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神戸新聞 2003年7月7日より転載  (第5回)

     
 

随想

 
 
根っこを変える
 
 
―――――竹中 ナミ
 
 

 


 プロップ・ステーションは、毎年「チャレンジド・ジャパン・フォーラム(CJF)」という会議を開催しています。今年は8月21日、22日に千葉・幕張の国際会議場で9回目のCJFを開催します。

 CJFは、プロップのスローガンである「チャレンジド(障害を持つ人)を納税者にできる日本」を実現するため、幅広い分野の人たちが集まり、行動を起こすことを前提として議論するのが特徴です。今年はスウェーデンとアメリカからゲストを招き、両国で30年以上前から推進されている「チャレンジドを誇りある国民の一人として位置づけ、納税者にできる政策」について学びます。

 日本では「障害は個人の医学的失陥に基づくもの」という前提ですけれど、スウェーデンなどでは「障害を個人の問題にとどめず、社会のあリようによって障害を障害でなくすことが福祉政策」と位置づけています。つまり、根本が違っているわけ。マイナスのところを数えあげ、「気の毒やから埋めてあげましょう」ではなく「プラスの部分を全部引き出せる制度にするから、社会に貢献しましょう」というポジティブな哲学が根底にあるんやね。

 あなたが重度障害を負った時を考えてほしい。「お金あげるので静かにしててね」と言われるのと、「仕事に復帰できるよう皆で考えるね」と言われるのと、どっちが嬉しいかなぁ。ほとんどの人は後者やと思う。でも日本の福祉制度は前者。「福祉先進国」といわれる国々は後者なんよね。

 日本は「根っこ」を変えなアカン時です。CJFの詳細をプロップのホームページで見て、あなたも参加してや〜!!

(たけなか・なみ=社会福祉法人プロップ・ステーション理事長)