日本経済新聞 2004年6月21日より転載 |
歩道にICチップ > 携帯へ発信 |
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街のインフラ情報基地に
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政府・50社参加 高齢者らにも配慮 |
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政府は2006年度を目標に、情報技術(IT)を活用した新たな情報インフラ整備に乗り出す。道路や電柱、住居表示板などにICチップを埋め込み、携帯端末に音声や画像で目的地までの経路や施設などの情報を提供する。体の不自由な人や高齢者にやさしいバリアフリー化も個別の建物や主要駅周辺だけでなく、街全体に広げる。年齢や国籍、障害の有無などにかかわらず、すべての人が便益を得られる街づくりを目指す。(バリアフリー化は3面「きょうのことば」参照)
現在は交通バリアフリー法とハートビル法でバリアフリー化を進めているが、特定の建物や駅だけが対象のため、対応がまちまちになり、利用者から批判も出ていたため、2法は廃止して新法を作ることにした。 産官学でつくる「自律的移動支援プロジェクト推進委員会」(委員長・坂村健東大大学院教授)がシステムを開発する。すでに国内の情報通信、携帯機器メーカー、鉄道、航空、自動車など大手50社強が開発に参画を表明している。 現在も全地球測位システム(GPS)を活用した携帯電話で位置情報を伝えられるが、新システムはICチップにそれぞれの場所の識別番号を付けるため、建物の中の場所まで特定できる。GPSでは「○×病院」の位置しか分からないが、「○×病院の第二内科・第三外来診療室」までの経路を音声や画像を使って即時に示す。 商店街なら店の前を歩く人への特売品情報の提供、観光地なら外国人向けの観光案内にも利用できる。使う人のニーズによって情報の種類を選択できるようにする一方、個人情報のセキュリティなどプライバシー保護の仕組みも検討する。 インフラ整備は国土交通省、警察庁、総務省、厚生労働省、経済産業省が連携して進める。発信する情報の中身やICチップの設置については、企業や個人に幅広く協力を求める。 国交省は2005年度の重点政策の柱に位置づける。建物の出入り口と歩道の段差などについて基準をつくり、達成度合いを点検する。基準に合った街づくりを進める市町村に対しては、新たな交付金も検討する。 来年度は神戸空港の開港に合わせ、神戸市内で商店街、公共施設など広範囲で実証実験して2006年度から全国に徐々に広げていく方針だ。 |
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