*かいしゃ物語*

ものの心についてパート2

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しかし初めあれば終わりあり、のたとえのとおり
娘は大きくなり、お人形遊びを卒業しました。
娘が中学生になったころには、
「かいしゃ」は部屋のすみに転がったままで放置されていました。

そんなある年の暮れ、私は大掃除のゴミ袋の中に薄汚れた「かいしゃ」を発見しました。
「トイ・ストーリー」に出てきた「その時」が娘と「かいしゃ」にもやってきたのです。
私は唖然としました。
あんなに仲良しだったのに!
「かいしゃ」は泣いていました。

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娘の一番愛らしかった頃の服を着た「かいしゃ」を捨てるのが忍びなく
私は可哀相な「かいしゃ」を押入の引き出しに仕舞いました。
「かいしゃ」は泣いていました。
押入の中で泣き続けました。
何年も何年も・・・。
私は押入を開ける度に「かいしゃ」の悲しさを思い、胸が締め付けられました。

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