毎日新聞 2003年5月4日より転載

     
 

ひと

 
 
 
 

ユニバーサル社会基本法制定を目指す

 
 
これからの日本
必要なのはこれやで
 
 
 
 
竹中(たけなか) ナミさん
 
 

 

竹中ナミの写真
近著「ラッキーウーマン」(飛鳥新社)。
「プロップ・ステーション」のホームページ
http://www.prop.or.jp


 15歳で同せい、16歳で結婚。24歳の時、重度心身障害児の長女を授かり医療・福祉の世界に飛び込んだ。99年エイボン女性年度賞・教育賞。昨年、総務大臣表彰――。社会福祉法人「プロップ・ステーション」(本部・神戸市)理事長である。

 型破りの経歴から「福祉業界の風雲児」との異名をとる。だが、本人は「『異端児』のほうが正確かもな」と、快活な関西弁で笑い飛ばす。

 「プロップって『支え合う』っていう意味ですねん。パソコンの技術指導とか在宅ワークのコーディネートの仕事です」。パソコンを活用した障害者の自立支援組織。なかなか先見の明がある。

 91年。「チャレンジド(障害者)を納税者にできる日本」をキャッチフレーズに設立。98年。マイクロソフト・ジャパンの成毛眞社長(当時)が基金1億円を支援した。

 「学歴は中卒。障害児の母ちゃんで、バツイチ。54歳のおばちゃん。それから体重もすごいんです」。たいていの人がファンになってしまう。

 「つなぎのメリケン粉」を自称し、人のネットワーク作りに精出す。ビル・ゲイツ氏に会い、米国防総省にも乗り込んだ。

 一昨年から国会議員有志と「ユニバーサル社会基本法案」の検討を進める。「すべての人が持てる能力を発揮できる社会」作りを目指す。

 「障害を持って生まれようが、人生半ばで障害者になろうが、誰にでも学ぶチャンス、働くチャンスがある。そんな日本にしたい」

文・下川正晴
写真・屋籠章裕


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