読売新聞 2005年6月6日より転載 |
アメリカ視察報告 (上) |
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車いすでも駅スイスイ |
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交通機関に法で配慮義務付け |
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年齢や性別、障害の有無などにかかわらず、だれもが能力を発揮できる社会作りを目指す与党ユニバーサル社会形成促進プロジェクトチーム(座長・野田聖子衆院議員)が5月上旬、アメリカの首都ワシントンDCを視察に訪れ、米障害者差別禁止法(ADA)が果たす役割を調査した。共生社会の実現に向けた取り組みを取材した。 (安田武晴) |
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*一人で楽々乗り降り 「ここは、全米で最も障害者が公共交通機関を利用しやすい都市です」。ワシントンDCの地下鉄を運営する「ワシントン都市公園交通公社」のリッキー・エプステインさんは胸を張った。エプステインさんの仕事は、駅や電車などが障害者らに使いやすいよう配慮されているかどうかを監視すること。ADAは、公共交通事業者に、こうした配慮を義務付けている。
*公共施設も対象に 同公社によると、エレベーターが整備や点検で使えない場合、代わりにシャトルバスを運行する。地下鉄や路線バスの運転手、地下鉄の駅の管理者のほか、利用客とじかに接する職員全員に、障害者への配慮について訓練を受けさせているという。 *日本でも改善進む 米運輸省によると、全米の主要鉄道駅の8割、鉄道車両の7割、バスの9割がバリアフリー(障壁除去)となっている。 |
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障害者差別禁止法 直訳すると、「障害を持つアメリカ人法」(Americans with Disabilities Act=ADA)。雇用、行政サービスの提供、公共施設の利用など、生活のあらゆる分野で障害者が差別されることのないよう、必要な配慮を義務付けた法律。差別があった場合、申立機関に調査・救済を求めたり、民事訴訟を起こしたりできる。1990年制定。 |
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ADAに関する参考文献は▼八代英太・冨安芳和編「ADAの衝撃 障害をもつアメリカ人法」(学苑社)▼日本弁護士連合会人権擁護委員会編集部「障害のある人の人権と差別禁止法」(明石書店)など。 |
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