堺屋太一・元経企庁長官の話 今回の参院選は、小泉政治の採点である。小泉内閣は昭和初期の「海軍内閣」に似ている。大正デモクラシーの流れが浜口雄幸内閣時代の不況を機に失速し、犬養内閣のデフレ脱却の試みがテロで断たれた。その後の斉藤実ら体制非主流派ともいえる海軍内閣は「昭和維新」を掲げたが、実態は官僚主導の復活だった。
小泉内閣も自民党内の非主流派で、族議員を追い出すとは言ったが、結果は官僚依存になった。
橋本、小渕内閣の時代は、政治主導による市場経済、自由競争が重視される社会に進みかけた。金融自由化、農業自由化などを進めた。ところが、小泉内閣ですべて逆転した。大正デモクラシーの流れが官僚主導に戻ったのに似ている。
多国籍軍への参加の決定過程も、国会での議論や閣議了解さえないまま首相が約束した。すべてが事後了解だ。「関東軍」を思い出させる。
官僚主導を打ち破るには、有権者が、選挙によって、政治が巨大な力を持つことを示す必要がある。投票率が低くて、政治が偏った少数で決まるものである限り、官僚は政治を尊敬しない。官僚の受け売りではなく、自らの信念を語る人を選ぼう。
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