第11回チャレンジド・ジャパン・フォーラム(CJF)2006
国際会議 in TOKYO 議事録

Webアクセシビリティを推進する国民運動
アックゼロヨン・アワードWeb募集と表彰について

竹中/ 次のプログラムはWebのアクセシビリティを推進する国民運動、アックゼロヨンのご紹介です。

昨年のCJFでは、このアックゼロヨンで、厚生労働大臣賞、国土交通大臣賞、総務大臣賞、経済産業大臣賞などを設け、Webのアクセシビリティ、つまり誰でも快適に使えて利用しやすいホームページづくりに取り組まれた技術者の皆さんを顕彰して、表彰式を行いました。

今年の表彰式は、10月31日東京国際フォーラムで開催します。アンカーテクノロジーの馬渕さんにご紹介いただきます。

馬渕/ アックゼロヨン実行委員会の馬渕です。時間がないということですので、細かいことはお手元の配布物の中にご案内が入っていると思いますので、それを時間のあるときに見ていただくこととします。ここでは、われわれがどういうことに着目してアックゼロヨンの活動をしているか、簡単にご案内します。スライドを用意していますので、ご覧下さい。

インターネットの環境は、日本でも大きく変化しています。文字、画像、音声などのさまざまな組み合わせで情報が提供されるほか、その受け取る手段も、パソコンやPDAなどの情報端末だけでなく、携帯電話でメールをしたり、いろんなサイトにアクセスしたりすることが日常的になっていると思います。そして、生活の中にインターネットがとけ込むことにより、企業によるサービスだけでなく、公共サービスもインターネットでどんどん提供されるようになっています。

環境の多様化に対応し、提供される情報も、ユーザが必要とする情報に素早く分かりやすく辿り着くことができるということが求められています。ホームページ上で美しさを競うということの対岸にある、「使いやすさ」の面が重要視されていると思います。

一方、インターネットの普及は、使う人々の多様化ももたらしています。年齢層で言うならば、小学生からインターネットに触ることも増えています。高齢者にも、必要に迫られて最近インターネットを使うようになったという人がいます。そうすると、使う人のインターネットの経験や技量などに頼ってWebサイトを作るだけでは不十分です。そして、当然ながら、年齢に応じて目が見えにくくなったり、体の障害を持って健常者のようにWebサイトを使えない人も増えてきています。

このように、Webサイトを利用したいと思う人は健常者だけではないので、障害を持つ方、高齢者にも使いやすいものであることが求められるわけです。こうした視点でWebサイトを考えるのが、Webアクセシビリティの概念です。例を挙げれば、音声ソフトによる読み上げへの対応とか、情報のたどりやすさ、使いやすさを追求した操作しやすい設計などがあげられます。

一方、ホームページでデザインの美しさ、つまり表現力を競うことやその中における情報量を誇ることが重要視されてきたことがあります。Webサイトを作る側の思いと、それを使う側の諸条件がうまくマッチングしていないことがあります。作り手側の理屈で言うと、アクセシブルであることとクリエイティブであることはなかなか両立しないと言われた時代がありました。

しかし、そんなことはなく、両立して優れたサイトも世の中にたくさん存在しています。そういうことが、一部では良く認識されるようになりました。

このような動きと別に、わが国においても2004年にWebアクセシビリティのガイドラインがJIS規格になりました。これにより、重要性が高く認められるようになりましたが、制作者やサイトを発注するオーナー側がこれについての認識が深くなく、自分たちの思いのみでWebを作ることが続いていました。

アクセシブルであることとクリエイティブであることは両立できる。日本にはこれだけの優れたサイトがあるのだから、みんなで考えよう──。そういうことを目的としたフォーラムを、「アクセシビリティ+クリエイティビティ」で「アックゼロヨン」と名づけて立ち上げました。

ナミねぇからご案内がありましたように、この活動、昨年のチャレンジド・ジャパン・フォーラム神戸大会で、第1回の表彰式を行いました。優れたWebサイトを公募し、その中から、お手元のパンフレット裏面にあるように、総務大臣賞、経済産業大臣賞、厚生労働大臣賞、国土交通大臣賞の4賞を授賞しました。

こうした活動を広く、Webサイト作成者、またWebサイトを持つ企業や公共団体など情報発信する側に知っていただき、一体となって日本のWebサイトをアクセシブルにしようという運動を行っています。

麻生大臣には、ビデオレターにありましたが、昨年度は総務大臣賞の表彰状を出していただき、今回は外務大臣として、外務省からもご後援いただく動きになっています。

こういう活動はみんなにとって有益であると認識して続けていきたいと思います。

今回は、チャレンジド・ジャパン・フォーラムの大会にあわせて表彰式を行うのではなく、10月31日に東京国際フォーラムにおける表彰式を予定しています。応募は現在受け付けており、締め切りは9月15日となっています。ご来場の方の中で、サイトの運営に携わっている方がおられましたら、ぜひこちらに参加していただきたい。あるいは、お知り合いにそういうことをやっている方がいらっしゃれば、ぜひご案内の上、みんなでこういう活動を盛り上げ、日本のWebサイトをより使いやすく、アクセシブルにしていきたいと思います。簡単ではありますが以上です。

竹中/ どうもありがとうございました。
「Webのアクセシビリティ」というと難しい感じがしますが、要は「使いやすいホームページ」ということですね。

プロップのチャレンジドの皆さんの発表もありましたが、いま、ほとんどのチャレンジドは働くことや、日常生活、お買い物、どこかに行きたいとき、ホームページで自分に必要な情報を得ています。それ以前は、人に教えてもらわなければわからなかった。しかも、障害が重ければ重いほど、身近な人、おかあちゃんとかボランティアの人の持っている情報しかなかった。けれど、インターネットを使えるようになった瞬間に、彼らは障害のない人とまったく同じ情報量を自分で得られる、あるいは自分で発信できるようになりました。アクセシビリティというのは、そういう意味で私たちにとって身近なものです。

「より使いやすいWebを作っていこう」、あるいは「作ったぞ」という方は、どんどんアックゼロヨンの活動に応募してください。皆さんの近くにそういう方がいれば、推薦をしていただければ嬉しいです。

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