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朝日新聞 2005年6月2日より転載

 

広がるか 障害者の働く場 制度改正を前に

 
 

働くスタイルに可能性

 
 

新しい仲間が加わります
工夫

 

IT使い在宅就労

 手や脚の筋肉が委縮(いしゅく)し、運動機能が失われていく難病を患う仙台市の間藤裕也さん(27)は、パソコンを使って家で仕事をする。関西や四国の3人の障害者仲間と請け負っている。5月下旬、テレビ会議で電動車いすに座ったリーダーの中内幸治さん(47)が神戸市から応じた。「今度、新しい仲間が加わります。両手が不自由で口でキーボードを使っている人です」

  仕事は大阪市のNTTネオメイトが発注、市町村合併に伴う市庁舎や学校など公共機関の名称変更を調べてパソコンに入力する。

  間藤さんは、外では車いす、部屋では両ひざをついて移動する。高校卒業時、地方公務員を目指したが、自力で通勤できないため、あきらめた。その後、在宅でプログラミングを学んだ。今は1日4、5時間ほど働き、月額7万円の報酬を受け取る。「自分で稼げるのがうれしい」と話す。

  仕事を仲介するのは、ITを活用した障害者就労を進める神戸市の社会福祉法人プロップ・ステーションだ。パソコン講座ではこれまで、計約1500人が学び、約150人が在宅就労を経験した。

  障害者雇用促進法の改正案は、在宅の障害者に仕事を発注する際、こうした支援団体を介した場合でも発注元に特例調整金などを支給する。

  ブロードバンドの発達で在宅就業の環境は整ってきた。プロップの竹中ナミ理事長は「在宅就業を進めるには、安定的な仕事の確保が重要。法定雇用率が達成できない企業に納付金を課すよりも、障害者に仕事を外注させる制度を設けては」と提案する。

セミナーの写真
パソコンを教える山岡由香理さん(左)も電動車いすを使う。中央の男性はスティックでキーボードをたたく=神戸市のプロップ・ステーションの講座で

 




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