第11回チャレンジド・ジャパン・フォーラム(CJF)2006
国際会議 in TOKYO 議事録

各国のチャレンジド・ゲストからのメッセージ

「出会い・支え合い」
(日本 絵本作家:くぼりえさんとイオン化粧品(株):河端社長)

竹中/ チャレンジドのセッション、いよいよ最後の登場人物になりました。お昼休みの前に少し皆さんにメッセージを伝えた、くぼりえさんが、自宅のベッドの上でスタンバイしています。

くぼりえさんに素晴らしいカレンダーの絵のお仕事を提供していただき、ともに作品を愛し、広げている、イオン化粧品の河端社長に壇上に上がっていただいて、話を始めたいと思います。

さて、枚方のくぼりえさんのお宅と、今回は無事につながりますか?

くぼ/ 聞こえますか?

竹中/ 今度はばっちり聞こえています。それでは、りえさんと河端社長のセッションに入りたいと思います。まず、りえさんから、この度、イオン化粧品のカレンダーのお仕事をして、どんな気持ちでいらっしゃるか、それがりえさんにとってどういうものだったかをお話しいただけますか。

くぼ/ はい。まず、少し自己紹介からしたいと思います。

私は生後6か月のとき、ウェルドニッヒ・ホフマン病と診断されました。全身の筋力がだんだん衰えていくという病気です。いまは24時間、両親に介護してもらいながら、自宅で生活をしています。

13歳くらいから絵本作家になりたいという夢を持っていて、中学・高校・短大とずっと絵の勉強をしてきました。絵を描くときは、お水を汲んでもらったり、絵筆を握らせてもらったり、絵の具を出してもらったり、すべてサポーターが必要ですが、母に手伝ってもらいながら、ゆっくり描き続けてきました。

プロップのセミナーに通い始めたのは、約11年ぐらい前です。勉強を始めて1年後くらいから、手描きのイラストやパソコンを使ったCGの仕事をやらせてもらえるようになって、いまに至ります。

一昨年からイオン化粧品さんのカレンダーを制作させていただくという仕事をいただいています。社長さんに私の絵を見てもらったことから出会いが始まりましたが、1年だけで終わりでなく、来年も、また来年も、という形でお仕事をずっと継続していただけて、とてもうれしく思っています。

いまも、来年度版のカレンダーの制作を進めているところです。以上です。

竹中/ ありがとうございます。いま、体調が少しずつ復帰しているりえさんが、来年に向けて制作しているとのことなので、楽しみにしてください。

河端社長、りえさんにカレンダーを依頼されたわけですから、「仕事をあげたよ」という側ですよね。でも、イオン化粧品の皆さんと、りえさんの雰囲気を見ると、仕事を出した側と受ける側というだけでない雰囲気をすごく感じます。そのあたりを、ぜひ河端さんからお聞きしたいんですけど。

河端/ 皆さん、こんにちは。イオン化粧品の河端進です。どうぞよろしくお願いします。

今日も朝から‥‥。ほんとに今日の1日はすごいなって思います、うん。なんか、今日は感動で……。

竹中/ 熱血漢なんですよね、河端さんは。怒らはったらヤクザみたいに怖いけど。
(笑) 顔は怖いけど、感極まったら言葉に詰まる。

河端/ 私たちは誰でも自分のことで精一杯なんです、正直なところ。その中で、ホントにこうして体が不自由な方たちが、一生懸命生きている。ただ生きているだけでも、周りに感動を与えているんですよ。

普通に仕事をしていても、だるい、えらい、どうのこうのという人が多いですよね。その中で、本当に命を削って仕事をしている。その仕事を認めてあげるのが、当たり前。

でも、くぼりえさんのように、ちょっとこうして仕事をさしてもらっただけで、本当に心から喜んでくれる。お母さんまで喜んでくれる。そして、それを本当にしてくれるだけで、私たちにすごーい勇気を与えてくれる。

ぼくは手が普通に動く。足も普通に動く。ちょっと短いだけのこと。(笑) 足が太い、細い、長い、短い、そんなことを言っている場合と違う。本当に勇気を与えてくれる。
事実、くぼりえさんと出会わせていただいて、ぼくの人生変わりましたよ。

ぼくは、けっこう喜怒哀楽が激しい人間なんですよ。

竹中/ わかってます。(笑) 見ただけで分かります。

河端/ 優しいときは優しいけど、まあその反対のときは‥‥。それが、本当に優しい気持ちになれた。特に優しい気持ちになれた。

そして、ちょっと風邪をひいたり、「ちょっとしんどいな、えらいな」というときがありますよね。そういうときに、りえちゃんのことを思い出すんです。そしたら不思議に、体がピッとなるんです。それだけ、くぼりえさんとの出会いが、ぼく自身の人生をすっごーく得なほうに変えてくれた。

くぼりえさんは、「協力していただいた」とか、「絵を採用していただいて」とか、お礼を言ってくれます。とんでもない! 絵を通じて、くぼりえさんから優しさと勇気をもらいました。

カレンダーには12枚、こぐまちゃん一家の絵が出てきます。カレンダーは、家族みんなの予定を書けるように、字は小さく、書くところを大きくしています。だから、カレンダーやない、壁掛け手帳なんです。それを家族の人みんなで見ていただくと、いつもこぐまちゃんの話が出ています。家族が、くぼりえさんによって、すごく明るくなり、夢を持ち、個人個人、各々が優しくなり、勇気をもらう。今日でも「来てください」と言ったら何万人も来るんですよ。

竹中/ 何万人! ちょっと入り切れませんねえ。次回は東京ドームでやりましょか?
(笑・拍手) すみません。ちょっと、りえさんにもしゃべらせてあげて。(笑)

りえさん、ちょっとビックリしていましたけど、こんなふうに受け止めてもらっているというところまで、多分りえさんは感じてなかったかもしれません。どうですか、今の河端社長のお話を聞いて。作者として一言。

くぼ/ 先月まで一時死にかけていたので、社長さんにももう会えないかなと思っていたんですけど、すごく元気そうな社長さんの話を聞けて、今日は良かったです。

河端/ りえちゃん、こんにちは。聞こえる?

りえ/ 聞こえます。お元気ですか?

河端/ このとおりや。(笑) ここで会いたかったなあ。

りえ/ こんなところからすみません。

河端/ 今日はえらいキレイですね。もう映りが女優さんみたいですよ。本当にきれい、すてき。

竹中/ ここで「イオン化粧品を使わせてもらってます」と言わな。(笑)

くぼ/ もちろん、毎日使わせていただいています。(笑) 病院にも持っていきました。

河端/ ハートやな。

竹中/ ほんとですね。ありがとうございます。たいへん熱い、何というか、叫びのセッションになってしまいました。(笑) りえさん、体調のこともあるので、あまり長い時間拘束できませんが、最後にひとこと、皆さんに言いたいことがあればぜひ。

りえ/ さっき手伝いに行ってくれている友達から連絡がありましたが、販売コーナーは大パニックだったそうで、おかげさまで完売ということです。ありがとうございました。
(拍手) 夢にも思っていなかったんで、うれしいです。

竹中/ 良かったですねえ。絵本作家としてますますご活躍を。

河端さんも、最後にひとこと。

河端/ りえちゃん。りえちゃんによって私たちみんな、すっごく勇気をもらってるの。
これからも、周りに勇気をどんどん与えているという気持ちで、「私が主役」という気持ちで、すてきな人生を。ご一緒に明るく歩みたいと思います。よろしくお願いしまーす!

りえ/ よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

竹中/ りえさん、お疲れさまでした。

りえさんは、夜はまだ呼吸補助装置をつけていらっしゃるという状態ですが、バッチリメイクで登場していただきました。ほとんど、河端社長のワンマンショーになってしまいましたが。(笑)

河端/ もうひとこと。皆さん、今日のこの1日は私たちの人生の中で、本当に最高の1日です。今までと今日、今日から明日と、人生が変わります。ほんとうに優しくなって、勇気を持って、自分が周りに好影響を与えるという気持ちで、日々、一生懸命生きていきたいと思います。よろしくお願いします。(拍手)

小泉首相に会いたかったよ。麻生さんにも。なぜかと言うと、こんなにも不自由な体の、自由の利かない人たちが、一生懸命働いて、税金を払うと言うてんねん。現実に払ってくれてんねん。国から見ればな、先生よ。(笑) わずかな額かも知れんけど、命を削って一生懸命稼いでくれた、その中からの税金。それは尊いで! もっと大事に使ってほしい!
よろしく、お願いします。(拍手)

竹中/ ありがとうございました。サムライ・ワビちゃんの後は、疾風怒濤の河端さんでした。日本勢も負けてなかったね。すごかったね。

今の発言は、私たちの胸に響くところのあるお話でした。ぜひ官邸へも届けていただいて、与党のユニバーサルPTとしてお願いしたいと思います。これで、このセッションを終わらせていただきます。ありがとうございます。

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