読売新聞 2003年8月29日より転載

     
  ユニバーサル社会  
 
障害者の能力生かして
 
 
共生社会実現へ
千葉でフォーラム
 
 

 

オープニングセレモニーの写真
チャレンジド(障害者)の就労のための意見が交わされた「チャレンジド・ジャパン・フォーラム」


 ユニバーサル(共生)社会の実現をテーマにした「第9回チャレンジド・ジャパン・フォーラム2003国際会議inちば〜千葉からユニバーサルの風を」が21、22日、千葉市の幕張メッセで開かれ、のべ1,200人が、障害があっても能力を生かせる社会づくりのヒントを学んだ。

 フォーラムでは11のセッションや講演などが行われ、初日は、米マイクロソフト社のビル・ゲイツ氏と、ユニバーサル社会形成促進プロジェクト・チーム座長の野田聖子・衆院議員のビデオ対談が関心を集めた。

 ゲイツ氏は、障害者の社会参加にとって、コンピューターが大きな武器になることを強調。「すべての人がチャンスを得られる社会を目指している」と、同社の基本方針を語った。
 働く障害者が体験を報告する「チャレンジド・ワーカーからの発信」には、バイク事故で障害者となった2人の男性が登場。いずれも療護施設に入所しながらインターネットショップを経営したり、ネットで集めた教材情報を教育委員会に提供するなどの仕事ぶりを報告した。

 情報技術(IT)を活用した障害者の就労支援で世界最先端を行く米国防総省コンピューター・電子調整プログラムからは、理事長のダイナー・コーエンさんが2日目に登場。「すべての人が誇りを持って生きられる国に」と題して、ペンタゴンからインターネット中継で講演した。

 コーエンさんは、一昨年9月の同時テロで手指を失った人が、声で作動するパソコンを操って仕事をしている場面などを紹介。「優れた能力を持つ人ならば、たとえ障害者であっても雇った方がいい」と強調した。

 7人の首長らによるセッションでは、「チャレンジド(障害者)を納税者に」という同フォーラムと同じ目標を掲げ、今年を「障害者雇用元年」と位置づけた千葉県や、大規模知的障害者障害者施設の解体を宣言した宮城県など、ユニバーサル社会の実現に向けた各自治体の最新の取り組みが紹介された。

 フォーラム終了後、主催の社会福祉法人「プロップ・ステーション」の竹中ナミ理事長は「チャレンジドに限らず、すべての人が持っている力を発揮できる“ユニバーサル社会”の考え方がかなり浸透してきた。フォーラムで得た熱気と知識を、それぞれの地域に持ち帰って行動を起こしてほしい」と締めくくった。