第11回チャレンジド・ジャパン・フォーラム(CJF)2006
国際会議 in TOKYO 議事録

写真:くぼりえさん制作のオープニングムービーより、お絵描きねずみ2匹のイラスト写真:カラフルに描かれた「伝えたいことがあります」の文字

主催者あいさつ

竹中/ 皆さん、おはようございます。プロップ・ステーションの「ナミねぇ」こと、竹中ナミと申します、よろしくお願いします。「第11回チャレンジド・ジャパン・フォーラム2006国際会議in TOKYO」。こんなにたくさんの方にお集まりいただいて開催できることを、心から感謝いたします。今日の日を迎えるために本当にたくさんの皆さんにご協力いただきました。

写真:竹中ナミ理事長(ナミねぇ)挨拶私たちプロップ・ステーションは、15年前から障害のある方もITなどを活用し、その人の持てる力を発揮して社会のメインストリームで活躍できるようにと、活動を開始しました。これは決して、いわゆる「健常者」がいわゆる「障害者」に手を差し延べよう、助けようという運動ではありません。

少子高齢化が進んでいる日本で、1人でもたくさんの人が自分の力を眠らせることなく、社会の支え手になっていただく。そして本当に支えることができなくなったとき、みんなで助け合って支えるようにする。そうできないと、この国、もたへんのちゃうか──。そういう危機感を持って活動しています。

こういうことを考えたきっかけは、私の娘が重症心身障害をもって生まれてきたことです。今年33歳になりますが、現在も私のことを「かあちゃん」と認識していません。彼女が尊厳を持って生き続けること、つまり、かあちゃんである私が安心して死ぬこと、それは、社会が「そういう人も皆で守ろう」と言ってくれる国でなければ無理です。

娘を育てる過程では、娘を通じて出会ったたくさんの障害のある人たちに力を借りました。それで、この人たちが力を眠らせることなく、発揮することができたら、そんな日本に近づくことができるかもわからないなと思いました。それがプロップ・ステーションの活動を始める大きなきっかけでした。

おかげさまで、1人の重症心身障害児のかあちゃんのわがままから始まった活動が、たくさんの人の応援で発展し、このフォーラムも回を重ねて第11回、しかもビッグサイトという大きな場所で開催することができました。本当に感謝しています。

写真:ステージで挨拶するナミねぇ。後ろには大スクリーンに映されたナミねぇこのフォーラムは、日本だけでなく、広く世界各国で活躍するチャレンジドの皆さんの力を是非お借りしたいと思いまして、「国際会議」の形にしています。今日も、アメリカ、タイ、スウェーデンの各国から素晴らしいパワーと暖かい気持ちを持ったチャレンジドの皆さんが集まってくださいました。是非、その方々の話を聞いて、勇気を得ていただければと思います。もちろん、日本からもすばらしいチャレンジドが登場します。

ところで、いま私は「チャレンジド・ジャパン・フォーラム」、あるいは「世界各国のチャレンジド」と申しましたが、この「チャレンジド」という言葉は、まだ全国の皆さんにまでは知られていません。

実は、この言葉は、障害を持つ人を言い表す新しい言葉として、アメリカで15年くらい前に生まれました。「チャレンジャー」ではなく、「チャレンジド」という受け身になっていて、「挑戦する使命や課題、チャンスや資格を与えられた人たち」という意味を持っています。障害のマイナス部分に着目するのではなく、その人の中のたくさんの可能性に目を向けよう。みんなでその可能性を世の中に発揮してもらうようにしよう。あるいは、障害のある方自身がその可能性を世の中に花開かせよう。そういう思いを込めて使っている言葉です。その「チャレンジド」という言葉を活動で使うと同時に、この大会も「チャレンジド・ジャパン・フォーラム」と名づけました。

おかげさまで、プロップの活動開始から15年、この大会の開催から11年たって、このように大勢の方々にこの考え方に共鳴していただけるようになって、心から感謝しております。こういう形で偉そうに高いところから挨拶して生意気ですが、私1人だけでなく、皆さんのお力でここまで来たという感謝を述べるために、ここに上がらせていただいています。この言葉で開会の挨拶とします。最後までお楽しみください。(会場:拍手)

写真:ステージでにこやかに笑うナミねぇと、ご挨拶をしたところで、実はお詫びをしなくてはなりません。この大会が始まる前に、多くの方に「今度の大会には小泉総理がご出席」とご案内しました。

実は7月22日という開催日も、東京ビッグサイトという場所についても、官邸と打ち合わせしながら決めました。しかし、残念ながら諸般の事情で総理の出席が無理となりました。そこで、官邸にうかがって、総理にビデオでのメッセージをいただきました。

このあと、そのメッセージを見ていただきますが、日付にご注目ください。なんと、私たちがメッセージをいただいたのは、夜明けに北朝鮮からのテポドンが日本海に向けて発射された日です。そういう大変な日でしたが、出演が難しいからとメッセージをいただきました。メッセージをご覧ください。

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