが必要だと思う。
     
  • ほとんどの障害児が交流学級で過ごすので、我々は、学校全体(交流学級)での情報化に力を入れている。
     
  • 具体的には、伊丹小学校のホームページは親向けに作られている。(そのホームページを見ながら)自然学校では、5日間毎日午後10時までに情報をアップしている。
     
  • 福祉体験の後、校内改造計画を提案するなど、情報発信型の教育を行っている。
     
  • 伊丹小学校には情報教育年間計画表があり、発達段階に応じて組まれている。
     
  • 子供たちのITの吸収(習得)力はすごいと思う。昨年の6年生全員がHTMLでページが書ける。この子どもたちが卒業していけばプロップの研修のあり方も大きく変わると思う。
     
     
 (伊丹の養護学校が作成したビデオを見ながら)
 
  • ボールの空気を抜いただけの肘当てや、針金に触れるとクリックできるものなど、いろんな工夫をしている。いいところまでいっているが、作り上げるところまではいっていない。
     
  • 企業と協力し、よりよい環境を提供していきたいのでご協力をお願いしたい。
     
  • 目でカーソルのコントロールや、カスタマイズ自由なアプリケーションがほしいと思う。(例えば色パレットのサイズ)
     
  • また、インターネット上にコミュニティ伊丹という、仮想的な街作りを行っており、新たな方向を考えている。
    http://www.itami.or.jp/ のキッズいたみ」をご覧いただきたい。(畑井)
     
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  • 質問があれば発言してほしい。
     
  • 我々、父兄にとってこんなふうにしたいとか…。最後にも少し時間を取るのでその時にでもお願いする。
     
  • 次は、マイクロソフトの金子さんにお願いする。(上原)
     
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  • 実際に使うものをお見せしたい。デモは「Windows98」である。
     
細田和也さん・金子雅彦さん・川西仁さん・池田防守さん (31.jpg 8,740Byte)
左から 細田和也さん・金子雅彦さん・川西仁さん・
                       池田防守さん
(デモを見ながら)
  • 研究開発本部で、細田さんと二人でデモを作った。障害者には「MS-DOS」が多かったが、(GUIベースの)Windowsになって障害者に使いにくくなっているのではと指摘があった。障害者は仕事したいときに使っている、そのことについて話をしたい。
     
  • (車椅子のマークの)アクセスビリティー機能を、Windows95のときは「ユーザー補助」と呼んでいたが、このアイコンを見た人は少ないと思う。ユーザー補助機能として、キーボード・画面・マウスが見やすくなっている。「 Windows98」では、画面を部分的に拡大したり、アイコンやポインタを拡大する機能をつけている。「ユーザー設定ウィザード」では、Q&A方式で設定作業ができる。その内容は、フロッピーに入れて、別のPCにコピーすることもできる。(金子)
     
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  • 只今の説明を実際にやってみる。アイコンやテキストが大きくなった設定はしていない。新しい設定を行っている。
     
  • これらは別のマシーンに保存しフロッピーに入れてコピーし使える。設定ウィザードの新規の仕組みである。(細田)
     
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  • Windows98の開発者用アクセスビリティ追加機能を使って、独自のアイデアを容易に盛り込むことができる。今後、MSではこのためのソフトウェア技術者を育てたいと思っている。
     
  • アメリカ(ニューヨーク)と日本の格差は、ニューヨークでは、ソフトウェアを作る人自身が障害を持っている。障害者のためのソフトウェアを見出す力を引き出すことができる。たとえば、全盲の学生プログラマーが2週間で、アクセスビリティ機能のアドオンである「NASSTOY」のプロトタイプを作成した。(金子)
     
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(英語版Windows98を起動して説明)
 
  • これまで、アプリケーションの中での音声読み上げは可能であっても、OSレベルの読み上げ、たとえばWindows95の「Start」メニューの読み上げを実現するのは、困難であった。Windows98の「NASSTOY」では、これが可能になった。ただし、製品化して売るレベルには達していなくて、現在はデモ版のみである。「NASSTOY」をソフトウェア開発するのに使ってほしいと思う。「NASSTOY」マイクロソフトについて、2ヶ月前にWebサイトで出している。日本独自の情報もお知らせしたいと思う。(細田)
     
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  • そのホームページのアドレスを読み上げる。http://www.microsoft.com/japan/enable/
     
  • 私は、今後も障害者の方と仕事をしていきたいと思う。今、細田さんが必要だから一緒に仕事をしている。(金子)
     
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次に、アクセスインターナショナルの花岡里美さんにお願いする。(上原)
 
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  • 弊社では、周辺機器をどのように使いこなせば良いか、新しいテクノロジーの開発を考えている。自立ということについて、車椅子やコンピュータで意思を伝えることなど、機能代行、心の面について紹介したい。
     
  • 障害者にとっては、文字よりも絵で書く方がわかりやすい。知的障害者の人にとっては、文字が読めなくても、絵が理解できれば交渉も持てる。ここにコンピュータを小さくしたようなもの「BOCA(ボカ)」を紹介する。これは自分の声の変わりをしてくれるもので、よりスムーズに声の変わりをしてくれるものである。重度の人で、知的レベルで補助が必要な人にも簡単に絵で説明することができる。食べ物で、「ハンバーガ」の絵を指で触れると、「ハンバーガ」と音声で説明をしてくれる。
     
     
(OHPを見ながら)
 
  • 例えば、私の名前「花岡」から「花」を選択してみる。「はな」と入力すると、「はな」に関するものがたくさん出てくる。「人とはなす」「はなす(離す)」「はなれる」「(顔の)鼻」など。これは、アメリカで開発されたものだが、日本向けの選択機能も加えられている。例えば「みそしる」「いちえん」など。「BOCA(ボカ)」を持っていれば、アメリカやカナダでもコミュニケーションを取ることができる。
     
  • これを障害者がどのように使えば良いか。スイッチはアメリカで開発されたものだが、丸くて光っている。思わず手を出したくなるようなものにしている。そのことによって自分からコンピュータに興味がいくのではと思う。アメリカでは、「ゼリービーンズスイッチ」というものもある。これは食べ物のゼリービーンズのようにカラフルで、自分で好きな色を選択し、楽しんでできるようにしている。
     
  • スイッチ一つでマウスのように使える。このスイッチについては、力が弱くてもコンピュータのフル装置を使えるようにしている。また、重度の障害者に向けてコンピュータが利用できるようなソフトの開発も行っている。
     
  • 私たちは、心の自立、機能代行のサポートを続けていきたいと思う。弊社では、月に一度セミナーを開催したりしている。ショールームでは新しいテクノロジーを見てほしいと思う。(花岡)
     
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次に日本シリコングラフィックスの河西仁さんにお願いする。(上原)
 
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(スライドを見ながら)
 
  • シリコングラフィックスは、アメリカのシリコンバレーにある会社。アメリカの会社が障害者とどのように取り組んでいるのか、ビジネスの取り組みについて話していきたい。
     
  • 身体障害者の社会的な差別をなくすために開発された「多様化プログラム」について、(1)差別の撤廃、平等に雇用を提供(2)様々な社員が最大限の能力を発揮できるように支持する(3)様々な社員を維持するための努力をする(4)行政・ボランティアなど様々な活動の人と連携をもつ、それらの目的は、一人一人の社員に理解されること、認識をもったスペシャリストを社員の中で養成することである。その内容は、(1)社員教育(セミナー・体験)(2)ボランティア活動である。ボランティア活動については、地域社会の連携を深めようとしている。
     
  • また、会社は社員の生活の上に成り立っている。だから、なかなか会えない家族の紹介も行っている。
     
  • インフォメーションテクノロジー、情報は平等にかつ迅速にが大切である。
     
  • 当社には、同性愛者のホームページがあるが、彼らは、自分たちの主張を発揮する場として使い始めている。これらも会社(日本シリコングラフィックス)がサポートしている。その理由は、性別差別を行わない、セクシャル・ハラスメントをなくすなど。それは、イントラネットの情報が発達したためである。
     
  • 会社の製品に関する情報はWeb上で見ていただきたい。情報はリアルタイムにお知らせしている。ボイスメールシステム、音声で伝えるシステムも確立している。(日本では)アメリカ本社まで追いついていないが、ゆくゆくは追いついてやっていきたいと思う。
     
  • (障害者のことや差別のことを)頭で理解してもどう対応したら良いのか難しい。今後も会社の主旨は変わらないが、どうしたら良いのかセミナーも行っている。「多様化プログラム」の成功が会社の成功につながると思う。
     
  • シリコングラフィックスでは、社員が引き続きシリコングラフィックスを選ぶようにしている。また、優秀な社員をどう留めておくかを考えている。シリコングラフィックスは、社員の多様化を認める企業である。企業理念だけでなく、社員一人一人が自分の問題として考えることにより会社が成功している。設立当初から「多様化プログラム」は使われている。(河西)
     
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最後にプレクスターの池田様にお願いする。(上原)
 
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(OHPを見ながら)
 
  • プレクストーク(PLEXTALK)は資格障害者用のデジタル録音図書読書機である。世界的規模で開発、世界標準で実用にごぎつけた。
     
  • 視覚障害者の方が就労するのは大変。そのためには、スキルアップのための新たな情報を提供することが大切である。
     
  • 本は極めて大切な情報源である。普通、本を手にした時、概要をつかむことが大切である。本は目次から開く、大事なところはしおりをつけるなど、それら晴眼者と同等な読書環境を、視覚障害者に対しても実現できるよう目指している。
     
  • 「DAISY・Plextalk」のコンセプトは、(1)情報化に相応しい録音図書(2)国際標準に基づく録音図書である。実現目標は、(1)晴眼者と同等な読書環境の実現(2)録音図書の世界共通財産化(3)マルチメディア化への基盤作りである。
     
  • 「DAISY」(Didital Audio Based Information System)、デジタル音声情報システムは、デジタル録音図書の録音編集変換ソフトである。当初スウェーデンで開発された。
     
  • 「Plextalk」は、「DAISY」に対応している。デジタル録音図書読書機である
     
  • '97年に世界32カ国で、フィールドテスト・アンケートを行い国際標準を確立。10月に本格的に販売をする。
     
  • 「DAISY」の応用の展開も考えている。WWWでも使えるように考えている。一つには、視覚障害者専用のブラウザ−ソフトも開発されている。二つ目は、音と文字とをリンクさせる(スマイル)機能。これは、カラオケで歌うべきところの色が変わるのと同じ機能である。今後、健常者を含めた教科書のマルチメディア化を考えるべきである。教科書に「DAISY」が使えたらと思う。三つ目は、テレフォニー、家庭の電話で「DAISY」の音声情報が与えられる。聞きたいところを抽出して聞くことができる。
     
  • 厚生省が、「DAISY・Plextalk」を推進、秋から普及を考えるとのこと。海外では、スウェーデンがサービスを開始している。これがうまく使われ、仕事にも役立てられればと良いと思う。(池田)
     
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会場の方から何か質問はないか。(上原)
 
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すでに録音しているテープを使うようにするのか。(会場 浅野・宮城県知事)
 
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すでに録音しているテープをデジタル化して使用する。(池田)
 
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デジタル化には特殊な機械が必要ではないか。(会場 浅野・宮城県知事)
 
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普通のPCがあれば良い。(池田)
 
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(全盲のために)「書物」から遠い立場だった細田和也くんの意見をぜひ聞きたい。(竹中)
 
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一番の難点は、新しいものがすくに読めないこと。点訳に出すと、何か月もかかってしまう。ただ、研究論文など、読みたいところへすぐに戻られるのは良い。(細田)
 
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聴覚障害者の対応は?(会場 浅野・宮城県知事)
 
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国連の障害者の大会がタイで行われるが、手話が全てちがう。手話をする人が10人くらい並ぶ。「スマイル」を使えばそれぞれの国の手話が独立して使うことが可能だ。聴覚障害者の方々への、音についての情報は、「DAISY」を使った「スマイル」で可能となる。文字あるいは、暗号でリンクして伝えることができる。(池田)
 
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NHKでは、アナウンサーが話したことが即時に画面に文字表示される実験を行っているところと聞いている。(司会)
 
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はじめから「聞く」という発想はあるのか。(河西)
 
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学習障害の需要は多い。学習障害において可能性はある。(池田)
 
 
 
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