コンピューターを勉強したいがチャンスがない、外出が困難なので在宅で仕事がしたい−。障害をもつ人たちのそんな思いを受けて生まれた「プロップ・ステーション」(tel06-881-0041)。
代表の竹中ナミさんはその最終目標を、「チャレンジド(障害をもつ人たち)を納税者にできる日本」という。
発足から五年、プロップはこれまでデータベースの制作や雑誌・ポスターのデジタル編集などを受注してきたが、在宅勤務を進めるチャンスとして、いま最も力を入れているのが、インターネットのホームページの制作。
インターネットにホームページを開設する企業は現在約六百社、今後急増することは確実。ホームページは、いわば企業やグループを紹介する電子カタログ。制作を代行できれば、制作費だけでなく、データを更新する際のメンテナンスも含め、継続的な仕事となり得るからだ。
「在宅勤務ができる実力の養成と同時に、在宅勤務の可能性のある仕事を見つけることがプロップの役割。インターネットにプロップ自身がホームページ(http://www.prop.or.jp/)を開設しているのも、自分たちに何ができるのかを世界にアピールしたいからです」と、プロップの実務部門、プロップウィングを率いる鈴木重昭さんは話す。
セミナー卒業生で、ホームページの制作を仕事としてこなせるのはまだ数人だが、すでに第一号となる、大阪の印刷関連企業のホームページがインターネットに開かれている。
こうした“商品”の受注や納品はすべて通信で行われる。それによって、重度障害者の就労にとって一番のネックとなっていた“通勤”という障害が消えた。
しかし、パソコンやモデムなどの機器や通信回線の使用料など、費用面からみると、在宅勤務のできる環境が整っているとは言い難い。プロップでは、今後はそうした面での助成も国に要望していきたいという。
「これまでの日本の福祉行政は、障害者が社会を支える一員になるための選択技を作ってこなかった。プロップ=支え合いという言葉には、チャレンジドも社会の中で活躍できる状況を生み出したいという思いを込めています」と竹中さん。
その口調に、重度障害の娘とともに歩んできた母親の強い希望がのぞいた。(服部素子)