夕刊 読売新聞 2011年1月21日より転載

障害者 等身大バラエティー

NHK「バリバラ」に反響

漫才、クイズに珍解答  批判も紹介 論議呼ぶ

 車いすでの運動会、ハンデを逆に利用して笑いを取るクイズや漫才……。NHK大阪放送局制作の、障害者によるバラエティー番組「バリバラ」が注目を集めている。自らの障害をネタにする出演者の姿に「勇気がわいた」「画期的」との意見が集まる中、番組では批判の声も積極的に紹介。等身大の障害者の姿を伝えることで、真のバリアフリー(障壁のない)社会の実現につなげたい考えだ。

笑っていいかもの写真
23日に再放送される「笑っていいかも!?」では、障害者のお笑いナンバーワンを決める「SHOW-1グランプリ」が行われる

 教育テレビの福祉情報番組「きらっといきる」(毎週金曜午後8時〜同29分)の特別企画として、昨年4月から毎月最終週に放送。「きらっと〜」出演者らの「障害者だって面白いことをしたい」との声を受け、「バリアフリー社会を、バラエティーを通して考える」との思いをタイトルにした。

 人気は、障害者が漫才やコントを披露する「お笑い研究部」。ほかに、ヘルパー志望の若者が言語障害を持つ講師の指示を聞き取るクイズに挑み、珍解答に笑いが起きる「最強ヘルパー養成塾」、狭くて車いすで方向転換できないトイレなど、名ばかりの障害者用施設を報告する「バリバラ珍百景」では、実例を基に現状を考える。笑いだけを求める演出は避け、どう配慮するか議論を重ねるという。

 「障害者を見せ物にしている」などの批判も積極的に紹介し、障害を持つ司会者らが丁寧に意図を説明。先月4日に放送された「バリバラ」だけの2時間スペシャル「笑っていいかも!?」には約300件の反響が寄せられ、9割近くを好意的な声が占めたという。NHKはそれを受け、23日午前2時5分から、同番組を総合テレビで再放送する。日比野和雅プロデューサーは「これが完成形とは思っていない。いろいろな考えを聞き、より良いものを目指したい」としている。

 障害者番組のイメージを変えた「バリバラ」について、受け止め方は様々だ。
  「障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議」事務局の中村香子さんは、「抵抗を感じる人もいるだろうが、否定的な意見も紹介することで、議論の場になっていると思う」。

 障害者の就労支援などを行っている神戸市の社会福祉法人「プロップ・ステーション」理事長で、長女が重い心身障害を持つ竹中ナミさんは、「障害者も一般の人と同様、個々の得意分野で活躍できる環境が必要。障害者が笑いを披露し、可能性を広げることができる場を提供したチャレンジ精神は評価できる」と話している。

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