[up] [next] [previous]
  

東京新聞 2007年2月18日より転載

 

筆洗

 
 

東京・霞が関の厚生労働省の
研修室で先日、
テレビ会議システム…

 
 

厚労省で講習開催

 

 東京・霞が関の厚生労働省の研修室で先日、テレビ会議システムを使ったパソコン講習会が開かれた。受講生は役所や企業、NPOで働く二十人。講師は仙台市と京都市の自宅から、二人の障害者が務めた。遠隔地からを感じさせぬ丁寧な指導で、資料作成の講習が進んでいく▼主催したのは神戸市と東京都港区に拠点を置く社会福祉法人の「プロップ・ステーション」。理事長の竹中ナミさんは一般家庭でパソコンが珍しかった十六年前、障害者が在宅で働くための強い味方になると思いつき、パソコンセミナーや就労の相談事業を始めた。自分自身、重度の脳障害のある娘がいる▼竹中さんは障害者を「チャレンジド」(challenged)と呼ぶ。障害をマイナスではなく「プラスの種」ととらえ自分のため、社会のために生かしていこうとの思いを込めている▼セミナーの受講者は二千人を超えた。今や講師として活躍している人がいる。プロップ・ステーションの仲介で、データベースの開発や入力などの仕事を在宅で行っている人も約三百人いる。パソコンやテレビ会議の技術の進化と一般化はその分、チャレンジドの可能性を高めることにつながるという▼厚労省での講習会には、チャレンジドの能力と意欲を雇う側に直接感じてもらう狙いがあった。「チャレンジドを納税者にできる日本!」。竹中さんの口癖である▼受講後に八割の人が今後、仕事を依頼する可能性が「ある」と回答した。力を実感できれば当然の結論だろう。あとは実現へ踏み出すのみ。

 




プロップのトップページへ

TOPページへ