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産経新聞 2003年3月7日より転載 |
国家理念の実践
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8月21、22日、千葉・幕張メッセで今年のCJF(チャレンジド・ジャパン・フォーラム)を開催する予定で、関係者一同その準備に励んでいるところです。今年は、前にこの欄で紹介した米国防総省CAPのダイナー・コーエン理事長と、スウェーデン王国サムハル社会福祉事業団の代表者をお招きします。 スウェーデンは社会福祉先進国として知られていますが、チャレンジド(障害を持つ人)に対する完全雇用と個人の生活の質を高めるために、官民そして労働組合などが一致協力をして設立されたのがサムハルです。設立の背景には政府の政策として、働く意欲のあるものには完全雇用を約束し、障害の程度と関係なく、本人の意志さえあればそれを受け入れる組織を全国レベルでつくることを決めサムハルを設立しました。当初は政府が、1990年代に株式会社に改組され、株は全株政府が所有しています。 サムハルの雇用施策で特徴的なのは、複数の障害や重度の障害および知的障害など、日本においてはほとんど就労の機会が少ないチャレンジドが優先的に雇用されることです。就労希望のあるチャレンジドは日本同様の職業安定所に行き、サムハルを紹介されます。 そこでは、サムハルとして今必要な、または空いている仕事を当てはめるのではなく、できるだけ本人の希望に沿うような仕事を発掘しようとします。サムハルは二万七千人の社員のうち93%がなんらかの障害を持つチャレンジドです。日本の障害者雇用の基本的なアプローチとのあまりの違いに驚きますが、国家の繁栄のため最もそれが適切な対応だというのがスウェーデンの国家理念であり、その国家理念を体現しているのがサムハルというわけです。 . ここ数年サムハルにおいても、プロップのように「ITを活用して在宅で働くチャレンジド」が増えてきたそうで、CJFではぜひ活発な意見交換をしたいものだと張り切っている私たちです。
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