Attention Networkより転載

講習会

神戸スウィーツ・コンソーシアム in 東京

 6月20日、「神戸スウィーツ・コンソーシアムin東京」として、知的・精神障害者に向けたパティシエ養成スクールの「チャレンジド・プログラムVol.2」が、東京・日本橋小網町の日清製粉・加工技術センターで開かれた。

 これは、昨年の6月から神戸で行なわれた「チャレンジド・プログラム」の第2回目となるもので、障害者を《チャレンジド》(挑戦する使命を与えられた人)を捉え、その自立を目指す神戸市の社会福祉法人プロップ・ステーション(理事長・竹中ナミ氏)などが企画したものだ。

 昨年は八木淳司シェフ(モロゾフ(株)テクニカル・ディレクター)が講師を務め、フィナンシェなどをテーマに教えて、6〜12月まで計5回の講習を行なった。

八木シェフの写真
開講に先立っての挨拶をする八木シェフ。

 兵庫、大阪、和歌山から8人の障害者が参加し、全員一度も休まずに講習を重ねてきたが、竹中理事長は、

「私たちは、障害のある人たちが、その持っている力を発揮して、社会で活躍できるような活動を続けてきましたが、いろいろな方たちの御協力を得て、『神戸スウィーツ・コンソーシアム』という企画を実現することができました。
  私自身、障害者の子供を持つ母親ですけれど、障害を持っていることは、恥ずかしいことでも、悲しいことでもありません。障害を持つ人でも新しい生き方ができることを多くの人たちに伝えていきたいと考えています」と語る。

永井、野澤両シェフの写真
今回の一連の講習会には、永井、野澤両シェフも参加している。

 講師として教えた八木シェフのお子さんにも軽い知的障害があり、そのこともあって、このプロジェクトの講師を引き受けたのだが、

「これまでも、障害者の人たちが作業所で作るクッキーなどのお菓子が気になっていて、その形や味が単調で、≪買ってもらえるのだろうか?≫と疑問があったし、≪一般のお菓子屋さんの商品とも勝負できなければ、長続きしないのでは…≫という思いがあったんです」

受講者たちの写真
真剣にメモを取る《チャレンジド》の受講者たち。

 そして、去年の12月に迎えた修了式では、講習で学んだ成果を披露。受講者が作ったクッキーやプリンなどの作品を関係者たちが試食し、

「十分に商品化できると思うし、障害者に、さらに就労の機会が増えるのでは…」という声が挙がった。

「一流の人の指導こそが《チャレンジド》の学習には必要」と考えてきたという竹中理事長も、

「チャリティーや同情ではなく、お客の満足度の高さで勝負できるように、さらに活動を全国に広げていきたい」と、将来への展望を語り、参加者からも、

「正直言って、しんどいこともあったけれど、やってよかった。ここでの経験は貴重だし、これからも、もっと菓子作りに励みたいです」との感想があった。

 そうした成果を得、「神戸から《チャレンジド》の輪が広がれば…」という竹中理事長の願い通り、今年、第2回の「神戸スウィーツ・コンソーシアム」が開かれた会場には、昨年も講師を務めた八木シェフと西川功晃シェフ(『ブーランジェリー・コムシノワ』神戸)の他、永井紀之(『ノリエット』東京)、野澤孝彦(『コンディトライ ノイエス』)の両シェフも加わり、さらに日清製粉などの支援メーカーも参加して、東京での講習をスタート。

 6月の開講式での講習を含め、12月まで計6回の講習会が行なわれる予定で、受講料は1人・2万円。受講する《チャレンジド》たちは、プロのパティシエをも視野に入れた新しい道を歩み始めることになる。

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