[up] [next] [previous]
  

公明新聞 2006年7月25日より転載

 

 

 
 

ユニバーサル社会の実現をめざして!

 
 

都内で「チャレンジド・ジャパン
・フォーラム2006国際会議」

 

「チャレンジド(障害を持つ人)を納税者に」
を進める

−−−プロップ・ステーションが主催−−−

 

 すべての人が持てる力を発揮し、支え合えるユニバーサル社会(共助社会)の実現をめざして−−IT(情報技術)に関する技能の習得などを通じて障害者の自立と就労を進めている神戸市の社会福祉法人「プロップ・ステーション」(竹中ナミ理事長)は22日、東京・江東区の東京ビッグサイトで「第11回チャレンジド・ジャパン・フォーラム2006国際会議 in TOKYO」を開催しました。ここでは、その模様を紹介します。


ゲスト出演者の写真
冒頭、「ユニバーサル宣言」を読み合うゲスト出演者たち

 プロップ・ステーション(以下、略してプロップ)の竹中ナミ理事長(以下、愛称「ナミねぇ」)は、1972年に重度の心身障害のある娘を授かったことをきっかけに、「娘を残しても安心して死ねるようになりたい。そのために何でもしよう」と、だれもが暮らしやすい日本の社会に変革することを決意し、活動を始めました。

  この日、国際会議の冒頭、ナミねぇは「チャレンジド(挑戦という使命やチャンスを与えられた人の意の米語、障害を持つ人)を納税者にできる日本を!」をスローガンに91年からプロップの活動を続けてきたことを紹介、「世界各国とも連携して、すべての人が持てる力を発揮し、支え合えるユニバーサル社会の実現をめざしたい」とあいさつしました。

  次いで、小泉純一郎首相からのビデオメッセージの後、ゲスト出演者一同がユニバーサル社会の実現をめざして「ユニバーサル宣言」を読み上げました。

  続いて、猪口邦子少子化・男女共同参画担当相、川崎二郎厚生労働相、谷垣禎一財務相ら閣僚が各省庁の取り組みを説明、プロップの活動へ深い敬意を示し、連帯のあいさつをしました。

世界各国からも
熱いメッセージ

  メーンイベントは各国のチャレンジドゲストによる講演。四肢すべてが義手という弁護士で米国国際障害者協議会会長のジョン・ディー・ケンプ氏は「アメリカ人の5人に1人に何らかの障害があり、その85%は後天的なもの。結果的に、ユニバーサル社会こそがコストパフォーマンスの高い社会」と強調。「互いを大事にし、だれもが安全に安心して暮らせる当たり前の社会を、今ここから築こう」と呼び掛けました。

竹中ナミの写真
あいさつする「ナミねぇ」こと竹中理事長

  タイで障害者の職業訓練校の校長を務めるスポンタム・モンコンサワディ氏は、タイでの成功例をもとに「訓練を実際の就労につなげる政治的な決断が必要」と述べました。

  ベッドの上で起業している「上育堂」代表の川本浩之さんは「人並み以下の所得よりも人並みの負担にばかり目が行き、論点が本質からずれている」として、根拠の無い既成概念、偏見という壁が厚い日本の実情を指摘、認識を変えることの重要性を訴えました。

  スウェーデンのゴスペル歌手、レーナ・マリア・クリングヴァルさんと、筋肉の難病と闘う絵本作家、くぼりえさんも、仕事を通じてより多くの出会いを得て、人々に喜びを与えながら生きる喜びを生きいきと語り、感動を呼びました。

  政府、自治体、企業、団体、マスコミなど関係者が一堂に会した同会議ではほかにも、「そして神戸 大震災から11年」と題し、震災をきっかけに世界一ユニバーサルな街づくりをめざしている神戸の主な取り組みなどが紹介されました。

公明党から浜四津、
北側の両氏が参加
推進法の早期制定に尽力

  また、「与党ユニバーサル社会形成促進プロジェクト・チーム」によるセッションには、同PTの副座長を務める公明党の浜四津敏子代表代行が出席、北側一雄国土交通相もインターネット中継で発言しました。

  この中で北側氏は、ハード面だけでなくソフト面からも「高齢者も障害者もだれもが誇りを持って活躍できるユニバーサル社会の形成に努めたい」と決意を披露しました。

竹中ナミの写真
与党ユニバーサルPTの討論から(浜四津代行(中)、北側国交相はネット中継で参加)

  一方、浜四津さんは、公明党が人道・人権先進国家をめざし、マニフェスト(政策綱領)に「ユニバーサル社会形成推進法」の制定を掲げ、懸命に取り組んでいることを紹介、与党で同法案の内容を検討し「既に8〜9合目まできている」との認識を示し、早期制定に尽力すると力強い決意を述べました。

  この日、すばらしいゲストたちとの出会いを実体験した参加者は口々に「ユニバーサル社会の実現へ、できることからチャレンジしたい」との感想を話してくれました。

  ナミねぇという一人の女性の強く深い思いと、精力的な取り組み、各界への粘り強い働き掛けが、ユニバーサル社会の形成へ、社会の息吹を熱くする大きな力となってきたことを痛感させられる国際会議でした。

プロップ・ステーション
  91年に立ち上げ、翌年、任意団体として活動開始。96年、第1回チャレンジド・ジャパン・フォーラム開催。98年、社会福祉法人の認可取得。2002年、竹中理事長が「総務大臣賞個人表彰」受賞。同団体のホームページは、http://www.prop.or.jp/




プロップのトップページへ

TOPページへ