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作成日 1998年12月吉日
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(3)セッション2パネルディスカッション「チャレンジドのための就労創造」 (16:40〜17:35) |
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- 「セッション1」に引き続きサムハルの実態をもう少し詳しく知るためのセッションを行いたいと思う。まずは、イェルハルド・ラーション氏の個人生活について少し聞いてみたい。家族は?(金子)
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- 奥さんは会場に来ているので紹介したい。
- 余暇は何をして過ごしているのか。(金子)
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- 私は、非常に刺激的な仕事をしているので恵まれている。ただ、会社では、ずっと座りっぱなしなので動くことが好きである。
- 今は新しいワインを集めたいと思っている。(ラーション)
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サムハルに至るまでのキャリアについて聞いてみたい。(金子)
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- まず、私の経歴を説明すると、大学は経済学部を卒業している。その後、就職し会社ではマーケティングを行っていた。その頃、軍の仕事もしていたが、その仕事をしながら派遣問題に関心を持ち、'76年にスウェーデンの社会保険省、日本でいう厚生省で次官を努めていた。年齢的には30歳にはなっていなくて29歳の時だった。
- 次官の仕事をしている時に保険・福祉に関わってきた。その頃は、障害者にとって必ずしも国の状況は良くなかった。障害者の人たちに好ましい、働く機関を紹介することはできないかと考えていた。その提案を国の政府、国会で取り上げられサムハルができた。(ラーション)
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サムハルは、営利企業なのに社会的活動をしている。そのあたりのビジネスをどう考えているのか。(金子)
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ユニークな会社と言えるが、サムハルで働く障害者の人たちが、(サムハルの)グループ以外でも働けるように考えた。やはり、他社と競争して仕事していかなければならない。他の一般のビジネスと同じように行っていきたいと考えている。ただ、障害者それぞれの障害の度合いが違うため、それによって仕事を与えなければならない。生産性が低くなる分、国からの補助金が必要になってくる。それは、職を与えない時と比べて低く押さえることが大切である。(ラーション)
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政府が全部やるか企業競争だけかという二者択一でないのが大変面白いところだ。(金子)
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高齢化社会は、フルタイムで働ける人、残業もいとわないというような人が少なくなっていく社会だ。私は(フルタイムが無理な人が増えても)一人一人がベストを尽くして働き、大勢で社会を支えて行く仕組みに変えて行くことが必要ではないかと思っている。サムハルの考えに似たところがある。目指す結果は、サムハルと同じであろうと思う。(竹中)
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サムハルの歴史をたどると、財団、その前はNPO(非営利団体)だった。官のサポートはあるが、それが障害者の人にとっては福祉を掲げているとしか見ない。そのことにより障害者の人は自分が取り残されている、外部者だという意識を持ってしまう。その後更に企業として行っているが、すぐに企業を創ったわけではない。企業として活動をしているが、従業員の意識はNPOの時よりも誇りを持っている。企業として活動することによって平等に交渉ができる。(ラーション)
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竹中さんの本の中でも「誇り」ということがキーワードになっていた。(金子)
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仕事をするということは「誇り」を持つということにつながる。(竹中)
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プロップ・ステーションはチャレンジドだけに「誇り」を提供しているのではなく、プロップと関わる人、行政の人、企業の人、研究者など、見渡してみると、日常の生活や仕事で真に「誇り」をもって仕事ができている人は実は多いとは言えない。プロップに参加することで大勢の人が「誇り」を獲得している。(金子)
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行政との関係は理念だけでは進まない。行政の中にも共通のマインドを持つ人がいる。つなげるためにはクールな戦略も必要だ。しかし、抵抗もある。(竹中)
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ECの他の国でもサムハルのような国営企業という仕組はあるのか。(金子)
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ヨーロッパの国、他の国ではそれほど数はない。スウェーデンは、税金が高いが、それは、医療・社会保険・年金に使われていてビジネスには使われない。国営企業はない。サムハルは国営だが、それは珍しいことだ。(ラーション)
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サムハルを立ち上げるに当たって各方面からの抵抗はなかったのか。(金子)
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サムハルが活動を始めた時は論争があった。心配や抵抗など…。ただ、サムハルが設立して約20年経つが、過去10年程論議はなかった。現状を見ていると、他の企業と将来的な関係がつながっている。それは、市場価格に沿って(サムハルの商品)価格を設定しているからだ。これが非常に大切だ。それを象徴する一つの例は、私が民間企業の雇用者メンバーの理事に選ばれたことだ。それは、ビジネスをする中で、(サムハルの)価格設定を市場価格に設定することにより受け入れられた。障害者にとってそういうことも示せた。(ラーション)
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竹中さん、「株式会社プロップ・ステーション」はいつできるのか。(笑)(金子)
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- 任意団体としてチャレンジドの仕事を受注することは大変厳しい。基本的に企業は任意団体に仕事を出さない。
- 公益的な機関として、行政とタイアップできるようにしなければならないと思っている。並列的に会社を立ち上げ、ビジネスの形もつくる必要がある。これは、かなり早いスピードで進める必要があると思っている。(竹中)
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ラーションさんは、ご自分を企業経営者と思っているのか、それとも、社会サービスの提供者と思っているのか。(笑)(金子)
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マネージャーになる人を採用する時、経営者能力も見るが、人に対する思いやりを持った人を考慮して採用する。社会部門というか、障害者と仕事をすることを受け入れられる人を望んでいる。ビジネスという考えだけでは駄目だ。(ラーション)
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- 社会に受容されているという観点が大事だということだろう。
- サムハルにとって肝心な点、政府の補助金について説明したい。1980年の170%から97年に96%になったということだが、これは、サムハル社の通常のビジネス収入を分母に政府補助金を分子にしたときの割合だ。つまり、これまでは政府支援が多かったのが、昨年になってビジネスからの収入が政府補助金を上回ったということだ。
- 社会的サービスを提供するとき、効果的に政府のお金を使うことは重要なことだ。つまらないことに税金を使うのではなく、きちんとした効果の出るところに使うということは当然のことだ。ただ、政府からの補助金を受けていることについて他の企業は文句を言わないのか。また、税金をサムハルに使うということを納税者にどう納得してもらうのか。(金子)
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- サムハルができた当初は、他の企業はいろいろ言っていたし、かなりの議論があった。現在では、企業もサムハルを認めている。公正な競争をしているということだ。
- 政府補助を受けることで、市場価格より低い価格を設定しないということを厳正に実施している。また、納税者に対しては、障害者が働く環境を作っているサムハルに税金を使うことで、サムハルがない場合に、政府が支出しなくてはならない額に比べてかなり安く効果が上がることを示している。(ラーション)
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つまり、他のビジネスに対しては不公平にはしていない、納税者に対しては税金が有効に使われているということで合理性を示しているということだ。それは大変な苦労だろうが、サムハルはそれを見事に成し遂げている。どうしてこんなことができるのか。(笑)(金子)
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その秘訣は、一歩一歩前進すること。いかにも簡単に行っているようだが、苦労があった。(サムハルの行っていることを)企業や行政、納税者に納得してもらわなければならなかった。そのために10年かかった。障害者と障害を持っていない人が共存することはとても良いことだ。(ラーション)
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プロップ・ステーションもステップ・バイ・ステップがあった。(金子)
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プロップは、設立時にはパソコン1台で「通信している」と自慢していた。時代の移り変わりを痛切に感じる。サムハルの追い風は?プロップ・ステーションにとっては、阪神淡路大震災でコンピューターやコンピュータネットワークの大きな力に気づいたことが、有る意味、転機とも言えるが、サムハルはどうだったのか。(竹中)
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いくつかの迷いはあった。しかし、全ての人たちが仕事をするという議論や障害者に障害を持っていない子と勉強させたことが良かった。サムハルは、'80年に設立し、その頃の社会の状況を見るとタイミングが良かった。(ラーション)
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サムハルでは、一時帰休(レイオフ)はしない、全国くまなく事業所を保持する、サムハルの雇用者で他の企業に移った障害者も、一年間はいつでもサムハルに帰ってこられる、など、企業というより福祉施策をかなり実施している。こういうことは、ビジネスとして考えると不利な点があると思うがどうか。(金子)
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サムハルは、スウェーデン全体に事務所を持っているが、その方が効率も良い。今後、いろんなセクター、いろんな企業に関わっていく必要がある。また、幸運なことに個人個人の能力開発のノウハウを確立してきたことが非常に大きい。(ラーション)
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サムハルは「パーソナルデベロップメント(個人個人の能力開発)」ということを強調するが、日本の企業は必ずしもそれがうまくない。企業にしても福祉団体にしても、鍵はそれぞれのパーソナルデベロップメントだ。それに焦点を合わせているというのは合理的だ。(金子)
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金子郁容さん・ラーションさん・
竹中ナミさん |
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プロップ・ステーションは実験プラントであり、モデル事業であると思っている。(竹中)
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- まだまだ聞きたいことはあるが、時間の都合によりここで終わらせていただく。(金子)
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