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2000年(平成12年)1月11日(火曜日) 北海道新聞(夕刊) より転載



     
  今日の話題  チャレンジド
 
     



 「ニックネーム ナミねえ」「学歴 中卒」−。
 
 社会福祉法人プロップ・ステーション(神戸市)のホームページに載った竹中ナミ理事 長(51)のプロフィルはこんな記述で始まる。
 
 この法人は、障害者の就労支援を目的に1991年、民間非営利団体(NPO)としてスタ ートした。
 
 竹中さんには27歳になる重症心身障害の娘さんがいる。20年間、自宅介護しながら障害児医療や福祉、教育について独学してきた。
 
 障害者といってもさまざまな可能性を持つ。従来の恩恵的な福祉政策でなく障害者が仕事を通じて誇りを取り戻せる社会をつくれないか−。
 
 娘さんの入院を機に、こうして組織を発足させた。
 
 組織では障害者を「チャレンジド」と呼ぶ。「人生に挑戦する使命を神から与えられた人」の意味だ。
 
 チャレンジドが社会参加するための道具として、竹中さんたちが選んだのがコンピューターだった。
 
 現在、神戸と大阪で週3回、障害者を対象にパソコン教室を開く。
 
 ここから巣立った障害者がすでに50人近く、ホームページの企画・制作、データベー ス設計などの仕事に携わっている。うち8人は、在宅勤務を含め企業で働いている。
 
 最近は、障害者の視点を積極的に経営や製品作りに取り入れる企業が目立ってきた。
 
 六甲アイランドにある神戸ネットワークセンターを訪ねた。広さは200平方メートル余り、50台近いパソコンが並んでいた。これも企業や行政、市民の支援あってこそだという。
 
 竹中さんは「企業もNPOも社会的責任を果たさないと生き残れないのでは」と、明るい表情で語る。
 
 効率一辺倒の市場主義が広がる企業社会に市民の側から見直しを迫る動きとしても注目 していきたい。
 

 

 


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