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TBS NEWS23 1999年(平成11年)11月18日 木曜日より



     
  シリーズ ”女” 5回目
筑紫哲也さんと竹中ナミの対論 (Part1)
 
     



 

 


NEWS23 オープニング
キャスター(草野さん)
  シリーズ ”女”の5回目 ナミねぇと呼ばれる、それはもうパワフルな女性の登場です。
 
   
ナミねぇ
  私自身が、中卒でバツイチで障害児のかあちゃんでこんな体重でこんな年して五重苦な女ですとよく言うんです・・・
チャレンジどの皆さんに・・・(笑)
 
   
(エイボン表彰式の風景を映しながら)
ナレーション
  エイボン教育賞 「竹中ナミさん」
障害を持つ人を「挑戦すべきことを与えられた人」という意味の「チャレンジド」と呼び就労を支援。
社会的に目覚しい活動をしている女性に毎年贈られる「エイボン賞」。
今年その教育賞に選ばれたのは障害者を「チャレンジド」と呼び支援活動を続けてきた神戸の竹中ナミさん。
通称「ナミねぇ」である。
 
ナミねぇ (エイボン表彰式にて)
  チャレンジドのメンバーが自分の表現をしたい・・・
自分が表現して、人から何かしてもらうだけじゃなくて、自分も社会に何か返していきたい・・・
と言う、強い思いがたくさんの人を動かしてるのかなぁと思います。
私自身は、つなぎのメリケン粉の役割をやらしてもらってます。
 
ナレーション
  中卒でバツイチで障害児のかあちゃんでしかも体重と年齢のハンディを加えれば5重苦と言うナミねぇは、持ち前のパワーで障害者の社会参加を進めてきた。
 
 
     
   
(パソコン・セミナーを映しながら)
ナレーション
  ナミねぇの戦略は明解だ。
障害者の中には障害がどんなに重くても、パソコンが使えれば自分を表現し仕事ができるようになる人がいる。
それなら彼らチャレンジドのためにパソコン教室を開こう!!
そして、仕事を覚えてもらい、障害があっても働きたい人は、働ける社会を作ろうと、チャレンジドの就労を支援する運動の先頭に立ってきた。
 
 
                    
 
               
   
(スタジオにて)
キャスター(草野さん)
  シリーズ ”女”の5回目の今夜は、筑紫さんと竹中ナミさんとの対論です。
竹中さんは、8年前、大阪でプロップ・ステーションと言うNPOを創って、障害者「チャレンジドを納税者に」というスローガン掲げました。
その、型破りな発想と、産・官・民も巻き込んだ運動が、福祉の世界に新しい流れを生み出しています。
 
 
        
   
(筑紫さん・ナミねぇ対論
 
プロップ神戸事務所のある 神戸ファッションマート1Fフロアにて)
筑紫さん
  「チャレンジド」、つまり障害者たちを「納税者にしよう」とずっと竹中さんが続けてきた中心のテーマですよね。
これは、現状はどこまで、どの段階までいっていますか?
 
ナミねぇ
  多くの方が仕事は無理と言う社会の通念の中で、まだ仕事ができる状態になっていない。
まして、企業もそういう方の中に仕事の能力が眠っているとは気づいていないと言う段階ですよね。
プロップがこういう活動を8年、もうすぐ9年になりますけど、コンピュータを使って自己表現としての仕事、あるいは、自己実現としての仕事に向かう方がかなり全国で生まれてきてますしこういうような活動自身も全国各地で広まってきていますから、あと数年で介護(サポート)を人から受けながらでも、自分は仕事と言う形で社会参加したり社会貢献をするんだ、と言う時代になって来るのかなぁと思っているんですけど。
 
筑紫さん
  もっと具体的にいうと、納税者になった人と言うのが何人いるとかいう・・・数でいうと・・・
まだ・・・その点は?
 
ナミねぇ
  一回、一回の単発のお仕事(企業からのお仕事)を頂いて、それを皆さんこなされると言う形ですから、納税となると一年トータルにコンスタントでなければいけない。
今その、コンスタントになっていく直前の段階ですね。
 
筑紫さん
  当人たちはですね・・・、これも少々言われるんですけども・・・
自分たちは人になにかしてもらうだけではなくて、人になにかしたいとう言う気持ちが強いと?
 
ナミねぇ
  思いますねぇ。
何か社会からしてもらっているだけという感覚って言うのは、それも、してもらって当たり前と思ってしまうところまでいけば別なんですけれども、してもらっているだけではなく、やっぱり自分自身が返すことで、ものすごく”誇り”を持てるんですよね。
プロップ自身は、別に稼いで納税しようと言う納税運動じゃ全然ないわけで、”誇りを取り戻そう”と言うのが一番大きなテーマなんですね。
 
 
    

プロップ・ステーションのチャレンジド・アーティスト達の作品
   
(パソコン・セミナーを映しながら)
ナレーション
  ”誇り”を取り戻すために働きたいと言う障害者は少なくない。
彼らが頼りとしたのは、パソコンだった。
チャレンジドは自分でパソコンを買い、授業料を払ってプロップの講習会にやってくる。
そこで、ナミねぇがしたのは、パソコンをばらまくことではなかった。
 
 
            
 
            
   
(筑紫さん・ナミねぇ対論
 
プロップ神戸事務所のある 神戸ファッションマート1Fフロアにて)
   
筑紫さん
  プロップの(竹中さんの)提唱していることは、一種キツイのではないか?
つまり、ケアされると言う側だけにいる気になれば、居れないことはないわけで、そこに、ある種ハードルをもう一つ作ったわけで・・・
 
ナミねぇ
  おっしゃった通りで、
別にチャレンジドだから、無理に働こうと思う人ばかりいるわけでもなく、守られているだけでおりたいって言うことでもないわけですよね。
だけども、一般社会と違うルールみたいなものがあって、自分が働こうとしても、そういう勉強する場所とか、技術を磨く場所とかあるいは、それに仕事をするチャンスとかがないところで”あなたたちは、保護の対象よ”って言う風に世の中から言い切られたり、自分がそれにやも得ず納得しているのかって言う状況は、私はこれはちょっと大きな溝があるなぁと思うんですよね。
つまり、チャンスの平等っていうか・・・というところは、今の福祉感から抜けているなぁ・・・。
ただ、かなり納税者みたいな言葉も使ってますから、”えらいきつい事ゆうてんなぁ”、”いらぬお世話や”と思ってる人はおられると思います(笑)。
 
   
(今夏、開催された
チャレンジド・ジャパン・フォーラム in みやぎ を映しながら)
ナミねぇ
  おかげさまで、今、世の中いろいろ変わり目というか、かわらざる終えないところに、日本も来ているのでそういう意味では、各階層の方が、いろんな風に自分なりに変えたいと言う気持ちを持ってられると言うのはお会いして、ひしひしと感じますよね。
だから、変えたいと思っていない人は、ナミねぇと会ってもそんなにピンピンとお互いこない。だけど、変えようと思っる人は、どんな仕事の人であれ会うとやっぱり、”変えないといけないですよね!!”、”変えましょうね、自分たちで!!”のような会話になって、そういう意味では、おんなじ夢が見れるって言うか・・・。
 
筑紫さん
  そういう人は、例えば、お役人とか、そういう人たちを含めて増えていますか?
結構いますか? この国は?
 
ナミねぇ
  増えてきましたねぇ。
今、世の中がちょっと暗くなったり、不安な出来事が多いがゆえにみんな逆に、”変えよう!!”って思っている感じは受けますよねぇ・・・
 
 
        
   
   
 
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