作成日 1997年1月5日

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在宅スキルアップセミナー進行中!

 今年8月から開始したプロップの新しい企画「インターネットを使った、在宅スキルアップセミナー」は、朝日新聞およびNHKの全国放送で取り上げられ、かつ英語に翻訳されて衛星放送を通じ世界に向けて発信されるなど、大きな反響を呼びました。このセミナーの講師を務める橋口孝志先生と、受講生の皆さんのスキルアップセミナーに対する想いを作文にして寄せて戴きましたので掲載します。受講生の一人は、12月1日より大手ソフト会社への在宅勤務が決定するなど、インターネットを使ったコミュニケーションとスキルアップ、そして在宅就労への道が確実に拓けつつあることを心から喜ぶとともに、今後ますますプロップの取り組みが重要なものになるという重責を感じます。多くの皆様のご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。
(ナミねぇ)

(受講生のプロフィールは上から順に名前・年齢・居住地・障害の種類.E-mailアドレス)

在宅スキルアップセミナー
講師 橋口孝志

1.プロップと私
 プロップのパソコンセミナーは、基礎コースとして、その役割を果たしていますが、就業に結びつく技術を修得するには、更に「中級・上級コース」が必要です。
 私はその一環として「データベース・プログラミング・コース」を担当し、DOS 版のデータベース<桐>によるシステム開発に携わるメンバーの育成を、6ヶ月を単位に実施してきました。
 修了生が、仕事として開発したシステムとして、府立工業高校の成績管理システム、輸入業務管理システム、バスツアー予約システムなど、ささやかながらも実績をつくってきました。

2.講座開設のきっかけ
 プロップ・ステーションの社会的な認知度が高まり、マス媒体で採りあげられる頻度が増えるにつれ、企業・団体の方々からも仕事のご照会をいただくようになったことは有難いことです。
 特に本年6月のTBSテレビ「報道特集」では、全国各地から大きな反響がよせられました。
 私としてもこれは嬉しい出来事ですが、それ以上に、寄せられたご期待に応えられるだけの実体が備わっているだろうか?という反省の気持ちの方がむしろ強く感じられました。
 プロップウィングの鈴木所長から、インターネット上で中級コースを開設したらという提案があったのは、そんな時です。
 野村総研さんとの実験を通じて、在宅就労者のスキルアップの必要性を痛感した鈴木さんの思惑と、私の課題とが一致しました。
 早速、具体化を検討し、ウィンドウズ95上のデータベースとして普及してきた Access95 によるデータベース・プログラミング・コースとして、8月10日にスピード開設が実現しました。

3.本講座の特徴
1)目的は、学習ではなく育成。
 コース終了後、プロップの開発メンバーに加わることのできるメンバーを育成することが目的です。単にプログラミング技術を学ぶのではなく、「通信を通じた意思疎通」「会社で仕事をするとはどういうことか」を学習します。このため、

2)進め方
 第1フェーズ:Access95の基本操作
 第2フェーズ:VBAの基本
 第3フェーズ:VBAの実践的演習
 それぞれのフェーズは、約2ヶ月間で、毎週のテキスト配布、課題提出、随時のQ&Aで進めます。

4.ネット上の講座に固有な問題など

  1. 基本的には支障となるような問題はないと考えます。
  2. むしろ授業において障害が直接見えない分、また 1週間というスパンの中で学習をすればよいことから、先生・生徒ともに遠慮なく、のびのびと学習できるメリットがあります。
  3. ただし最低限、次の項目はマスターしておくことが必要です。
  4. 個別のQ&Aの指導においては、たとえば NetMeeting による相手方画面への直接操作が行える環境が好ましいと考えます。
  5. 授業のためには直接必要ではありませんが、その後の在宅勤務を長期的・安定的に続けるための条件確認のため、受講者宅を訪問して相互の信頼感醸成に努めています。

データベース講座受講中
小原 啓司
34歳
神奈川県小田原市
胸髄損傷

講座受講の動機
 ある日、大手商用BBS(NIFTY−Serve)の障害者フォーラムを覗いていた時であった。プロップ・ステーションが行うインターネットを使用したデータベース講座の書込みが目に止まった。プロップ・ステーションの活動内容はインターネットのホームページやテレビの特集などである程度知っていたので、内容もよくわからないままにすぐ受講の申込みをした。それが始まりであった。
 身体的に公共の交通機関または自動車で通勤する就労は無理なので、在宅で就労する事はできないかと考えていた。しかし、在宅で何ができるか・在宅で就労するにあたり何を勉強しておけばいいのか・どんな知識が必要かがわからなかった。神奈川県には障害者の就労を手助けする職業訓練校があるのだが原則的に全寮制で私の体の身体的状態では無理である。自動車を使っての通学は自宅から学校まで距離があるので通学に時間が掛かってしまい無理と判断。入校を断念していた。その様な状態の中でたとえ在宅で就労するチャンスに恵まれたとしても、現在の自分の能力では仕事などはできないのではないかと思っていた。不安の時代だった。
 外出が困難な人たちのためにパソコン通信を利用してコンピューターのプログラムを教える東京のある団体を知った時はとても注目した。自分もその様な環境ならば勉強ができると思い、私を受け入れてくれるパソコン通信を使用した通信教育の様な企画を探していたがその様なものは見当たらなかった。
 プロップ・ステーションの活動拠点は大阪である。私が住んでいるところは神奈川県だ。プロップ・ステーションが障害者を対象にしたコンピューターセミナーを開催していると知った時は、大阪に住んでいる人たちがうらやましく思えた。「障害者を納税者に」といったスローガンのもとに活動しているプロップ・ステーションなら、在宅での就労に必要な能力が身につくのではないかと思った。私がセミナー会場の近辺に住んでいたなら間違いなく受講していただろう。神奈川県にもプロップ・ステーションの様な活動をしている団体はないのだろうかと探してみたが見当たらなかった。
 この様な状況の中で見つけたのは、現在受講中のインターネットを使用して遠隔地でも受講ができるデータベース講座だったのである。パソコン通信やインターネットを使用して自宅でできる就労を前提にしたコンピューターの勉強を私は待ち望んでいたのであった。それが見つかったのだ。とてもうれしかった。

現在の気持ち・感想
 講座の内容は私の現在の実力からすると、かなりレベルが高いと感じた。データベースソフトを使うのは初めてだったし、データベースのプログラミングをマスターするのはかなり難しいと思った。データベースソフトとプログラミングは全く経験の無い素人だったのである。それに決められた課程を期間内に終了しなければ、講座を終了してもらうというルールもプレッシャーだった。しかし、講師の方はとても熱心で私の様な初心者が質問する愚問でも、やさしく解りやすく問題を解説してくれるので今は何とか頑張ってついていけるのではないかと思っている。でも、まだ不安の念はぬぐいきれない。この先どこまでついていけるのかと。果たして仕事に活かせるところまでマスターできるのかと。現在、奮闘中である。
 インターネットを使用する通信講座は遠隔地でも受講ができるというメリットはあるがデメリットもある。電話料金・プロバイダー料金の問題。もっと料金が安くなればいいのだが。講座の基本システムはインターネットメールを使用するので、質問のやり取りを文章で行うため、文章の読解力・表現力がある程度ないとうまく意志が伝わらない。お互いが見えない文字だけの世界なので意志疎通が難しいと思う。しかし、講師の方がわざわざ面接に来てくれたおかげで理解は深まったのではないだろうか。何事にも一長一短があるものだが、やはり今回の企画は画期的な事だと思う。

将来の希望
 今回のデータベース講座で身につけた能力を生かして在宅で仕事をしたい。独立開業の様な仕事の受け方は体に無理がかかるのでやりたくはない。仕事で体をこわしたくないからだ。体はいちばん大切だと思っている。仕事の犠牲にはしたくない。私の理想はハンディを持つ何人かのメンバーで協力して仕事をする事である。仕事を各メンバーで分担してやっていきたい。助け合って仕事をしていくのが私の理想である。お互いの足りないところを補ってやっていく。こうした仕事のやり方はハンディを持つ者にとって就労のチャンスが増えるということにつながると思う。この様な仕事がやりたい。プロップ・ステーションがこの様な体制を作っていってくれるのなら私は喜んで協力したい。この様なすてきな機会を与えてくれたプロップ・ステーションだから。
 プロップ・ステーションに感謝。


運命のドアを叩く音
伊藤 和彦
39歳
新潟県岩船郡
頚髄損傷

 ジャ・ジャ・ジャ・ジャ〜ン。ジャ・ジャ・ジャ・ジャ〜ン。で始まるベートーベンの「運命」ですが、あの出だしの音は運命のドアを叩く音だと聞いたことがあります。私には、あの日プロップに電話をかけた時の受話器から聞こえた呼び出し音が運命のドアを叩く音でした。運命などと書くと、大げさにかもしれませんが、この通信講座は私にとって待ちに待ったものでした。
 私は16歳の時に交通事故で頸椎損傷の障害者になり現在39歳になる伊藤和彦です。私の住む新潟県の北の方(山形県に近い海岸部)は、新潟県の中ではあまり雪の多い地帯ではありませんが、それでも1mぐらいは毎年積もります。
 私がこの講座を待ちに待っていたというのは、この様な地域性もあると思うのですが、プログラムを覚えたくとも教えてくれる所がないという点と教えてくれる所があったとしてもその場所へ移動する事が出来ない、それに教えていても簡単なパソコンの操作などしか教えていないから、プログラムする力をレベルアップするという目的がかなえられなかったからです。
 私がプログラムを学習したのも本からでしたし、その本もあたりハズレが多くなかなか覚えられませんでした。やっと覚えたプログラムで知人から頼まれたソフトを作っていましたが、そこにも壁がありました。私が社会へ一度も出たことがなく会社での経理の仕組みなどもわからない状態でしたからいろいろつまずく事がありました。そんな時にきちんと基本から教えてくれる所はないか?と痛切に思ったものでした。
 ある日TBSの「報道特集」を見た人からプロップの話を聞きました。その人の話にはインターネットや私と同じ障害を持つ人が生き生きと仕事を、している姿の話などがあり興味深く聞きました。その人は私にこう言いました。「あなたにも出来る事があるかもしれないから電話して聞いてみたら?」その言葉と私の探しているものがプロップには、あるのではという期待から翌日プロップヘ電話をかける事にしました。電話に出てくれたのは、関西弁が少し入った竹中さんでした。セミナーの事をたずねると鈴木さんに話を聞いてみるように話してくださいました。鈴木さんにプロップのBBSを紹介してもらいプロップの活動などを、BBSを通じて知り、プロップへの入会を決めましたでもその時点では遠隔地のものがセミナーを受けるという事は無理という状態の様でしたのでセミナーのテキストだけでも分けてもらえないものかと考え再度鈴木さんに電話をかけてみました。その電話で鈴木さんからうれしい言葉を聞くことが出来ました。インターネットを使って遠隔地の人を対象に講座を始めたいとのことでした。私はその言葉を聞いたとき「やったぁ〜!!」と叫びたい気持ちでした。すぐに、私も受講させて欲しいと鈴木さんに話しました。すると鈴木さんから「ここにその講座の講師の先生がいますからお話してください」と橋口先生に電話に出ていただきお話しすることが出来ました。橋口先生は「厳しいですよ!!」との言葉、その言葉にこの講座が実りのある講座になるだろうとの期待を膨らましてくれました。それと同時に、しっかりと受講しなくてはならないと心にきざみました。
 講座が始まる8月までに、インターネットをはじめていなかった私は、プロダイバの選定や、ソフトの手配、インターネットを快適に動かすための電話回線の変更など準備に追われました。ところが、電話回線の工事が講座が始まるまでに変更出来ないとゆう事態になり少し慌てましたが、講座が始まってまもなく解決して、今では“時間”や“距離”を越えて受講しています。
 講師の橋口先生は、経験と知識の宝庫で私たちが学ぶべき事を的確に指摘していただいています。質問のメールにも回答をしていただき順調に受講させてもらっています。まだ受講を始めて 3カ月目ですがこれからの講座が楽しみです。残りの受講期間を、まだ会ったことのない五人の受講生とともに着実に力を、つけていきたいと思います。
 この講座は、私の様に外出が困難な人や知識を獲たいと思う人にとってとても有効なものだと思います。この様な講座が出来たことは、私が待ち望んでいたものでした、内容もこれから難しくなっていくと思いますが、それこそ私の期待する事ですし力をつけて、この講座で得た知識を十分に活かし“仕事”に結びつけていきたいです。
 将来的には、インターネットを利用して仕事をする“在宅勤務”が希望です。それを実現するための努力は惜しみません。この講座がこの思いを実現するための大事なステップだと思っています。
 そして社会というオーケストラの中でこの講座で身につけた知識を楽器にオーケストラの一員として“運命”を奏でたいです。
 最後にこの講座を実現していただいたプロップ・ステーションの皆さんに感謝します。そしてプロップを紹介してくれた人に感謝します。


ACCESS通信セミナーを受講中
大久保 朝弘
34歳
岩手県盛岡市
頸髄損傷

講座受講の動機
 常々、何か技能を身につけなくては、仕事には結びつかないし、安定した収入も得られないと考えていました。かといって独学で高度なことを学ぶことも難しいですし、移動を伴うセミナーでは受講が困難という状況がありました。そんな折り、今回のセミナー(インターネットを利用しての通信セミナー)への参加のお誘いを受け、またとない機会と思い受講することにしました。

現在の気持ち・感想
 ちょうどセミナーの半分の課程を終えましたが、受講して良かったと思います。独学ではここまで深くソフト(ACCESS)について勉強することはできませんでしたし、独自のテキストと毎週の課題で実力がつきます。それに講師の橋口先生はその道の第一線で活躍された方なので、実務に則した教え方をして頂きますので実務経験の乏しい私には勉強になることが多くあります。それに一緒に受講している6人のメンバーとも徐々に、交友が深まってきているように思います。今回のセミナーがなければ知り得なかったかもしれない人達ですが、この出会いを大切に今後も親交を深めていきたいと思っております。

将来の希望
 安定した仕事が得られ、出来れば、きちんとした雇用関係のもとで働きたいという希望があります。


Access通信講座を受けて
坂井 譲治
23歳
埼玉県入間市
脳性麻痺

 私は埼玉県入間市から講座を受けている、脳性麻痺の坂井(23歳)です。手足が不自由ですが、独歩可能で身辺処理は自分で出来ます。ただ、左手のみで物事をしていますので、他の人に比べると動作は遅く、また、緊張が少し強いので、パソコンのキー・マウス操作では苦労しています。
 ブロップのことはTVで知り約2週間後、この講座のことを聞きました。データベースという言葉は知っていましたが、具体的には知りませんでした。是非ここで学び、自分のものにしていきたいと思い申し込みました。
 受講。8・9月の2ヶ月の中身は私にとってたいへんハードなものでした。パソコンを購入したのが 4月でしたのでWindowsや電子メールについての知識が全く無くて講師の橋口さんにはたいへんお世話になりました。特に、ファイル操作(圧縮・解凍)では理解するのに1〜2週間かかってしまいました。それ以外でも、そそかしくって文章の意味を取り違えたりするので、仕事では絶対に許されないものであると注意されることも度々でした。実社会に出たことがない私にとって、その厳しさを折に触れて教えてもらっています。
 今、3ヶ月目に入りAccessのプログラムである“VBA”に取りかかっているところです。前の 2ヶ月同様、悪戦苦闘の日々です。でも、ひとつのプログラムが完成した瞬間は、とても嬉しく何かどデカいものを勝ち取ったような気になります。この喜びの瞬間を目標に毎回の課題に取り組んでいます。
 私の場合パソコン・インターネット歴が半年と短く、他の受講生の方たちと比べるとまだまだの段階ですが、この講座をひとつのバネにしてよりひとつでも多くの技術を習得し、就職に結びつけていきたいと思っています。


ただいま、セミナー受講中!!
松田 あきら
42歳
埼玉県所沢市
頚髄損傷

 Access95の講座も第2フェーズに入って、いよいよ本格的にプログラミングの学習が始まりました。私にとって、Accessもプログラミングもゼロからの勉強で大変興味深く、面白く感じています。もちろん、面白く勉強するだけではいけないので、集中して取り組むように努力しています。
 受傷後、会社勤めをしていました。主に、総務の仕事をコンピュータを使って行なっていました。仕事そのものは、人並みにはこなしていたと思います。身の回りのことで時間がかかり、余裕がなくなり、結局、自滅した形になって退職しました。
 家でパソコンにむかって、インターネット接続の準備をしている時に、雑誌の記事でプロップ・ステーションの活動を知りました。在宅で仕事ができれば、時間を効率良く使って、能率のいい仕事ができると考えていたので、すぐに入会することにしました。そして、タイミングよく、鈴木さんからインターネットを使ったAccess95セミナーの情報をいただいたのです。
 セミナーの講師のJIJI先生は、丁寧に、そして厳しく、ときにはユーモアをまじえて指導してくださいます。
 この講座で学習していることを実際に仕事として生かし、在宅での就労が実現すればと考えています。また、多くの企業の方々に私たちが戦力に成り得るということをアピールしていきたいと思います。


Access講座受講にあたって
森 正
42歳
長崎県長崎市
多発性硬化症

講座受講の動機
 私がこの講座を受けようと思ったきっかけは(他の受講者の方も同じだろうが)、やはり「仕事をしたい」との思いからだった。
 プロップ事務局から講座開始のご案内をいただいたのは今年('96年)の7月中頃だったと思うが、ちょうどその頃私は 1年半ほど勤めていた会社を退職して、次の勤め先を探していた時だった。この“1年半”という期間が退職の理由を物語っているのだが、それはまぁ置くとして、ご案内をいただいた時には正直言って迷った。自分のレベルがまだまだ低い、というより初心者でしかないことを痛感していたからだ。
 私の場合、パソコン歴などと言えるものは皆無に等しい。先の会社に入社した時にほんのわずかの講習を受けただけ、それもWindowsの初歩的な使い方のみで、後は独学。と言うより、各アプリケーションのマニュアルと首っ引きで“対症療法”的に使っていたのだから、いわば“その場しのぎ”だったわけだ。その会社も初めてパソコンを導入したのだから、他に使える人などいるはずもなく、納入した業者でさえ、専門のインストラクターどころか教えられる人はほとんどいなかった。数人の「ある程度わかる」人も、あちこちの納入先や展示会に出かけて「不在」ばかりで、たまに電話で話せても、アプリケーションのことは知らなかった(「Word」や「Excel」といったメジャーなものでも)。それで、きちんとした使い方を知らないまま、一番効率の悪い方法しか使っていないとしても、アドバイスしてくれる人もなく、全くの無法者状態だった。
 そんな風だったから、不安は大きかった。データベースなど使ったこともないのに、その上プログラミングまでとなると、果たして「仕事ができる」レベルまで行くのだろうか、いや、その前について行けるのだろうか、と。
 でも、車いすの障害者を雇ってくれる企業は少ない。まして大都会ならともかく、雇用の受け皿自体が小さい地方都市ではよけいに難しい。その点、パソコンを使っての仕事は自宅でやれるし、インターネットやパソ通で受け渡しもできるから、地域に制約されることもない。それで、「この際きちんとした指導を受けて頑張ってみよう」というのが、受講の動機だった。

現在の気持ち・感想
 そんな気持ちで始めたものの、「こりゃぁ、えらいことになった」というのが現在の偽らざる心境だ。いよいよプログラミングの段階に入って(まだほんの入り口なのだが)だんだん手強くなってきた。エラー続出で前に進めず、頭を抱えどおしだ。それも「初歩的な文法上のミスでコンパイルできないでいるのに、それがなかなかわからない」、「記述上の矛盾に気づかない」、そんなことばかりだ。教えられれば「なるほど」と思うのに、泥沼でもがくのにも似て自力では抜け出せない。ウルトラマンでも、スーパーマンでも、マグマ大使(古すぎるか)でもいいから、「助けてくれぇ」と叫びたくなる。
 だが、これを通過しないと身に付かないのだから、助けを求める先はマニュアルや参考書にして、それでもわからなければ質問をする、という具合にしようと思う。思うのだが、このマニュアル軍団、欲しい答えをなかなか出してはくれない。もっとも、そこに想定されているレベル以前の疑問をぶつけていくことが多いのだから、それも当然かもしれない。
 そんなこんなで悪戦苦闘の毎日だが、投げ出すことなく(投げ出されることはあるかもしれないが)頑張ろう、と思っている。以前橋口先生から、「アクセスを使うのが難しいから、仕事になる余地がある」といった主旨のメールをいただいたが、私もそういう気構えでいなければ、プレッシャーに負けてしまいそうだ。とにかく「あせらず、怠らず」で行こうと思う。

将来の希望
 何だか大それた望みのようにも思えるが、一つある。ここ長崎でもパソコンを使っている障害者は多いのだが、自分だけで完結してしまって、他者との共生の手段として位置づけられないでいる。だから、こういう人たちと共同で仕事をするネットワークのようなものを作れれば、と思う。まだまだ経験も力量も低レベルで話にならない私だが、今回のこの受講が第一歩となれれば、と考えている。


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