その4
親愛なるマーマレードさま、
私は小さい頃から真面目ないい子でございました。
学校の規則も守り、勉強に励み、
社会人になっては勤勉に働いております。
そして、私が真面目だというなによりの証拠は
親に逆らったことがないのです。
これは私の誇りです。
私の生き甲斐は親孝行と言ってもいいくらいです。
そしてここが肝心ですが、
こうすれば幸せになれる・・・という母親の教えを忠実に守ってきました。
親の教えほど正しいことはありませんからね。
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その教えはこうです。
「女は結婚すると不幸になる。男はわがままだから。
だからキャリアウーマンになれ。
もちろん子供も産んではいけないよ、
子供こそ、不幸のはじまり,この私がそうでしょ?
あーあ、子供がいるから私は
このいやな結婚生活から逃れられないんだから!」
経験者の言葉は重い!
ましてその頃の私は子供、やわらかい脳みそに刻み込まれていきます。
新興宗教の信者にとっての教義のごとく。
この母親の教えから一歩も外れることなく生きて来た私です。
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さて、問題はここからです。
私には愚兄と愚姉がおります。
彼等はこの母の教えをついに守ることができませんでした。
まったく愚かなことです。
バカしかしない、動物的な恋をしてしまった彼等は結婚をしてしまったのです。
その上、姉などは不幸の始まりの子供まで産んで!
なんと、母の教えに背くことよ!
きっと、彼等は不幸になることでしょう!
気の毒な母は結婚式に出席させられて花束を押し付けられたり、
姉の出産に翻弄されたり、あげくは孫のお守りで奴隷のようにこき使われているのです。
まあ、年に数回ですが。
母の誕生祝いにみんなで温泉に行こうと姉兄から誘いがあったのですが、
勿論私は悪魔の誘いと思い母を行かせませんでした。
ああ!こんな母の不幸はいつまで続くのでしょうか!
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そして、親不孝な兄姉達の邪悪な魔の手から
母を守り抜くことができるのでしょうか?
でも、でもなぜか彼等はノー天気でその上、
幸せそうに見えるにです。
もし彼等が幸せならば、
勝手に幸せになった罪で訴えたいのですが、
私に勝ち目はあると思われますか?
そして、これが最重要な項目なのですが
本当に私は幸せになれるのでしょうか?
疑わしい今日この頃です。
そこのところ、お教えください。
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