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公明新聞 2002年5月29日より転載 |
ユニバーサルな社会をめざして |
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だれもが快適に暮らせる街へ | ||
NPOプロップ・ステーションと神戸市のフォーラムから | ||
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■ すべての人には発揮すべき素晴らしい力が備わっている | |
プロップ・ステーション理事長・竹中 ナミ
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また、「チャレンジド」とは、障害を持つ人のことです。“神から挑戦という使命やチャンスを与えられた人”という意味の米国の言葉で、すべての人の中に、課題に向き合う力が備わっていて、その課題が大きい人には、それだけの力が与えられているという非常にポジティブな言葉です。 プロップ・ステーションでは、多くのメンバーが「障害者ではなく、チャレンジドであろう」と、コンピューターを学びながら、社会につながり、仕事をしているのです。 |
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■ あらゆる差別のない社会へ日本版ADAの制定めざす | |
公明党代表代行・浜四津 敏子
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しかし、一昨年、竹中さんにお会いした時、「日本でもできる。そういう時がきているのかもしれない」と胸の底に沈んでいたものが急速に浮かび上がる思いがしました。 憲法第14条には、すべて国民は法の下に平等であって、信条、社会的身分によって差別されないとあります。そこには障害という言葉はありませんが、差別のない、一人ひとりが誇りを持って生きられる社会を目指しているはずです。 しかし、いろいろなことで、それがつまずいています。それを開く突破口になるのではという思いで、日本版ADAをつくろうと、今年2月、自民党の野田聖子衆院議員らと共に、与党の女性国会議員によるユニバーサル社会形成促進プロジェクトチームを立ち上げました。今、一生懸命、法案づくりに取り組んでいます。 各地の自治体ではユニバーサル・デザイン室が設置され、国では交通バリアフリー法などが成立しています。今、ユニバーサル社会へと転換する最大のチャンスです。そのために基本法をきちんとつくることが必要です。 |
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■ 心のバリアフリーを進めてくれるITは、“私の宝” | |
衆院議員・野田 聖子
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現在、2人の障害を持つ男性を秘書として雇用しています。1人は、在宅勤務で後援会名簿をパソコンで整理してもらっています。もう1人は、重度の筋ジストロフィー症の方です。指しか動かせませんが、UCLA(米カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で福祉を学び、政策秘書として、福祉に関する専門的なデータや資料を作成してもらっています。 |
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■ パソコン使えれば就労のチャンスが | |
東京都労働局長・坂本 由紀子
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厳しい雇用状況の中で、事務職に限らず、パソコンを使えることは必須の要件になっています。逆に、パソコンが使えれば、障害がある人もいろいろな仕事に就けます。そういうチャンスを与えられるという武器になってきています。 |
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■ 「小よく大を制する」がITの醍醐味 | |
フューチャーシステムコンサルティング株式会社取締役社長・金丸 恭文
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昨年、重度の障害を持つ人を採用しました。立命館大学理工学部を卒業した女性で現在、研究開発の第一線で、フリーソフトウェアというジャンルなどで頑張っていただいています。彼女が手書きする字はとても読めませんが、ワープロを使えば読める字になります。われわれの仕事は、プログラムをつくることであり、彼女はそのための技術を持っているので採用したのです。社内第1号で成功体験になりましたので、今年も障害を持った方を採用していきたいと考えています。 |
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■ ITで議会や行政に意見を反映 | |
東京大学大学院情報学環教授・須藤 修
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スウェーデンでは、都市計画に市民の意見がかなり反映されます。例えば、老朽化した立体交差点を改修する事業などで、建設計画を公表して、市民から意見を取り寄せ、議会でも意見を言ってもらいます。 神戸にも、市民の意見を集約できるNPOがあります。プロップ・ステーションのその一つです。そういうところで意見を集約し、議会に意見を言い、行政とも意見交換し、新たな施策をつくっていく形がいい。 その道具として、インターネットがある。チャレンジドの皆さんも、そういう道具を使って提案できる。また、建設コンサルティング会社などに発注する分をチャレンジドに発注してもらいたい。そうした参加型の民主主義をつくっていく時代になっています。 |
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