第11回チャレンジド・ジャパン・フォーラム(CJF)2006
国際会議 in TOKYO 議事録

ユニバーサル社会を語る、閣僚セッション

竹中/ では、引き続き「ユニバーサル社会を語る、閣僚セッション」に移ります。川崎大臣、谷垣大臣、猪口大臣の順でお座りください。

実は、本日は3大臣でトークをやっていただきたいと思ったのですが、それぞれに大変お忙しいということで、順にお話しいただくことになりました。まず最初に川崎厚生労働大臣から「閣僚が語るユニバーサル社会」というテーマで、10分ほどお話をいただきたいと思います。

川崎/ 皆さん、おはようございます。ご紹介いただきました、厚生労働大臣の川崎二郎です。今日はこうして、たいへん多くの皆さまが集まって11回目の大会が開かれました。1回目が平成8年と聞いておりますが、その時はたった40名の参加者で始めたそうです。それが毎年毎年、お互いのネットワークがつながってきて、たいへん多くの皆さんが参加する、すばらしい大会になりました。心からお喜び申し上げたいと思います。

そういった意味では、11年前に蒔いた種がだんだん大きな木として育ってきたな。これが日本中に広がって大きな木になることを、厚生労働大臣として期待をしたいと思います。

どうぞ皆さん、よろしくお願いしますよ。

私、竹中さんに会うのは2度目なんです。私は厚生労働大臣ですから福祉の問題は専門です。ところが、「竹中さんというすばらしい女性がいるから、一度会え」と電話してきたのは、谷垣大臣なんです。それで私もお会いしました。彼女にお会いしたときの雰囲気、そして話をしながら感じたバイタリティ。このバイタリティがこうしたネットワークを作ってきたのだなと、改めて思わせていただいております。

1人ができることには限界があります。竹中さんが一生懸命考えながら、リーダーシップをとってきた。それにみんなが力を貸しながらここまでやってきたのだと思います。

1人がやれることには限界がある。しかし、その1人1人が自分の個性を生かしながら力を発揮しながらやっていく。そして、みんなで助け合いましょう。みんなで手をつなぎ合いましょう。これが、このチャレンジド・ジャパン・フォーラムの一番大きな根源だと思います。大きなネットワークになりますことを期待したいと思っています。

所管の大臣なので、2つ難しいことを申し上げたいと思います。1つは障害者の福祉政策です。昔は措置制度で、続いて支援費制度でやってきましたが、今年の4月からは「障害者自立支援法」という法律に基づいて、新しい枠組みで始まることになりました。

予算は、谷垣財務大臣にいろいろ交渉して11%増やしていただきました。いまは新聞などを見てもおわかりの通り、予算が毎年減っています。社会保障も、来年も2200億円マイナスしろと言われています。でも、障害者福祉は、4300億円、去年に比べて、11%ほど増やしていただいて、今度の新しい取り組みをさせていただいています。

なぜ、制度を変えたのか。1つは、障害者の障害の種別によって差があった。在宅か施設かでも差があった。地域によっても差があった。それを、市町村が中心になりながら、日本中同じような福祉が受けられるように変えていきましょう。そして、国はそれを責任もって支援していきましょう。そういう制度に変えさせていただくことになりました。

ただ、自己負担の問題も出てきましたので、この4月から始まって、いろんな意見が寄せられています。どうぞ皆さんも、いろいろな意見を私どもの役所にぶつけてください。
竹中さん、ぶつけてください。われわれは、皆さんの声をききながら、直すべきものは直しながら、継続性・持続性のある障害者福祉政策を進めていきたい。このように思っています。

2番目に、いま日本の国に障害がある人がどのくらいいらっしゃるか、ご存知ですか?
650万人の人が何らかの障害を持たれております。その中で、働いている人が、企業で働いている人も授産所で働いている人も足しまして290万人います。この数をもっと増やさねばなりません。

そのためには、企業に勤めている人、授産所で働く人、自宅で仕事をする人、いろんな形で仕事をする人のネットワークをだんだん大きなものにしなければなりません。もう1つは、すべての企業が、障害者を雇用してもらえるような社会にしなくてはなりません。

企業の皆さんには従業員の1.8%にあたる数の障害者を必ず雇用してくださいとお願いしていますが、残念ながら1.8%という数字でも42%の企業しか達成できていません。残りの58%の企業には、まだしっかりと障害者を雇用してもらえていない。これを、私どもは100%にするように努力していかなければならないと思います。

しかし、その前提は、中央官庁がちゃんと雇用すること。この前、金融庁が叱られました。「ちゃんとやってくださいよ」と(厚生労働省より改善勧告)。まず、中央官庁からやらなければなりませんね。

次に、知事さん、あなたのところは大丈夫ですか。あなたの下の機関は大丈夫ですか。
やっぱり先頭に立ってやるからには、国も県も市も2.1%という民間より高い数字の障害者雇用をしっかり達成して、そして民間の皆さんにも達成してもらうようにしなければなりません。いま大企業は進んでいますが、中小企業は経営状況が厳しいので、達成率が低くなっている。ここにも理解を求めながら、多くの人たちが自らの能力を発揮しながら、支えながらやっていく社会を、皆で作っていかなければならない。

1つ1つ課題があります。1つ1つ乗り越えていかなければならないことがあります。しかしながら、今日お集まりいただいた皆さんと力を合わせていけば、大きな声として上がってきて、日本全体がユニバーサル社会になっていくんだろうと思います。

私も役目柄、先頭に立ってがんばりますので、皆さんのご協力をお願い申し上げて、ご挨拶とさせていただきます。ありがとうございます。(会場:拍手) 

竹中/ 川崎大臣、ありがとうございました。 続いて、谷垣大臣お願いします。

谷垣/ おはようございます。財務大臣の谷垣禎一です。今日は素晴らしい会議にお招きをいただき、先ほど皆さんと一緒に「ユニバーサル宣言」を読み上げさせていただきました。いま川崎厚生労働大臣からお話があったように、今回11回目だそうですが、最初は本当にわずかな数で始められたのが、竹中さんのバイタリティで、ここまで立派な会議に成長されたことを、心からお祝い申し上げたいと思います。

実は私ども財務省は、竹中さんにたいへんお世話になっております。

こんなことばかり言うと不景気なヤツだと思われるかもしれませんが、日本の財政の調子が悪いものですから、やはり実情は国民にご理解いただいて、なんとか財政を立て直したい。そういうわけで、日本全国でタウンミーティングをやっています。竹中さんにもあちこちで参加していただいています。

この前、大阪でそのタウンミーティングがあったとき、今度東京で国際会議を開くからどうだろうというお話がありました。ご趣旨をうかがって、是非出させてくださいとお願いして、今日ここに立たせていただきました。そのとき、ついでにといっては川崎大臣に怒られますが、すばらしい会だから、竹中さんに会って、あなたもぜひ出てくださいと、川崎さんにもお願いしたわけです。

なぜ私どもが竹中さんにタウンミーティングに出ていただくなど、いろいろなことをお願いしているのか。

財政の良し悪しは、実は社会保障の明日を本当に信頼できるかどうかということと、コインの裏表なんです。少子高齢化が進んで、だんだん社会保障費用がかさむ。このままで行けるのだろうかと、多くの方が疑問に思っています。

実は、いま日本の政策経費の4割が社会保障に使われていますので、社会保障が大変ということは財政が大変だということです。財政が悪いと、社会保障の将来がしっかりしないということに繋がってきます。

だから、社会保障や社会福祉で苦労されてきた竹中さんにお知恵を借りようということで、総理大臣の諮問機関の財政制度等審議会で、竹中さんにいろいろなご提言をいただいているわけです。

先日、7月7日、「骨太の方針」を閣議決定しました。「社会保障のことを考えると財政の立て直しが一番大事」ということで、その方向も閣議決定して示していただきました。
その議論を進める段階で竹中さんがおっしゃったことに、私は大変感銘を受けました。それは、「障害者も自らの選択により、社会を支える側に回れるように、そして納税者にもなれるような環境整備を進めなくてはいけない」というご主張でした。ですから、今度の骨太の方針を作る財政制度審議会の建議の中にも、この竹中さんの考えをしっかり入れていただきました。

障害のある方も自らの選択で社会を支える側に回ろう。これは言うのは簡単です。やってみるといろんな困難があることは想像に難くありません。しかし、竹中さんは、川崎さんがおっしゃったような明るいバイタリティ、そして類まれな発想する力がおありです。それで今日、チャレンジドの方も夢が実現できる社会の仕組みを作ろうとがんばっておられます。私たちも、是非そういう方向で一緒に頑張っていこうと思っているわけです。

私は、日本人は長い歴史の中で、社会と関わりを持ってお互いに助け合いながら生きていく、そういう国民性を育ててきたのではないかと思います。ですから、1人1人の国民が自分を充実させ、自分を確立した上で、さらにその力を世のため人のために発揮できるようにする。そして、昔からある家庭や地域社会のきずなで、皆で信頼し合って元気に生きていけるような社会を作っていく。そういうふうにしなければならないと、私は考えています。

何とかしてそういう仕組みがちゃんとした社会を作っていこう、そして皆が1人1人、それぞれの場でがんばりながら、少しでも世のため人のために自分の力を使えるような、そういう社会を作っていきたいと思っています。

今日、皆さんでご一緒に読み上げたユニバーサル宣言の中身、そして、チャレンジドの方々もきちっと自らの選択で社会を支える側に回ろうというこの会議の精神は、たぶん私の考えていることと、方向はほとんど同じではないか。私も、皆さんのお顔を見て勇気を与えられた思いがしております。

どうか、これからもがんばっていただいて、この方向をどんどん推し進めていただけますよう心からお願いを申し上げまして、簡単ですが私のご挨拶とします。今日はおめでとうございます。(会場:拍手)

竹中/ ありがとうございました。谷垣大臣には是非このユニバーサル社会の実現をテーマにして、がんばっていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

最後になりましたが、猪口大臣、よろしくお願いいたします。

猪口/ 本日はお招きいただきありがとうございました。私はたっぷり時間がありますので、皆様に資料も配付しておりまして、ゆっくりと考えを述べさせていただきたいと思います。

私は、共生社会の重要な部分として障害者施策の推進、そしてすべての人が含まれる社会を作ろうと考えています。それは、民主主義を深めていく重要な営みと感じております。

20世紀を通じて、民主主義の追求の中で、私たちは「法の下の平等」、すべての人が平等な社会を作ってきたと思います。それはかなりの程度達成されたと思いますが、最近、国際社会、特に国連の議論の中で聞かれる問いがあります。

「平等なるわれわれは、全員社会に含まれていると言えるだろうか」。つまり、「インクルージョン」(inclusion)。そして、お互いにつながっているという「コネクテッドネス」(connectedness)。こういうものが達成されているのかどうかという観点が出て来ています。私は共生社会の推進にあたり、それは根幹となる考え方であると感じております。

最初の資料にあるように、わが国の障害者施策は、実は国連でのさまざまな取り組みをきっかけとして国内法制を整備し、基本計画を立て、実施していくという流れがあったと思います。今日でも国連に代表される国際社会の中で、新しい人間社会のあり方を希求する努力がどのような方向に向かっているかを認識しながら、それを国内での努力につなげていくことが、非常に有意義なことと思います。

 戦後の国連の発展の中では、もちろん安全保障の面が重要なものとして理解されていますが、目立たなくとも社会政策の普遍的発展、まさにユニバーサルな発展に向けて、国連が果たしてきた役割は、非常に大きいと思います。人間社会として目指すべき水準と規範性、あるいは概念性を示すという意味で果たしてきた役割は非常に大きいのです。

その中で、「インクルージョン」や「コネクテッドネス」が達成されているかどうかという考え方が出てきています。たとえば、今日私たちはここに集まって、皆つながっています。しかし、集まることができない方、このようなネットワークをあることを知らない方なども含めて、すべての人がつながることのできる社会を考えないといけないわけです。

国連では、たとえば「貧困」とは何かを定義するとき、最近は1人あたりの所得などで言うのではなく、「ポバティ・イズ・エクスクルージョン」(Poverty is exclusion)、つまり「貧困とは排除である」とされています。

排除されていたら、自分の地位を向上できない。年間所得がいくらであれ、排除されているということで、その人の社会的立場は貧困なのだ。だから、まずはインクルードしないといけない──。こういう考えの中に私たちの全体の努力の方向性があると思います。

私は内閣府特命担当大臣としていろいろ努力を積み重ねていますが、まず政府が福祉・教育・雇用などさまざまな分野にわたる問題を総合的に推進できるよう、各省の総合調整をする立場にいる大臣として、横断的連携の部分で努力しています。

もう1つ、特別に努力しているのは、国連での動きについてです。つい先日も、障害者権利条約の第8回会合について、関連するすべての省の課長さんに大臣室に集まっていただきました。この障害者権利条約の会合は、アジア・太平洋から議長国が出ています。ニュージーランドです。そこで課長さんたちに、「アジア太平洋地域の先進国であるわが国は、この条約の早期成立と、議長案の努力したところを評価し、積極的に寄与するように」とお願いしたところです。

日本は受け身ではなく、むしろ日本の努力によって障害者権利条約が国連で成立する日を見るようにという、そういう積極的な動きをする必要があるのではないかと考えています。それには外務省をはじめ、厚労省、国土交通省など、さまざまな役所が関わりますが、各省が横断的に考え方を共有していただくようお願いし、日本が国連においても積極的な役割を果たし、よってわが国の国内的な施策を推進しやすい環境も整うことを目指しています。

その意味で、内政の分野も国際的な分野も一体的なものです。日本がなしうる水準の高さは、東アジア全体のユニバーサル社会の実現においても影響を持つだろうと思いますので、自国ひとつのための解答を出すのではなく、もっと広い範囲に影響ある解答をもたらすことが大切です。それは自らの社会について努力することで達成可能だろうと考えます。

 わが国の障害者施策は、1981年の「国際障害者年」が大きな契機となっていると考えていいと思います。国際社会においては1983年から「国連障害者の十年」の取り組みがあり、その後、アジア・太平洋地域では新たな十年の取り組みがありました。 わが国では、1983年に「障害者基本計画」が策定され、長期的視野をもった計画の推進をしてきました。

計画の策定というと、「計画よりも実際のほうが重要だ」との指摘も受けます。しかし、計画は政府の中でのこの分野においての意思統一をはかる重要な方法です。また、個別の事業について確実な予算獲得をするための理論武装にもなるところですので、内閣府において基本計画が確実に策定され、実施されるよう、引き続き努力していきたいと思っています。基本計画では、数値目標・達成時期を明記するような実施計画を合わせて作ることになりますので、政策は進みやすくなります。

基本計画の中身ですが、分野別施策として8つの大きな項目があります。「啓発・広報」「生活支援」「生活環境」「教育・育成」「雇用・就業」「保健・医療」「情報・コミュニケーション」「国際協力」。このような8つの柱立てを行い、個別政策の方向性を示しました。
当然ながら、障害者のあるなしにかかわらず人権が尊重され、社会に含まれ、支え合い、就労の場を得て、可能な限り自立して暮らしていける社会、というものを全般的分野で目指します。

内閣府においては、総理大臣を本部長、官房長官と私を副本部長とし、他のすべての閣僚を構成員とする「障害者施策推進本部」が設置されています。そのような体制をとることによって、政府全体で総合的施策を推進することができる。どこかの省1つの問題でなく、非常に横断的な課題であるので、各省がその実施において努力してもらうという流れを作る。これが特命担当の立場であり、また、官邸主導の会議形式の方法論であることをご理解いただきたいと思います。

それぞれの大臣からご説明がありましたが、平成17年度においては、さまざまな法改正がありました。一部でバリアフリー化への理解にかける企業の行動があって残念でしたが、全体として「雇用」「生活支援」「教育」「生活環境」の分野で重要な制度改革がなされた1年でした。

まず、4月の発達障害者支援法の施行に始まり、6月には障害者雇用等促進法の一部改正、10月には障害者自立支援法。年が明けて、2月にはバリアフリーを総合的に推進する「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案」が出され、3月には障害のある児童・生徒の個々のニーズに柔軟に対応するための学校教育法等を一部改正する案が出され、それぞれ先の国会で成立しています。

そこに共通する考え方は、障害のあるなしにかかわらず、それぞれの人が住み慣れた地域で、十分な配慮のもとで、必要に応じて支え合いながら、同じように暮らせる社会を目指すということ。この哲学で導かれた法律の制定ないし法改正です。

先ほど国連での取り組みについてお話をしましたが、現在、国連において「障害者権利条約」の最終的な交渉が行われています。この条約は、障害のある人の権利を保障し、障害がある人とない人との差別をなくし、平等を促進するための国際条約です。

非常に献身的な議長の努力によって、不可能にも思われた交渉が実を結びつつあり、既に7回の交渉を経て、あと1回で、かなり本格的な取りまとめができるかもしれないというところまでこぎつけています。

先ほど申し上げましたとおり、わが国としては積極的に議長国を支え、早期の条約成立に向けて幅広い国際社会の理解が得られるよう、アジア太平洋地域における先進国として貢献していくという立場を打ち出していきたいと考えています。

8月からの交渉で、外務省その他の省庁が中心的な役割を果たしますが、私も障害者施策担当大臣として、国内のさまざまな声が確実に反映され、また高い水準でこの条約が調整されますように努力したいと思っています。

私の所管する分野としては、その他、男女共同参画、少子化政策、消費者政策、あるいは青少年育成、さまざまです。そこに共通するのは、社会政策の分野を充実させるという観点です。

わが国は無資源国ですから経済競争力は不可欠ですが、いま構造改革の結果、さまざまな分野の立て直しが進み、景気も回復しています。この局面において、一気にそのようなことの成果の配分を、社会施策の分野においてこそ受け取らなければならないと考えています。

また、私の担当する分野は、さまざまな理由からなかなか主流化することが難しかった分野、また特別の苦労を抱えている分野です。女性の社会進出もそうですし、少子化もそうですが、仕事と家庭の両立が難しいというようなことの複合的な結果として起こっていることです。

青少年育成についても、この国は高齢者に対して特別の配慮をする非常に熱心な取り組みを成功裏におさめてきましたが、ふと振り向けば、若い人たちがさまざまな困難を抱えているにもかかわらず、十分に社会や政府として若い世代の苦しみに寄り添うことができていたかどうか。そういうことの反省もあって、幅広く考えていきたいと思っているところです。

そこで目指される社会の姿というのは、多様性のある、そして冒頭に申し上げた、すべての人が含まれるものです。それは、海外で「ダイバーシティ戦略」と呼ばれるものです。女性、若い人、高齢者、障害のある人、その他さまざまな特別な背景を持っている人、すべての人が含まれる社会が多様性を持っている社会であり、それを目指すことは、すべての人をインクルードし、全員をコネクティッドな状態にすることを掲げる民主主義の社会として当然です。21世紀の社会は、そういう面での発展が重要。つまり、経済発展も重要だけれども社会発展が重要。そこを重点化することに大きな課題があると考えています。

本日、このチャレンジド・ジャパン・フォーラムの第11回が開催され、先ほど両大臣が敬意を込めて竹中さんのお取り組みについて申されましたことに、私も微力ながら心からのご支援を申し上げる気持ちと、心からの敬意を合わせて表させていただきます。

竹中さんは、まさに「コネクテッドネス」を重視する取り組みとして、ここまで発展させてこられました。考え方に先導された情熱の輪を作ってこられた哲学者です。このご努力がいっそう発展し、また多くの個々の方々に幸せをもたらすことを心から祈っています。

私は非力ではありますが、できることを成してまいりたいと思っていますので、いつでも大臣室にお電話なり、ご連絡いただければと思います。

どうも皆さま、ありがとうございました。(会場:拍手)

竹中/ 猪口大臣、ありがとうございました。先ほど、私が財務省の財政制度等審議会の委員をさせていただいていると言いましたが、実は内閣府の中央障害者施策会議の委員もさせていただいています。そういう意味では、内閣府とは関連があります。大臣には今日も力強いお話をいただき、国内だけでなく国連に関するお話もしていただきました。大変勉強になりました。ありがとうございました。

さて、「閣僚が語るユニバーサル社会」ということで川崎厚生労働大臣、谷垣財務大臣、そして猪口邦子内閣特命担当大臣からそれぞれお話しいただきました。

外務大臣をされている麻生太郎さんとは、実は太郎さんが政調会長の時代から大変親しくさせていただき、この活動に大きなご支援をいただいています。ただ、本日からASEANに出席という海外公務が入っていてご出席かなわないということで、麻生太郎さんからもビデオのメッセージをいただいています。閣僚セッションの最後に、それをご覧いただきたいと思います。

(ビデオ始まり)

竹中/ おはようございます。外務省前です。今日は、政調会長の時代からプロップ・ステーションの活動を応援してくださっている麻生太郎大臣に、メッセージをいただくためにやってまいりました。これからお部屋に伺って、お話をお聴きしたいと思っています。

竹中/ お忙しいところ、すみません。今日もよろしくお願いします。おかげさまで、チャレンジド・ジャパン・フォーラムもいよいよ今度が第11回となります。今年はご出席がかなわないということですので、ぜひメッセージをいただきたいと思って、やってまいりました。よろしくお願い致します。

麻生/ 皆さま方のお陰で、11回を数えるまでになりました。

ナミねぇとは長いつきあいになると思います。自由民主党の政務調査会長をやっているとき以来です。当時、e-Japan計画を強引に進めているときに、各役所で抵抗がいろいろありました。その中でナミねぇに来てもらって、全省の官房長や局長がずらっとそろっているところで話をしてもらいました。

そのときに最初に言った台詞が、「補助金はいりまへんのや。仕事ください」。これには
並み居る役人も驚きました。いい意味でのショックを与えてくれました。

「いま、ITが進んだおかげで、いわゆるチャレンジドでも仕事ができるようになっているんです」と。「そういう時代なので、補助金ではなく、仕事を与えてもらえさえすれば、それを仕事を通じて税金が納められるようになるんです」と、そういう話をされました。
このことが強く印象に残って、今でも覚えています。

これから少子高齢化社会になります。1億2600万人の日本人の約2割が、65歳以上になります。それを支える人の数は、昔は1年で240〜250万人生まれましたが、今は110万くらいしか生まれません。高齢者が増えて働く若い人の数が減るとなれば、お互い、支え合う部分は絶対に必要です。当然ながら、若い人も、女の人も、高齢者も、働けるうちには働いていただきたい。

いまはITによって、筋力が落ちた分や視力が落ちた分など、いろいろ不自由な部分は機械で補えるようになっています。しかも、情報は間違いなく速く、安く伝わるようになっています。

今回もプロップ・ステーションでは、ユニバーサル社会、共に助け合う共助社会を作っていく一環として、「アック・ゼロヨン」(日本のWebサイトをアクセシブルかつクリエイティブにする活動)という活動をされています。そのアワードに、私が総務大臣のときに「総務大臣賞」を出しましたが、今回はぜひ「外務大臣賞」を出したいと考えています。

プロップ・ステーションの縁でネットワークが広がったと思いますが、こういうものがあるということを知らない人もいると思います。「そんなものがあるんだったら、ぜひわれわれも」という人にもぜひ参加してもらえること、そういう輪が広がることは、こういった活動をやっていく上で最も大事なことです。

ナミねぇのリーダーシップでここまできたと思います。ぜひ皆さんと一緒に支えていきたいと思っていることを申し述べて、残念ながら会には出られませんが、ご挨拶に代えさせていただきたいと思います。よろしくお願い致します。

(ビデオ終わり)

(会場:拍手)

<< ゲスト出演者によるユニバーサル宣言 議事録目次 ビデオメッセージ  
弁護士 大平光代さん >>