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ガバナンス 2002年8月より転載

     
 
チャレンジドが「福祉」を変える!
 
 
 
 
第9回 公務員よ、まちへ出よう!
 
     


 プロップの活動を進めるなかで、全国の自治体とお付き合いが始まり、いろいろ協力をいただくようになりました。ほんとうにパワーのある知事さんが増えていると感じますね。

 昨年11月のCJF(チャレンジド・ジャパン・フォーラム)では、三重県の北川知事、岩手県の増田知事、千葉県の堂本知事、熊本県の潮谷知事に参加していただきました。今年は8月27〜28日に盛岡で開催しますが、北川知事のほか、大阪府の太田知事、宮城県の浅野知事、和歌山県の木村知事が参加され、増田知事とナミねぇがコーディネーターを務める予定です。

 そういう場で皆さんのエネルギッシュな発言を聞いていると、社会が変わるときは、地域から変わるんだなぁと思います。もっと言えば、地域から始めることで初めて、その地域らしい特色のある活動になるんだなぁと痛感するのです。

 もちろん、国には国としてきちんと仕組みに背骨を入れてもらわなくてはいけないのですが、役割としては下支えに回ってほしいというのが私の本音です。各地で自治体や住民が「ウチの特色を生かして知恵を絞れば、こんなんができるはずや」と動くときに国が下支えする。具体的な事業を考え、決定し、責任を持って実行していくのは住民・自治体という仕組みが徹底すると、日本はどんどん変わりますよ。

 よく「予算が足りない。事業ができない」と悩む自治体職員を見かけるのですが、自分たちだけで抱え込まないで、住民にも問題を投げ掛けて一緒に悩めばいい。悩みもコラボレーションすればいいんです。

 日本の公務員って、真面目な人が多いんでしょうけど、殻を破れない人も多いですね。仕事も人間関係も、役所の中だけで自己完結している。でも、役所以外のいろんな人たちと関わると自分の世界も広がるし、仕事にも幅が出ます。役人を辞めても人生が楽しいですよ、きっと。私の周りにいる公務員には、なぜか「役人」の枠を越えている人が集まってきていて、やたら新しもの好きの人とか、冒険心や好奇心に溢れている人とか…。えらい生き生きしています。

 先日、人事院の研修会に講演を頼まれて行ってきました。近畿圏のすべての省庁の上級職合同研修です。受講者は20代後半から30代半ばで、バリバリの若手エリートです。そこでプロップの話を1時間ほどさせてもらいました。

 ところが、後日、私のところへ送られてきた感想文を読んでビックリ。「公務員でも、なにかできそうな気がしてきました。嬉しかった」って書いてあるんです。オイオイ、大丈夫かって。

 これからは、公務員もリストラの時代です。国民・住民のために自分に何ができるか、これをせずにいられないっていうくらいの情熱や自覚のない公務員は、納税者の理解は得られなくなります。

 ちょっと辛口でしたが、公務員が頑張らないとぜったい地域はよくなりません。どうでしょう、一緒に頑張っていきませんか。CJFをはじめ、プロップの主宰する様々なフォーラムや活動をプロップのHPで動画を見ることができます。ぜひアクセスしてみて下さいね。


たけなか・なみ 
1948年、神戸市生まれ。娘が障害をもって生まれたことをきっかけに、以後30年にわたっておもちゃライブラリ運営、肢体不自由者の介護をはじめ、各種のボランティア活動に携わる。91年、コンピュータとインターネットを利用したチャレンジド(障害者)の自立と就労を支援するNPO「プロップ・ステーション」を立ち上げ、99年、社会福祉法人格を取得、理事長に就任。その活動には行政をはじめ経済界、研究者の間でも支援の輪が広がっている。著書に『プロップ・ステーションの挑戦−「チャレンジド」が社会を変える』(筑摩書房)。

社会福祉法人 プロップ・ステーション 
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