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NEW MEDIA 2004年2月号より転載

 

 
 

NTTネオメイト

 
 
デジタル地図
バーチャルファクトリ
 
 

 

熊本県とプロップステーションの協力を得て
チャレンジド(障害者)がオンライン・テレワークで
デジタル地図の製造・メンテナンス業務


レゾナントコミュニケーション環境を駆使したテレワークで
熊本・神戸の約1,000kmを結んだSOHO就労

トップの写真

※ レゾナントコミュニケーション環境
人や企業などのあらゆるものが、ブロードバンドで“双方向”に、“いつでも、どこでも、誰(何)とでも”ユビキタスにネットワークが結ばれ、“安全、確実、簡単”でユーザビリティに優れ、世の中と共鳴(resonant)しながら進歩する、光による新世代コミュニケーション環境

 


熊本・神戸を結ぶ

チャレンジドのテレワーク就労を採用したデジタル地図バーチャルファクトリ

※1 テレワークにおけるセキュリティ
重要なサーバやデータ蓄積装置などの設備は、NTTネオメイトグループが提供する自治体・企業向けの地域密着型のデータセンタ・ソリューションサービスである「AQStage DC(アクステージ・データセンタ)」(熊本市)に設置し、システムの二重化とともにセキュリティ対策を強化

※2 スタート時は、熊本ソフトウェア株式会社と社会福祉法人プロップ・ステーション

 


通勤フルタイム就労が困難なチャレンジド(障害者)がネットワークを介して、デジタル地図の作成・メンテナンス業務を行う「デジタル地図バーチャルファクトリ」。
NTT西日本のグループ企業である(株)NTTネオメイトが2003年7月に開始したこの事業は、熊本県の推進する「チャレンジド・テレワークプロジェクト」と、神戸を拠点とする社会福祉法人プロップステーションの協力を得て、これまでにないテレワークの仕組みを実現して順調に成果を挙げ始めた。そして、チャレンジド就労や地図ビジネスの範囲にとどまらない新しいビジネスモデルを提示している。

 

デジタル地図バーチャルファクトリの提案


西村憲一氏の写真
西村憲一
(株)NTTネオメイト
代表取締役社長

地図工場8カ所の総合化を機に

 NTTネオメイトは2002年5月営業開始のまだ新しい会社ですが、ほとんどの事業は、NTTが民営化以前から培ってきた技術やお客さまとの関係をベースにしています。デジタル地図関連の事業も、電話サービスのために整備してきた地図の業務を継承・発展させたものです。

 私どもは今後とも地域発展のお役に立つ事業を展開し、その結果として社業を発展させていきたいと考えています。「デジタル地図バーチャルファクトリ」も、そのような基本的な考えに基づいて立ち上げた事業の一つです。

 取り組みのきっかけになったのは、西日本8カ所の地図工場で行っていたデジタル地図の製造・メンテナンス体制を、コストダウンや品質向上のために見なおすという課題でした。単に1カ所に統合するのでは、大きな工場を新設するコストがかかる上、その地域で通勤できる方にしか働いていただけません。

 そこで、お客さまにも提案しているブロードバンドなどのITを、私ども自身がとことん活用し、広範な地域から人材を募ってオンラインで働いていただけるバーチャルな地図工場を構築することにしました。そして、この仕組みなら、これまで通勤が困難なために就労機会に恵まれなかったチャレンジドにも働いていただけることに気づき、大いに力を発揮していただくことにしたのです。

勇気づけられた2人の理解と協力

 とは言え、私どもは、人によって大きく異なる障害の事情に応じて働いていただくノウハウを持っていません。その点で大きな協力をいただいたのが、熊本県で推進しておられる「チャレンジド・テレワークプロジェクト」と、チャレンジド・テレワークの開拓者ともいえる社会福祉法人プロップステーション(本部・神戸市)でした。

 潮谷義子知事と竹中ナミ理事長に「ぜひ一緒にやりましょう」と言っていただけたことに非常に勇気づけられましたし、「この方々と一緒にできればきっと成功する」と確信しました。実際、事業はいま順調に成果を挙げつつあります。

新しいビジネスモデルにつながる期待

 私どもは企業ですので、この事業でも収益は上げなければなりませんが、それだけを目的としているわけではありません。

 同じテーブルを囲んでいるようなコミュニケーションを可能にするブロードバンド活用のテレビ会議システム。作業画面の共有で円滑な指導を可能にする一方、高いセキュリティも確保するサーバ・ベースド・コンピューティング。これらの先進技術は、さまざまな業務のテレワーク化を可能にします。それは、チャレンジドだけでなく、介護や育児などで通勤困難な方々の就労機会も拡大します。

 また、チャレンジドとともに仕事をすることは、高齢化が進んで何らかの障害を持って生きる方々が多くなる社会でのビジネスに、多くのヒントを与えてくれます。

 そのような意味で、バーチャルファクトリが新しいビジネスモデルとして社会に広がっていくことを願っています。

 

● 特別メッセージ
チャレンジドと企業と県の三者のパートナーシップで推進


潮谷義子氏の写真
潮谷義子
熊本県知事

待ち望んでいた“いい仕事”

 チャレンジドが社会参画を通して自己実現を図る中で、就労は重要な意義を持ちます。私自身、若い頃から福祉に携わる中で、ケースワーカーの立場でチャレンジドの就労支援に関わりましたが、そこには大きな課題がありました。授産施設における職業訓練は、タイプライターの時代は過ぎたのに「タイプライターの訓練」を行っているといった具合に、時代からワンテンポ遅れた内容のものが多く、数少ない職場でもチャレンジドに適した作業や環境を用意できていないなど、多くの壁がありました。ただ、そうした中でも、非常に重要な取り組みと感じたのは、もう20年近く前の話になりますが、自動車メーカーの関連会社が熊本県南部の松橋(まつばせ)町に、チャレンジドのために設立した工場です。そこには、生産ラインにチャレンジドが合わせるのではなく、チャレンジドに生産ラインを合わせるというすばらしい発想があったからです。

 さて、今回の「デジタル地図バーチャルファクトリ」プロジェクトは、進歩著しいIT技術と拡大を続けるブロードバンドネットワークを活用するものです。また、そこで扱う地図情報は、都市の変化に伴い日々更新する必要があるため、それだけ活用ニーズも大きく、今後、関連する仕事の拡大が期待できる分野です。

 さらには、自宅での就労ですから、参加するチャレンジドは自分の体調に合わせて働くことができます。そのうえ、仕事の進め方をネットワークを介してサポートしてくれるスーパーバイザという道案内役が、チャレンジドのワーカーのたちの孤立感を解消しスキルアップを支えています。こうした体制が仕事の達成感、成就感をもたらし、意欲を一層高めてくれるのではないでしょうか。このような意味で、まさに、進展する高度情報化社会にふさわしく、本県が進めている「チャレンジド・テレワークプロジェクト」と相通じるとともに、就労の場を求めるチャレンジドにとっても待ち望んでいたプロジェクトと言えると思います。

パートナーシップでテレワークを推進

 私が知事となった2000年に、熊本県総合計画「パートナーシップ21くまもと」を改定しましたが、その中で、障害者が持てる能力と個性を十分に発揮しながら、生き生きとした生活を送ることができるよう、すべての人がともに社会の構成員として暮らしいける「共生」の考え方を示しました。2003年3月に改定した「くまもと障害者プラン」では、その考え方に基づき、1.ともに生きる社会、2.一人ひとりの自立力向上、3.やさしいまちづくりの3つの理念と、社会への「完全参加と平等」を目標に掲げております。

 「チャレンジド・テレワークプロジェクト」は、その理念や目標を実現させていく取り組みの一つとして、「くまもと障害者プラン」に先行して、2002年10月から来年度までの実証実験としてスタートさせたプロジェクトで、障害者テレワークのさまざまな課題を検証しながら在宅就労の普及に努めているところです。

 本県としては、パートナーシップを前提としつつ、行政の役割を検証しながら、チャレンジドと民間企業との間に立ってプロジェクトを支援していきます。

 また、ITを活用したテレワークは、チャレンジドだけでなく、高齢の方や育児などで通勤が困難な方にも有効な就労方法であり、少子・高齢化する我が国の経済社会を支える方法を探る意味でも、今回のバーチャルファクトリが果たす役割は大きいと考えています。

 

● 特別メッセージ
チャレンジド・テレワークが加速する


竹中ナミ氏の写真
竹中ナミ
社会福祉法人
プロップステーション
理事長

障害者雇用率制度ではない新たな仕組みへ

 日本のチャレンジドの就労を後押しする制度は、企業に一定割合の障害者雇用を義務づける雇用率制度しかありません。雇用率にカウントされるような働き方ができない人、通勤・フルタイムが難しく、体調に合わせた働き方を求める人は「戦力外」とみなされてきました。

 しかし、その中には「働きたい」と願っているチャレンジドが、たくさんいます。プロップステーションは10年以上前から、適切な支援があればその人たちが立派な働き手になることを、ITを活用した仕事で示してきました。そして今、熊本県のように、この問題に取り組む自治体も現れ、国もようやく、雇用率制度ではカバーできないチャレンジドに仕事が流れるような新しい仕組みづくりに取り組み始めています。

 そのような中でNTTメオメイトのような影響力のある企業が本格的なチャレンジド・テレワークを始めたことは、世の中の動きをきちんと見ている企業に大きなインパクトを与えたと思います。「あのようにすればできるのか」と。

テレワークの壁である情報セキュリティ問題を解決

 「テレワークが通勤困難なチャレンジドの就労を拡大する」とは、かなり前から言われてきたことですが、実際はなかなかそうなりませんでした。技術的には、情報のセキュリティ問題が大きな壁でした。私たちが在宅でできると考えた仕事を、現実は、セキュリティの管理された場所に人を通勤させて行う企業がほとんどでした。

 「デジタル地図バーチャルファクトリ」は、そのセキュリティ問題を解決して、テレワークを実現しています。円滑なコミュニケーションを可能にするブロードバンド環境なども含めて、私は今回、ようやくチャレンジド・テレワークの技術的な環境が整ったと感じました。これに加えて、雇用率制度ではカバーできないチャレンジドの就労を促進する新しい制度的環境が整えば、チャレンジド・テレワークは一気に加速すると思います。

 「デジタル地図バーチャルファクトリ」は、そのモデルになる取り組みとして、私たちも大いに期待しながら一緒に取り組んでいきたいと考えています。

 


オンライン座談会  
テレワーク体験を熊本←→神戸
オンラインで語る

出席者の写真

進行/中和正彦・ジャーナリスト
クリエータ/プロップステーション神戸オフィス 宮本圭子さん
クリエータ/プロップステーション神戸オフィス 勝岡千佳子さん
クリエータ/42歳・熊本・自宅 神崎淳一さん
クリエータ/27歳・熊本・KSK所有のスモールオフィス 杉原輝美さん
スーパーバイザ/熊本・デジタル地図センタ 平野明子さん


デジタル地図バーチャルファクトリでは、地図工房(自宅や近隣オフィス)のチャレンジド・クリエータが地図センタのスーパーバイザの指導を受けながらデジタル地図の作成に当たっている。このテレワークについて、テレワークのシステムを使って語り合っていただいた。


それぞれのきっかけ

―― この仕事をすることになった経緯は。

神崎 私は27歳のときに仕事中の事故で首の骨を折って、車いす生活になりました。その後、身障者の訓練校でCADを学んでソフト開発会社に就職しましたが、勤務時間が長くて体力的に苦しくなり、完全歩合制の車いす販売の仕事に就職しました。
 「収入が安定する仕事がないかな」と思っていたところ、熊本県のチャレンジド・テレワークプロジェクトを推進する熊本ソフトウェア(KSK=第三セクタ)から今回のお仕事の話をいただきました。

杉原 私は先天性の腰から下の障害で、長い距離は歩けません。以前勤めていた会社では、デスクと現場の間を1日何往復もしているうちに腰を悪くし、それで辞めました。
 その後、断続的にテレワークの仕事をしていましたが、KSKから今回のお仕事の話があり、「継続的・安定的に仕事がある」と聞いて、やってみることにしました。

宮本 私は骨の障害のために身体が小さくて力もありません。ずっと会社勤めをしていましたが、通勤が負担でした。その上、時間外労働の負担が増えたので身体が続くかどうか不安になり、一昨年退職しました。そして、在宅中心の仕事を目指してプロップのコンピュータセミナーを受けたのが縁で、今回の仕事をすることになりました。

作業風景の写真

勝岡 私は小学校2年のときに学校で転倒して以来、右半身が不自由になりました。歩くのは苦にならないんですが、両手でする作業がどうしても他の人より遅くなるので、それが悩みでした。「ここならゆっくりパソコンを学べるかな」と思ってプロップのセミナーを受けたら、その後、今回のお仕事に声をかけていただきました。

平野 私は福祉関係を学び、資格を取っており、保育士をしていました。その後、ここに入社して2年ほどクリエータの仕事をしてきましたが、福祉関係の経験があることから今回の仕事に声をかけてもらい、スーパーバイザをすることになりました。

テレワークの実感と働き方への期待

デジタル地図の作成は、まず地図センタから紙の基図(自治体発行の都市計画図など)をスキャニングした画像が割り当てられる。クリエータは、それを河川、道路、建物などの層(レイヤ)に分けてトレースし、デジタル化していく。

   
スキャニングした画像 河川、道路、建物などのレイヤに分けてトレース

―― 実際に仕事をしてみた感想は。

神崎 最初は地図画像をいただいても、どの表記が何を示していて、どのレイヤに書けばいいのか、さっぱりわからなくて困りました。

杉原 特に、線が交錯しているところを、どういう判断していいかわからなかったですね。

宮本 私の場合は、それ以前に、まずパソコンの操作に慣れるのに時間がかかりました。

勝岡 私もパソコン1年生だから同じです。地図を見るのは好きだったので、慣れるにつれて楽しくなりました。

平野 それでも皆さん、本当に真剣に取り組んでくださいました。その結果、確実に作業のスピードと正確さが上がってきました。最初は質問が多くて順番待ちになる状態でしたが、いまは私たちが質問を待つ状態です。その質問も、突っ込んだ内容になっています。

スーパーバイザの写真

―― スーパーバイザとオンラインでつながって、研修や仕事の指導を受けるという仕組みについては、どう感じていますか。

神崎 前に勤めたソフト開発会社ではエレベータがなくて、2階にいる先輩社員と電話やメールでやり取りしました。なかなかうまく伝わらなくて2階から降りてもらうたび、申し訳なくなりました。このシステムでは、教えてくださる方は遠くにいるのに目の前に顔が見えるので、声をかけやすいですし、同じ作業画面を見ながら指導していただけるので、ものすごくわかりやすいです。

杉原・勝岡 私も本当にそう思います。

宮本 そうですね。画面には自分の顔も映るので、最初はすごく恥ずかしかったですけど、それももう慣れました(笑)。

工房の運営

■ クリエータの研修

NTTネオメイトがeラーニングによる遠隔研修や集合研修を実施し、チャレンジドの方々に技術を習得してもらう。

■ スーパーバイザによるサポート・品質管理

地図センタのスーパーバイザがパソコンでの会議システムや作業画面の共有機能を活用して、各工房のクリエータとリアルタイムで互いに顔を見ながら指導ができる。

―― この仕事は出来高制で、働く日数や時間は自分の身体の事情などを考えて自由に調整していいことになっています。今後、どのような働き方をしたいですか。

宮本 この仕事で生活していくには、もっと能率を上げなければなりません。通勤に取られる時間と体力を仕事に回すことができたら、その分だけ能率も上がると思うので、在宅に移行したいと思っています。ただし、家に居っぱなしというのも健康的に良くないので、在宅をメインとしながら週1〜2日通勤するのが一番かなと思っています。

勝岡 私の場合、通勤は皆さんほど大変ではありませんが、時間の有効活用ということを考えると、将来的には在宅の日を増やしたいと思います。

杉原 私は、CADや地図関係への就職を視野に入れながらこの仕事をしているので、普通の会社の就業時間でこの仕事をやっていきたいと思っています。

神崎 私は40歳を過ぎてベッドや車などへの移乗が難しくなってきたので、筋力アップのための散歩(車いすを漕いで)を心がけています。晴れた日は昼間それをやって、その分夜まで働くというように、時間を自由に使えるのがありがたいです。将来は隠れ里のようなところにある家内の実家に移り住んでも、この仕事を続けられるかなと、最近ちょっと期待するようになりました。

―― ありがとうございました。

 

オンライン・テレワークを構成する技術システム
「ミーティングプラザ」と
「サーバ・ベースド・コンピューティング」

 「デジタル地図バーチャルファクトリ」は、中枢管理機能を担う「デジタル地図センタ」と、地図作成を行うクリエータが身を置く「デジタル地図工房」で構成される。

 センタと工房は、NTT西日本の光通信網「Bフレッツ」や「フレッツ・オフィス・ワイド」などブロードバンド回線で結ばれている。この上で、大きく分けてコミュニケーション系と作業系の2つのシステムが動く。

 コミュニケーション系のシステムの中心は、「ミーティングプラザ」と呼ばれる会議システムで、ハード的には各自のブロードバンド回線に接続したパソコンとその上に取り付けたWebカメラ、ヘッドセットで構成される。ミーティングプラザに入ると、スーパーバイザや他の作業中のクリエータが映ると同時に、自分の顔も他の各人に伝わる。

 初めて操作でも簡単に使うことができ、やり取りも円滑に進む。だが、西村憲一NTTネオメイト社長は、現在のシステムはまだ第一歩にすぎないという。

 「在宅の人の意欲を高めるには、皆と一緒に学んでいる、仕事をしているという感覚を持っていただくことが大切です。そのためには、少しでも臨場感のあるものにしていくことが必要で、ブロードバンドの可能性をとことん追求していきたいと思っています」

 作業系のシステムの中心は、地図編集などのアプリケーションソフトだが、今回のシステムでは、「サーバ・ベースド・コンピューティング(SBC)」という技術が大きな役割を果たしている。

 SBCとは、アプリケーションをクライアントに置かず、サーバで一括管理する技術。これにより、スーパーバイザがクリエータと同じ作業画面を見ながら、まるですぐ目の前にいるような円滑な指導ができる。また、クライアントにアプリケーションやデータがダウンロードされないので、情報のセキュリティを確保することができる。

 西村社長は、「この技術がなければバーチャルファクトリは実現せず、私どもが用意したセキュリティ管理できる場所まで通勤してくださいという話になってしまっただろう」と述懐する。

 一方、在宅クリエータの神崎淳一さんは、バーチャルファクトリのシステム全体について、「この仕組みがなければ、在宅で短い間に新しい仕事を覚えて能率を上げることなんて、とてもできなかったと思います」と絶賛する。

 

チャレンジド・クリエータが作成する
新デジタル地図「GEOSPACE」をベースに
NTTネオメイト独自の地図情報サービス「EXPLANET」による
「バリアフリー情報提供システム」づくりを提案

中村氏、米地氏、大島氏の写真 「バリアフリー情報提供システム」を企画開発した(写真左から)中村昌弘・NTTネオメイト関西ITビジネス本部ソリューション営業部第三営業部、米地利治・NTTネオメイト関西ITビジネス本部ソリューション営業部第三営業部営業課長、大島智裕・NTTネオメイト関西ITビジネス本部ソリューションビジネス部EXPLANET担当課長  


ネットワーク技術を活用した
地図情報システム「EXPLANET」

ロゴ:ジオスペース

GEOSPACE(ジオスペース)

 「GEO」は地理、「SPACE」は空間という意味。さまざまな要望に応える基礎的な地理情報空間データベース(デジタル地図)を目指すもの。
 進展するGIS分野において自治体や公共企業のデジタル地図基幹システムとしてフレキシブルに活用できる日本全国の新デジタル地図。住宅地は都市計画図をベースに縮尺1/5000の精度で製造している。商品の現行化は新たに刊行された都市計画図などによるメンテナンスの他、航空写真や現場調査などで随時収集した情報に基づき、逐次メンテナンスを実施している。

 現在、「デジタル地図バーチャルファクトリ」でチャレンジド・テレワークが作成しているデジタル地図は、NTT西日本が業務上利用する地図になると同時に、「GEOSPACE」(ジオスペース)という商品名で販売される。

 「GEOSPACE」の全体像は、NTTネオメイト、NTT-ME、NTT-ME東北、NTT-ME北海道の4社が協同で提供する新しい全国詳細デジタル地図で、主に自治体や企業の地理情報システムのベースアップとして活用されることになる。

 NTTネオメイトはその西日本エリア分を担当。ただし、その製造・メンテナンスに「バーチャルファクトリ」という方法を導入したのは同社が初めてで、独自の試みである。

 同社はまた、「GEOSPACE」をベースに、顧客のさまざまな課題を解決する地図情報サービスを「EXPLANET」(エクスプラネット=ネットワーク技術を活用した地図情報の専門商品群)と名づけて展開している。車や人の派遣業務を効率化する「配車支援システム」、学校の「総合的な学習な時間」を支援する「地域学習支援システム」など、顧客のニーズに合わせて、さまざまなシステムの構築が可能になっている。

 そして、この「EXPLANET」の一種として、「バリアフリー情報提供システム」を企画開発し、自治体などに提案している。

 「高齢者や障害者を含むすべての市民が、安全かつ快適に外出し、社会のあらゆる活動に主体的に参加できるまちづくりに向けて、主要な施設までのバリアフリールートや同施設における車いす対応トイレの有無などを現地調査。これに継続し、インターネットで配信することにより、詳細で最新のバリアフリー情報をいつでも入手可能にする。これに関わるさまざまな業務を、チャレンジドが行っていく」

チャレンジドが調べ、作成する
バリアフリー情報提供システムづくりを

ロゴ:エクスプラネット

EXPLANET(エクスプラネット)

 「Expert Products for Landmapping on Network Technology(ネットワーク技術を活用した地図情報の専門商品群)」からとった名称。
 NTTネオメイトグループが提供する地図情報システム構築サービス群で、上水道設備管理に機能特化した「EXPLANET上水道施設管理」や、車両位置等をリアルタイムに確認できる「EXPLANET配車支援システム」など、お客さまの環境に応じた地図情報システムを提供するもの。。

 このシステムの企画開発を中心になって進めてきたNTTネオメイト関西の中村昌弘さんによれば、企画開発の直接のきっかけは2002年度に神戸市から受託したバリアフリー情報提供事業だったという。

 中村さんらは2003年1月から3月にかけて3ヵ月間、実際に利用者となるチャレンジド12名の方とこの事業のために契約し、交通機関、商業施設、公共施設など約450施設を現地調査し、その結果を神戸市に収めた。この中で、中村さんらはチャレンジドの働きぶりや言葉に心を打たれた。

 「寒い時期でしたし、雨の日や雪の日は車いすで調査は無理だろうと思って、休みにしようとしたんです。ところが、本人たちは出て来られました。そして、調査が終わったときには、『ええ仕事をさせてもろうた』と喜んでくださいました。こういう前向きな当事者がおられたら、この調査の仕事は今後もやっていける。神戸だけではないはずだ。他の町でもできるはずだ。そう思いました」

 こうして、中村さんの所属するNTTネオメイト関西で「バリアフリー情報提供システム」が企画開発された。そして、NTTネオメイト・グループ全体、さらに東日本のNTT-ME 3社とも連携して、この提案を展開していくことになった。中村さんの提案は、最後にバーチャルファクトリに結びつく。

 「神戸市からの受託事業に参加したチャレンジドの仕事はほとんどが現地調査でしたが、最終的には調査データを地図に載せていく仕事もチャレンジドにやっていただきたい。今後、各地で生まれていくであろうチャレンジドのデジタル地図クリエータを、各地のバリアフリー情報提供システムの構築に結びつけていきたいのです」

■ お問い合わせ先
NTTネオメイトグループ
http://www.ntt-neo.com/



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