<新著『ラッキーウーマン――マイナスこそプラスの種!』(飛鳥新社)には、「プロップ・ステーション」(コンピューターの技術指導、コンピューターによる在宅ワークの就労促進に柱にした「チャレンジド<障害者>」の就労支援組織)を立ち上げ、運動を広げる中での“破天荒”なエピソードが綴(つづ)られている>
――『ラッキーウーマン』を読むと元気が出てきます。
「おかげさまで、たくさんの方々に手紙やメールをいただきました。その多くは、私と同じようなチャレンジドの子を持つお母さんからです。障害児を育てることは、苦しみだけやのうて喜びもある。その点に共感してもろたみたい」
――「チャレンジド」という言葉をよく使われますね。
「チャレンジドは、障害のある人を表すアメリカの新しい言葉で、神から使命や課題、あるいはチャンスを与えられた人々という意味です。15年ほど前から使われ始めましたが、私も、この言葉に大きな影響を受けましてん」
――チャレンジドの麻紀(まき)さんが、竹中さんを目覚めさせた?
「そう。私が彼女を育ててきたというより、彼女が時間をかけて私を目覚めさせてくれましてん。人間はだれでも、自分を育ててくれた人がいると思う。それは家族の場合も、そうでない場合もある。自分を育ててくれた人がいる−それに気づくようになれば、日本はもっと住みようなるんでは」
――これまでも「一人になった時、強くなれる」と言われていますね。
「一人の人間の持つ価値は、すごいものがあると思うんです。一人になった時、逃げ腰にならず、自分の前に立ちはだかる課題に立ち向かっていけば、すごい力が出てくるのに、それに気づかない。自分は弱い、力がない、立場がない、お金がない……とマイナスばかり数える人が多い。一人に力があっても、もちろん世の中は、一人では変えらへん。けど、もし一人が変われば、いつか社会も変えていける」
――組織を長続きさせるために心掛けていることは?
「自分と違うタイプの人を近くに置くことです。考え方が似ている者同士や仲良しだからという理由で集まると、トラブルが起きたり、長続きしていない。自分と違う生き方や考え方を持った人を認めて、互いに足りないところを補い合う−しんどいことですが、これを続けなあかんと、いつも自分に言い聞かせています」。
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